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邪竜の子育て  作者: シンビ
6/10

使い魔

 また投稿するのに時間がかかってしまいました申し訳ない

〜〜〜〜少し時間を巻き戻します〜〜〜〜



 セルフィを学院に預けて俺は転移門を家に繋いで自宅に帰って来た。



「これから俺は一人で暮らすのか、、、」



 今思えば俺はセルフィの為に人の姿で暮らしてたが今となっては人の姿を保つ意味が無いのだ、セルフィが帰って来る時だけ家にさえ居れば問題無いのだろうか。



「何をしようか、、、」



 これまではセルフィの為に時間を使っていたのでこれと言ってやることが無いので惚けていると家のドアがノックされた。



「すみませーん!グレイさん居ますか?」



 声の主はカーラちゃんだったのでドアを開けるとそこにはカーラちゃんともう一人フードで顔を隠している人物がいた。



「すみません急に来てしまって、この人がグレイさんの知人で会いに来たと言っていたのでお連れしたのですが」



 俺の知り合いだと?俺にはこんな人物と会った覚えがない。



「すみませんがフードを取ってくれませんか?」



 まずは顔を見ないと分からない。



「ふふ、貴方にバレないとは私も腕が上がったようですね」



 フードを下ろすと中からは白い髪で青い瞳、そして顔の片側には民族風のペイントがされている女性だった。



「お前は、、、」



「綺麗、、、」



 外見は美しくカーラちゃんは声を漏らしてしまったらしい。確かに俺はこいつを知っていた。



「イリアスか、なぜ此処が分かった?」



 こいつは俺の一番最初の部下であるイリアス・ロードだった。



「以前黒いドラゴンの鱗を持っていた人物が居るとの情報が入りまして、そこから地道に調べて参りました」



「あれ?もしかして私ヤバい人を連れてきちゃいなした?」



 カーラちゃんは今の会話を聞いて勘違いしているらしい。



「カーラちゃん聞いてくれ、こいつは俺の事をずっと追いかけて来るいわゆるストーカーだ!」



「へ、変態ですか!?」



「違います!私は部下です!何とんでもない事言っているんですか!」



 ここでヤバい奴のレッテルを貼ってやり難くする作戦だったがあまりうまく行かなそうだから中止した。



「質問を変えよう、なぜ此処に来た?」



「もちろん迎えに来たんです!貴方が突然飛び出して大変でしたよ!私達は配下の者達を宥めてやっとの思いでこれまでやっていたんです。ですが貴方さえ戻って来れば私達はまた一丸となれます!」



「俺は戻らなぞ」



「何故です!」



「セルフィがいるからだ」



「セルフィとは誰ですか?」



「グレイさんの娘さんです」



 俺が言うより先に言われてしまった。



「、、、娘、、、ですか」



「そういうことだ。だから俺には親の責任があるから戻れん」



「私というものが、、、」



 すると周囲の温度が急激に下がり始めた。



「私というものがありながら浮気ですか!」



 これは不味い、俺は大丈夫だがカーラちゃんには耐えきれないだろう。



「カーラちゃん俺の家に入っていてくれ」



「は、はい!」



 俺の家には万が一に備えて多重に結界を張っているので安心だ。



「誰ですか誑かした女は!今の小娘ですか!?」



「落ち着け。何も俺は」



「問答無用!貴方には全てを吐いてもらいます!」



 するとイリアスは魔力を高めていく。



「『氷の衝撃(アイスインパクト)』」



 イリアスは魔力を込めた拳で俺を殴り飛ばした。腕で守りはしたが俺はそのまま森へ弾き飛ばされて木に衝突して止まった。



「急に殴るとは、、、ん?」



 腕が上手く動かなく俺は自分の腕を見ると完全に凍っていた。



「どうですか?私も昔から貴方の隣を歩けるように鍛えていたんです」



 俺は腕に魔力を溜めて凍っていた腕を元に戻す。確かに昔戦った頃より大幅に力を増していた。



「これだけではありません!」



「おい、一旦話を」



「『地球凍結(スノーボールアース)』」



 初めて聞く魔術だ、どうやら独自魔術だろう。放たれた魔力は周囲を一気に凍らせいく。



「どうですか?この魔術は自信作で貴方でも耐え切るのは無理でしょう。貴方を氷漬けにするのも悪くないですね」



 確かに凄い威力だ、俺の体温も下がっていくのを感じる、このままでは本当に凍ってしまうだろう。



「『紅炎(プロミネンス)』」



 まずは体温を上げるために炎を用意したが無慈悲にも霧散してしまった。



「無駄ですよ、どれだけ炎を用意しても私の魔術はそれを許しません、すぐに熱を奪って無効化します」



 これはまずい何か手を打たなければ寒さで体力が奪われていく。



「何もしないならこちらから行きますよ」



 イリアスはさらに体力を奪うために魔術を放てくる、その魔術は被弾すると一気に凍って身動きが出来なくなるので撃ち落とすか躱してく。



「貴方の為に身に付けた力を貴方に向けるなんて皮肉なものですね!」



 イリアスはさらに魔術の数を上げて追撃してくる。



「こんなつもりは無かった、、、貴方に戻って来て欲しいだけなのに!」



 イリアスの瞳には涙が浮かんでいた。飛んできた魔術を避けると軌道が曲がって俺の背中に命中した、どうやら今までのは俺の目に軌道を覚えさせて避けるようにしていたらしい。被弾したが凍る前に魔力で振り払ったが今ので体温が一気に下がってしまった。



「どうですか?私も強くなったでしょう」



「ああ、前よりも遥かに強くなったようだな、俺も全力で行くぞ」



「もう貴方に体力があまり残っていないのは分かっていますよ」



「『独裁者(ディクテイター)』」



「なんですかその魔術は何も力を感じないですけど」



「それもそうだろう、この魔術はやり方にはよるが攻撃用ではないからな」



「では防御ですか?この際だから言いますが貴方も反撃しないと本当に死にますよ」



「いや、もう決着はついた」



「何を、、、いやこれは!私の魔術が消されている!?」



「俺が発動させた魔術は相手の魔術を一時的に自分の支配下に置く魔術だ、これは俺の奥の手でもあったが使わないと本当に危なかったぞ」



 こんなに追い込まれたのは久しぶりだ。



「なんでですか、、、なんで最初から使わなかったのですか!最初から使えば楽に対処できたのに!」



「この魔術は支配する魔術の構造を解析しないとそもそも効力を発揮しないのだ。イリアスが作り上げた魔術は構造が複雑ながらも美しい術式で解析に時間が掛かってしまったんだ、だから手抜きはしていないぞ。これでやっと話ができるな」



「話す事など、、、」



「俺は結婚などはしていない、子がいると言ったのは拾い子だ」



「え?」



 一旦家に戻りカーラちゃんを帰して俺はそれから今までの経緯を話した。それからは長かったこれまでの事を全部話しているといつの間にか夜が明けようとしていた。



「それがそうなら早く言ってくださいよ、私全力で攻撃してしまったじゃないですか」



 などと微笑みながら言っていた。



「イリアスが話を聞かず俺を殴って来たんだろう」



「事情は分かりました、まさか人の子を育てるとは。ですが良いのですか?人間の寿命は長くても100年くらいでしょうそれに対して私達は魔物なんです、100年なんて私達からすれば一瞬です」



「俺もそのくらいは理解しているつもりだ、その一瞬をどれだけ濃厚に生きれるかが重要だと思う」



「考えは分かりました、100年くらいは待ちましょう」



「理解してくれて助かる、それと配下達には俺の居場所などは伏せてくれ、無茶な奴に来られても困るからな」



「わかりました、それと個人的なお願いなんですけど私とたまにで良いのでお話を聞いてくれませんか?」



「ならばこれを渡しておこう」



 俺は赤い宝石が付いた指輪をイリシアに渡した。



「この宝石には同じ魔術が掛かっていてお互いの声が聞こえるようになっている。発動させるには指輪をはめて魔力を通せば相手の指輪が振動する、相手も魔力を通せば話せる」



「本当ですか!?ありがとうございます!」



「ああ、他には何かあるか?」



「御座いません。それでは私は戻るとします」



「ああ、いつでも連絡してくれ」



「はい!失礼します」



 イリシアは玄関を出ると周りに見えないように探知不可の魔術を使いドラゴンの姿に戻ると飛んでいった。



「魔物か、、、」



 俺はこれからの事を考えていた。



ーーーーセルフィーナ視点ーーーー



 光が弾けると中からは漆黒の巨体を持つ魔獣がいた。



『狭いな、翼を広げたら崩れるぞ』



「お父さん!」



 魔術陣からはお父さんが出てきたのだ。



「言葉を話している!?それほど知性を身につけたドラゴンは世界にも数体しかいないのに!」



 他の先生はお父さんを見て気絶してしまっている中、ヴィント先生がお父さんを見て驚きの声を上げていた。



「お父さん、ここでは大き過ぎるから小さく出来ない?」



 このままではお父さんはドアを通ることもできないだろう。



『分かった』



 するとお父さんは体を縮めて手のひらより少し大きいぐらいの大きさになってくれた。



「可愛い!」



 この姿のお父さんは食べてしまいたくなりそうなくらい可愛かった。



「もしかしてセルフィーナさん!このドラゴンを完全に使役しているのですか!?」



『使役するも何も俺が暴れたりする訳が無いだろ』



「はい!完璧です!」



 お父さんが小声で呟いていたがこの方が都合が良さそうだ。



「分かりました。この様なことは初めてなの戸惑ってしまいました申し訳ない。替えの教員を呼んでくるので教室に戻ってください」



 私は指示通りに教室に戻った。まさかお父さんが出てくるなんて思ってもいなかったし、小さいお父さんはこんなに可愛くなるなんて想像もしていなかった。



 教室に戻るとルリアは白い狼を眺めていた。どうやらまだ仲良く出来ていないらしい。



「おかえり、長かったね。その子がセルフィーナの使い魔?」



「うん!仲良くしてね」



 お父さんには驚かれるから喋らないようお願いしている。



「この子ドラゴン!?すごいよ!まさかドラゴンを使い魔にするなんて!それとまだこの子幼体なのかな?」



 どうやら小さいから幼体だと勘違いしているらしい。



「おい!貴様もドラゴンを使い魔にしたのか!」



 急に話しかけて来たのは一番関わりたくなかったアリックだった。



「貴様の名前は?」



「セルフィーナだけど、、、」



「そうか、ならばセルフィーナさんこのドラゴンを僕に渡せ!」



「は?」



「悪い話ではないだろう、渡すなら金をやろう。貴様は見たところ庶民だろ金に困っているはずだ」



 何を言っているのだろうか、お父さんを金で渡すなんてあり得ない。



「無理です」



「何故だ?、、、そうか僕としたことが金額を言っていなかったな、金貨50枚で良いだろう」



「金額とかの問題ではないですから。何があっても譲るなんてしませんから」



 絶対に渡さないと私は小さいお父さんを抱きしめた。まさか小さいお父さんを抱きしめる事ができるなんて思ってもいなかった。抱き心地が良くいくらでも抱きしめていられそうだ。お父さんを見つめているとルリアが私の耳元で囁いてきた。



「まずいよ、アリック君は貴族の子で我儘で一度言い出したら最後親の力でなんでも手に入れるんだよ。それにこの学院だって入れたのは親のおかげって噂だよ」



「そうなんだ」



 どうやら私が思っている以上に面倒臭い奴らしい。



「おい!聞こえているぞ!」



 しまった、どうやら会話が聞こえていたらしくアリックの顔が赤く染まっていた。



「貴様らが僕を舐めているのはよく分かった」



「そんな舐めてなんていませんよ」



 舐めてはいないが面倒臭いとは思っている。



「こうなれば無理やりでも奪ってやるぞ!決闘だ!お前の使い魔を賭けろ」



「決闘って、、、別にいいけどアリック君は何を賭けるの?」



「まさか勝てるつもりでいるのか?おめでたい奴め、ならばお前が決めていいぞ」



「ならもう私達に関わらないって約束してもらうね」



「良いだろうならば明日の昼に始める。精々今のうちに別れの挨拶でも考えておくんだな」



 アリックは捨て台詞を吐くとそのまま席に戻っていった。



「ごめんね、私余計なことしちゃって」



「別に良いよ、それにああいう人はいずれ問題を起こすから今の内に釘を刺しておかないとね」



「そう言ってくれると助かるな」



 会話を押していると全員召喚し終えたので今日は解散となった。



「ルリアはその子は一緒に住むの?」



「いや、なんだかまだ心を開いてくれなくて専用の部屋を用意してもらう」



「早く仲良く出来るといいね」



「セルフィーナはもう仲良くなってるしすごいなぁ」



 お父さんは私の肩に乗って待ってくれている。



「たまたまだよ」



「そうなのかな、、、それじゃまた後で食堂でね」



「あ、、、その事なんだけど私の部屋に来てくれない?ご飯用意するから」



「え?セルフィーナってお料理出来たんだ!それじゃまた後でお邪魔するね」



 ルリアと別れて部屋に戻るとお父さんは人の姿になった。やはりお父さんはかっこいい。私はお父さんに抱きついた。



「お父さん!もう長い間は会えないと思った!」



「俺も会えて嬉しいぞ。セルフィの召喚術に介入するのは思いつきだったんだ」



「それとお父さんの事をルリアに話そうと思うんだけど良いかな?」



「セルフィがそうしたいならすればいい」



「ありがと!あと決闘の事なんだけど」



「ああ、セルフィならあの程度の小僧に負ける訳ないぞ、強いて言うなら殺さないように手加減をしないとな」



「流石に私だって加減ぐらいできるよ」



「あの小僧の魔力量は相当低いぞ、昔攻めてきた軍の一般兵並みしかない」



「一般兵ぐらいなら十分だよ」



「そろそろ友達の分もご飯を作るか」



 それからちょうど出来上がるとドアがノックされた。ドアを開けるとルリアだったので招き入れた。



「すごい良い匂いがするね!」



 お父さんにはまだ小さい竜の姿になってもらっている。



「「いただきます」」



「んー!すごく美味しい!こんな美味しいの初めて食べた!」



「どんどん食べてね」



 お父さんは料理の腕をいつも上げているのでついがっついてしまう。



「ご馳走様!とても美味しかったよ!」



「ありがとう。それと私ルリアに言っておきたい事がああるの」



 私の真剣な表情を見てルリアも真剣な面持ちになる。



「なんでも言って、私はセルフィーナの事を一番の友達と思っているから安心して」



「ありがとう、私もルリアの事を大切な友達だから話そうと思ったんだ。実はこのドラゴン私のお父さんなの!」



「え?、、、もう!変な冗談やめてよ!」



 そうやら突拍子な事を言って信じていないらしい。



『いや、事実だぞ』



「、、、今喋った?」



 するとお父さんは姿を人に戻した。



「俺はグレイだよろしくな」



「、、、、、」



 するとルリアは何も言わないまま固まってパタッと倒れてしまった。



「ルリアーー!!」



 ルリアが目を覚ますのに1時間あたり経ってしまった。



「つまりセルフィーナはそのグレイさんに育てられたんだね。私最初はセルフィーナもドラゴンなのかと思ったよ」



「私は人種だよ」



「それと話を聞く限りグレイさんって最強クラスの魔物なんじゃ?」



「そうだな、昔人間どもが恐れていた魔王の一人が俺に喧嘩を売ってきてな、少し遊んでやって今では従順な奴隷としているな」



「やっぱりすごい御方なんですね」



「別に畏まらなくても良いぞ、今では一人の親だからな」



「それにしても驚きましたよ」



「ルリア!よかったら毎日食べに来て!食堂は並ぶし面倒でしょ?」



「それはそうだけど、、、迷惑じゃないですか?」



「問題ないぞ、量が増えるだけだ」



「ほらお父さんも問題ないって!」



「じゃお言葉に甘えさせてもらいます」



 こうして私の学院生活が始まった。



ーーーーグレイ視点ーーーー



 いつもと違うベッドで目を覚ます。昨日俺はソファで寝ると言ったらセルフィが一緒に寝ようと言っていたのでそうする事にした、守るべき人がそばにいると安心するのは確かだしな。まずは朝食を作る。



「セルフィ起きろ、朝だぞ」



「はーい」



 セルフィがお風呂を済ませたりしているとドアがノックされたので出るとルリアが立っていた。



「おはようございます」



「おはよう、セルフィは今髪を乾かしている。中に入ってくれご飯を用意しよう」



「お邪魔します」



「座って待ってくれもう少しで出来上がる」



「ルリアおはよう」



「おはようセルフィーナ」



 こうして見ていると姉妹みたいだな。



「出来たぞ」



「「「いただきます」」」



「本当に美味しいね」



「お父さんの料理だったら何でも美味しく食べれるよ」



「うん!本当に出来るよ」



「早く食べないと遅れるぞ」



「「そうだった!」」



 すでにホームルームまで30分を切るだろう。



「弁当も二人分用意してあるぞ、今日は午後まで授業があるからな」



「「ありがとう!」ございます!」



「俺もついて行こう」



「お父さんも来てくれるの!?」



「ああ、少し人の教育に興味があるしな」



「「ご馳走様でした」



 セルフィ達も食べ終えたので俺は姿を小さい竜に変えた。



『よし、行くか』



「うん!」



 よく考えたら今日は小僧との決闘の日だったが忘れていた、まぁセルフィが負けるなどあり得ないから心配は無用だろう。



 今日から本格的に授業が始まった。どうやらヴィントとやらがBクラスをメインに教えるらしく大体の教科はヴィントだった。



「まず魔術を発動させるには大きく分けて二つあります。一つ目は言葉によって発動させる言霊(ワード)式、この方法は多くの人に使われています。実際ここに居る殆どの人は言霊(ワード)式でしょう。これは詠唱によって発現します。もう一つは魔陣式で、この方法は魔術陣を構築することで魔術を発動させています。この方法は発動させる魔術を底まで理解していないと発動できなく、それほど手間を掛けてするなら言霊(ワード)式の方が楽で良いのであまり使われていません」



 ちなみに俺がセルフィに教えたのは魔陣式だ。こちらの方が後々応用も効いてくるし毎回詠唱していては行動が遅れてしまう。やはり人族の魔術は遅れている。



 このような初歩的な解説を4時間くらい続けていた。



「午前の授業は以上になります。これから1時間30分お昼休憩となるのでこの間にお昼など済ませてください」



 ヴィントは話し終えると教室を出ていった。



『つまらない授業だったな』



「まぁ最初の授業だしね、これからだよ」



 俺は周りに聞こえないようセルフィと話した。



「おい庶民!決闘は30分後に中庭で行う!逃げずに来いよ!」



 小僧が生意気に教室を出ていった。



「そう言えばそんな物があったね」



「セルフィーナ忘れてたの?」



「あはは、昨日はお父さんとの再会で嬉しくて忘れてたよ。まぁそれはどうにでもなるからまずはご飯食べよ」



「まぁグレイさんが居れば怖くないね」



 セルフィ達は弁当を食べ終えて中庭に向かうと大勢の人だかりが出来ていた。



「おいおい、今回の一年は喧嘩が早いな!」



「この暇な学院でこういう見せ物が唯一の楽しみだな!」



「どっちが勝つか賭けようぜ!」



 どうやら決闘があるという話が広まったのだろう、高学年生も集まって来ていた。



「よく逃げずに来たな!」



「まぁ逃げる理由が無いので」



 人だかりの中心から小僧が大声で叫んできた。



「ふん、その口も開けないようにしてやるよ!始めるぞ!」



 小僧が合図をすると名前も知らない教員が出てきた。



「これよりアリック・デーモン対セルフィーナ・ダーレスの決闘を始める!ルールは敗北を認めるか相手の魔術に被弾すると敗北とする」



 どうやら審判のようだ。



「両者準備は良いですか?」



「大丈夫だ!」



「いけます!」



「では開始!」



 先手を取ったのは小僧の方だった、セルフィは相手の出方を見ている。



「《我が魔力に答えよ》『サラマンダー』」



 唱え終えると光と共に使い魔であるサラマンダーを呼んだらしい。




「サラマンダーはB級魔獣に指定されているんだぞ!お前のような子供では歯が立たないだろ!お前もその子ドラゴンを出しても良いが力は圧倒的だ!降参するなら今の内だぞ!」



「それなら私も」



 どうやらセルフィは俺とトカゲを戦わせたいらしい。



『セルフィ今回はお前一人でやってみろ』



 俺が出てもいいが今回はセルフィだけで戦い今後このような愚か者が出てこないようにしよう。



「うん、、、分かった!」



「降参はしないのなら行けサラマンダー!」



 サラマンダーは口から炎を吐いて攻撃してくるがセルフィは綺麗に避けて距離を詰めサラマンダーに触れてゼロ距離から魔術を放った。



「『突風(ガスト)』」



 セルフィが放った魔術によってサラマンダーは弾き飛ばされ中庭の壁に激突して動かなくなった、どうやら衝撃で気を失ったらしい。



「え?」



 小僧は今何が起こったのが理解出来ていないのだろう。



「案外軽かったね」



『セルフィならB級の最底辺ぐらいなら敵にならん』



「今何が起こっ」



「『雷光(ライジング)』」



「ぎゃぁぁぁぁぁぁぁ」



 セルフィが放った魔術で感電した小僧は煙を吐きながら倒れてしまった。



「しょ、勝者セルフィーナ・ダーレス!」



 審判が勝者を告げた。



「おお!あの子すげぇ強いな!」



「魔術が早すぎるぞ!」



「早く医務室に連れて行かないと!」



 周囲からは歓声の声と小僧を心配する声が上がっていた。



「なんだか弱かったね」



『人の子供なんてこんなもんだ』



「もしかして私強い?」



『この俺の愛娘だぞ最強に決まっている』



「えへへ、ありがとお父さん」



 まぁこの小僧は弱過ぎたのもあるがセルフィはこの学院だと上位に入るだろう。



「セルフィーナ!さっきの魔術すごかったね!あんなに大きいサラマンダーが飛んでいって私驚いちゃった!」



 ルリアが興奮した様子で待っていた。



「ありがとう」



「セルフィーナって強いんだね!私こんなに圧倒的な決闘初めて見たよ!」



「なんだか不完全燃焼だなー」



『なら放課後に久しぶりに稽古をつけよう』



 最近は全くやっていなかったので腕が落ちるかもしれない。セルフィの表情が死んでいたがこれも厳しい世界で生き抜く為に必要な事だと己に言いつけ無視することにした。

 読んで頂きありがとうございます!

 分かり難い、誤字脱字などありましたら教えてくだい!

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