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   3話 ジータ=ジン=ジムリスの災難

僕は学校の正門の前にいる。

貴族の馬車がひきりなしに出入りしている。

僕たちと同じ様に徒歩での登校する生徒もそれなりにいる。なんだか安心する。


「ジジジ安心している場合じゃないぞ。」


話しかけないで下さい。


「空気が淀んでるぜ。」


別に普通ですけど・・・


「お前、わかんないのかよ!ヤバい気配もする。早く帰った方がいい。」


又ですか・・・僕は帰りませんよ。


「そうかよ。じゃあ、勝手にしな。」


始めっからそのつもりです。



ジータ。又、ボーっとしてたわよ。

ユース。ありがとう。心配いらないから。

でも、我慢できなくなったら言ってね。


学校内に入るとクラス分けの一覧が掲示板に貼りだされていた。

僕とユースは同じクラスになっていた。


「良かったな。」


何が良いのかわからないが、気になることも幾つかあった。

クラスの中に悪名高い貴族の子弟の名前もあったからだ。

アルフ、ガジット、サリバンの3人だ。

特にアルフは侯爵家で、悪い噂の絶えないブリジット家の四男だ。残りの2人は、ただの取り巻き。虎の威を借るなんちゃらだ。


「ふ~ん。こいつらか・・・」


僕とユースは教室へと・・・


なんか緊張するねジータ。

そうだね。


「別に緊張してねーだろお前。」


教室に入るとクラスメートが既に幾つかのグループに分かれ談笑していた。

僕は、もう一つの気になる者を捜した。

居た・・・カトリーヌさんだ。


「なんだなんだ、気になるのかあの金髪ツインテドリル。しっかし、悪人面してんな。」


カトリーヌさんを侮辱することは、僕が許さない。


「お前は、幼馴染にしとけって。お似合いだ。」


ユースは、ただの幼馴染でそう言った対象じゃない。


「彼女は、そうは思ってないと思うぞ。」


なんで、アグマさんにそれがわかるんですか。


「感だ。」


そうこうしていると、アルフたちが教室にやってきた。

教室の雰囲気があからさまに変わった。

和気あいあいとした雰囲気から、殺伐とした雰囲気に。


貧乏貴族とは、一緒の教室にいたくないね。


大きな声で横柄な態度でアルフが言う。

取り巻きも相槌を打つように続く。


貧乏貴族は、出て行ってくれないかなぁ。臭いんだよなぁ。

一緒の教室にいるだけで不快なんだよ。


誰も何も言わない。


「おいおい、あんなこと言ってるぜジジジ。なんか言ったれや!」


あんな連中とは関わる気はない。


「でもよ・・・お前にその気はなくても、向こうは違うみたいだぜ。」


3人組の一人、ガジットが僕とユースが座る席の方まで来て、バンっと机に足をのせて言う。


あ~~~ここが、一番臭いだよなあ!!


ガジットは、僕を睨みつけている。僕は、目を逸らした。


「あ!馬鹿!なぜ目を逸らす。付けあがるぞ。」


更にバンっと机を足で踏みつけるガジット。


お前らみたいな底辺貴族が来ていい場所じゃないんだよ!!


教室は凍りついている。誰も何もしない。

だが、それに一人立ち向かう子がいた。ユースだ。


あなた、失礼ですよ。それに机を足で踏みつけるなんて、育ちが悪いんじゃないの。


ユースは、ガジットを睨みはっきりと言う。

でも、僕は知っている。ユースの手が震えていたことを。


「ここは、男を魅せるとこだぜジジジ。」


僕は・・・何も出来なかった。ただ、目を背けるだけだった。

誰かのため息が聴こえた気がした。


言ってくれるじゃねえか姉ちゃん。


ガジットは、ユースにすごんでくる。

ガジットに気を取られていて、僕は、気づかなかった。

後ろに回り込んでいたサリバンに。

サリバンは、後ろからユースに抱きつき羽交い絞めにした。

キャーとユースの悲鳴がこだました。


「ああああ!!もう我慢ならん。変われジジジ。」


だから、どうやって変わるんですか。


「だったら、お前がなんとかしろ!!」


お!こいつ、結構いいもん持ってるぜ!


サリバンは、羽交い絞めしているユースの胸を揉みしだいている。


やめて~~~。


「ジジジ。ここで立たなきゃ男じゃないぜ!」


僕は・・・僕は・・・


もう、お止めなさい!!

見目麗しいが何処か悪人面した女性がそこにいた。


「金髪ドリルじゃね~か。」


女性に対してその振る舞いこのカトリーヌ=ディゼル=クロフォードが許しません。


彼女の家は公爵家。その権力に逆らえる者は、そうはいない。

爵位の上でもアルフの家より格上だったため大人しくその場は引いた。


二人とも、もういい。やめろ。


ガジットとサリバンは、おずおずと下がっていった。


僕は何も出来なかった・・・違う、何もしなかった。

そんな僕をカトリーヌさんは白い眼で見ているそんな気がした。


「まあ、普通に減滅だわ。」


ジータ・・・怖かったよ・・・


ユースが僕の腕に掴まってきた。ユースは、小刻みに震えていた。


ごめん・・・。

なんで、ジータが謝るの?あいつらが悪いんじゃない。


「ほんと、いい子じゃないか。こっちにしとけって。」


なんで、アグマさんに指図されないといけないんですか。


「あの金髪ドリル。ジジジには、荷が重い。ありゃ、そーとうなタマだぜ。」


タマってなんですか?


「ワルだって言ってんだよ。」


カトリーヌさんの何がわかると言うんだ。


「さっきの三馬鹿より、はるかにヤベ~気を放っていやがった。」


はあ・・・もういいです。



今日は、初日と言うことで、授業はなく。

学校での注意事項の説明と自己紹介をして終わった。

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