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   5話 ジータの中心で何故だを叫ぶ

僕とユースは教室を後にした。

校舎を出て校門へと歩いていると、アルフ等3人が待ち構えていた。


「まーた、あいつらか・・・」悪魔が呟く。


おう、おう、ジータさんよぉ・・・このまま帰れると思ってんのか!

ガジットが絡んでくる。


ジータ行こ。

ユースが無視して先に行こうとする。


姉ちゃん。あんたも、ただで帰れるわけねぇだろ。

サリバンがいやらしい目を向け、立ちはだかる。

アルフが目配せし合図を送ると。

ガジットは、ジータに掴みかかるとジータのみぞおちに膝が入る。


グハッ!ゲホ、ゲホ、ゲホ・・・

ジータは、腹を抑え跪く。


「おい、大丈夫か?ジジジ。」

大丈夫なわけないじゃないですか・・・


お前、気に喰わねぇんだよ!お前みたいな大した魔力も持っていない癖に学院に来やがって!

ガジットが罵声を浴びせる。


僕がなにをしたって言うんだ・・・


お前の存在じたいが不快なんだよ!!

今度は腹部に拳が入る。


ガハッ!


アルフは、それを眺めてご満悦の様子。

すると、ユースを手籠めにしているサリバンが言う。


アルフさん、こいつ・・・やっちゃっていいですか?辛抱たまらん!

ちょっと待って。俺らも楽しむんだ・・・その前に、その貧乏貴族に制裁を終わらせてからだ。


キャーーー。ジータ、助けてーーーーーーー。


ユースの叫びが虚しく響くなか、彼らを避ける様に生徒たちが帰っていく。

ある者は気まずそうに、ある者は見て見ぬふりをして・・・


だ、誰か助けて・・・

ジータは、周りに助けを求めるも、誰も答える者はいなかった。


カトリーヌは、もう、帰っちまったよ!もう、お前を助けようなんて物好きはいねぇよ!


アルフは、ガジットに命令を出す。


楽しみたいから、もう、終わらせろ。

へい!アルフさん。


ガジットは、ジータの頭を蹴り上げた。

ジータの上体が跳ね上がり、仰け反るように倒れた。

ジータの記憶は、そこで途切れた。


ユースを羽交い絞めにするサリバン。

ゲヘ、じゃあ、こいつ例の教室に・・・

ああ、楽しもうぜ・・・

いやあああ・・・誰か、誰か、助けて!!

わかっているだろうな、最初にするのは俺だ。

そりゃもちろん。


ユースを引きずり校舎に向かうアルフたち・・・

その時、一人の漢が立ち上がっていた。



   ◇◇◇



その漢の全身からは、蒸気が発ちこめ、その眼はギラついていた。

でも何故か、呆けていた。

暫くすると、その漢は、なにかを理解したようで高笑いし大声で叫んだ。


「ガハハハハ・・・俺様、大復活!!」


立っていた漢の正体は・・・ジータ=ジン=ジムリスだった。

だが、それは、ナヨナヨしたいつものジータではなく。どこか荒々しかった。


「なんだ急に!!」ガジットが叫ぶ。


「ガジットの奴、手加減しやがったな・・・まあ、いい・・・早く片付けろ!」

「すみません。アルフさん。」


ガジットは、漢の前に立ち、拳を振り上げる。


「よくも恥をかかしてくれたな貧乏貴族!」


漢は、ガジットを睨みつける。


「わかってんだろうな!その拳を向けた先をよぉ!」

「そんなの知ったこっちゃねぇ!」


ガジットの拳が漢の顔面を捉える。

ガンッ!!と顔面にめり込むように入るガジットの拳。

だが、漢は、びくともせず仁王立ちしていた。


「な、なんなんだ貴様・・・」


「フン!蚊でも止まっていたか?」


漢は、鬼の形相に変わっていた。


「一発は、一発だ・・・これで、チャラにしてやんよ!」


漢は、拳を握り締めると、異様な気配を漂わす。

ガジットはその気配に気圧されて後退りした。

漢は叫ぶ。



「歯を喰いしばれぇ!!」



そう言うと、間髪入れずにガジットの顔面に拳が入った。

ガジットは、地面に叩きつけられ、まるで、ゴムまりの様にバウンドし転がって行った。

ガジットは、手足をピクピクと震わせ失神していた。


「なっさけねぇ奴だ。あの程度、踏ん張れねぇのか。」

漢は、ガジットを見下ろすのをやめ、アルフたちの方を向いた。


「さてと、今度はお前らの番だ。」


アルフは、顔をしかめながらもサリバンに命令する。


「その女は後だ!あの貧乏貴族に制裁をする!!サリバン・・・魔法を使え!」

「え!?いいんですかい魔法を使っても?」

「魔法での私闘なんてブリジット家の権力で揉み消してやるからよぉ。」


「じゃあ、遠慮なく・・・」


サリバンは、ユースをポイっと捨て漢の前に立ちはだかる。


「なに、イキってんだ貧乏貴族!魔法で焼き殺してやる!」


漢は、その言葉を気にもせず、ズンズンと進んでくる。



「ファイアボール!!」



サリバンの放った火炎魔法が漢を襲う。

漢に魔法が命中すると轟音が響き、周囲に炎が広がった。

ユースが悲鳴をあげる。


「いやぁぁぁぁぁ・・・・・・」


「アルフさん。あいつ、確実に死にましたぜ。」


「構わん、不幸な事故だ。」


「そうですね、これは、不幸な事故だぜ・・・」


だが、燃え盛る炎の中から人影が・・・



「う、うそ・・・だろ・・・」



衣服に炎を纏いながら、何食わぬ顔で出てくる漢。

漢は、服を脱ぎ捨てた。


「あちーじゃねぇか!」


漢は怒りをあらわにサリバンに向かってくる。


「サリバン!なにをやっている。たたみ掛けろ!」

「お、おお!!」



「ファイアボール!!」「ファイアボール!!」「ファイアボール!!」



火炎の魔法を連発するが、漢は自らその火球に突っ込んで行く。


「うおおおおおぉ・・・」


魔法を受け続けながらもサリバンの前に立った。


「こ、こいつ、魔法が効かないのか・・・」



「ああ、きかん。」



サリバンは、恐怖を覚えた。漢の異様な迫力に。


「覚悟は出来てるんだろうな!」


「うわあああぁぁぁ・・・」


サリバンは逃げ出そうとしたが、既に遅かった。

漢の身体が深く沈み込んだと思うと、漢の拳が下から上へと振り上げられた。

拳は、サリバンの顎を捉え、大きな放物線を描くように、吹っ飛んでいった。


漢は、ギロリとアルフを睨んだ。



「最後は、お前だ!三下!」



アルフは、ひるまない。逆に睨み返した。


「貧乏貴族にしては、やるじゃねえか・・・でも、そこまでだ。この俺、自ら制裁してやろう。」


漢は、薄ら笑いを浮かべていた。


「死ね!貧乏貴族!!」


アルフは、漢に向けて魔法を放つ。



「アイスニードル!!」



氷柱が造りだされ漢に向けて射出される。

漢は真っ向から向かい撃った。迫りくる氷柱を全て、その拳で叩き落した。


「なんなんだ、こいつは!」


アルフは、驚愕の表情を浮かべた。



「わかってるよなぁ!殺る覚悟があるんなら・・・殺られる覚悟もあるんだよなぁ!!」



漢は、腕をグルグル回している。


「おい、ガジット!サリバン!俺を守れ!!」


当然ながら二人は、ピクリとも動かなかった。



「このぉ!!大馬鹿野郎がああああぁぁぁ!!」



拳は、既にアルフの顔にめり込んでいた。

アルフはそのまま地面に叩きつけられ、顔は、潰れ血を流し、泡を吹いて気絶していた。

漢の完勝だった。


漢は、ユースの元に歩み寄った。


「おう、嬢ちゃん。大丈夫だったか?」


「ジータ・・・なんか・・・怖いよ・・・」


ユースは、漢を見て明らかに怯えていた。


「おっと、ジジジの身体だったな。」


「ジジジ?」


二人が話していると、遠巻きで見ていた野次馬が集まってきた。


「君、凄いな。あの問題児たちを1人で倒してしまうなんて!」

「ジータ、お前、強かったんだな。」


野次馬たちが漢を持ち上げていると、漢に異変が・・・


あへ~~っと言う、アホな声を上げ漢の意識が跳ぶ。


すると、ジータは、眼をぱちくりさせ呆然としていた。

野次馬たちが自分を讃えているのを不思議そうに見ていた。


「え?なに・・・」


すると、ユースが抱きついてきた。


「いつものジータだ。」


ユースを見れば、少し涙ぐんでいた。



   ◇◇◇



「うおおお、何故、戻った!?」


俺は、不思議そうにジジジの見る景色を見ていた。

冷静になって考えてみる。


あの時、ジジジの奴が蹴とばされて・・・


そうか、あいつが気を失ったから、俺が主人格になったのか?


そうに違いない。


だったら、あいつが寝てる間は、俺が主人格になれるって訳か!?


だとすると・・・


「夜は、俺の時間だぁ!!」






その夜。


おかしい・・・


ジジジは、スヤスヤ寝ている。

なのに、俺は、ジジジの中・・・



「何故だぁ!!」



俺は叫んでいた。


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