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  10話 白鳥れーこは、転生したら悪役令嬢になってしまった NO.03

私は、カトリーヌ=ディゼル=クロフォード。8歳。表向きは・・・

しかし、中身は、白鳥零子。28歳独身OL。社内では、『ございます。』とか『お局様』とか言われています。

こんな私が何故、死んだかと言うと・・・

ブラック企業に勤めていての過労死・・・だったら、良かった?んだけど・・・

昨今の事情で、在宅ワークも多くなり、たまに会社に行っては、雑務をこなし定時に帰る・・・実にホワイトだ。

実際は、友人に婚活の事やら社内の人間関係の愚痴りながらの宅呑みで・・・

冷静に自分の死因を分析するに・・・


急性アルコール中毒ですね。


まあ、やっちまったなって感じです。

でも、悪いことばかりではなかったのです。

なんと、なんと、異世界転生することになりました。

漫画やアニメで有名なチートスキルを貰って、俺つえぇぇぇするヤツですね。


私は、【未来視】の能力を貰って転生したのは良いのですが・・・

未来が見えても、この8歳の女の子の力では、何も変えられないと気づいたのでした。

幸い、まだ、アレは始まらないみたい。

アレが始まる前に何かしらの力を付けなくては・・・



  ◇◇◇



この世界・・・『ウェラヴァ』に来て初めて目にしたのは、イケメンだった。

イケメンと言っても、カトリーヌの父、ジェームズ=ディゼル=クロフォードだ。

イケメンでも父親じゃぁ、対象外ね。


「良かった、良かった、カトリーヌ。助かって本当に良かった。」

ジェームズは、目にうっすらと涙を蓄えていた。

「パパ・・・」

パパとか言っちゃったよ私。そんなつもりはなかった。

思うに少女の記憶がかすかに残っていたのかな?


次に目に入ったのは・・・母、エトワール。

地味に同世代・・・勝ち組かよ。

少々、目がキツメだがかなりの美人さんだ。私には劣るけどね、生前の私に・・・決して勝ち組に嫉妬してる訳じゃないんだからね。


エトワールは、目にハンカチをあて涙を拭いていた。

「ママ・・・」

ま~た、言ってるし・・・ま、いいや。


3人の弟たちも心配そうに見ている。


ん!?長男らしき男の子・・・どこかで見た様な・・・

アルフレッド・・・やっぱり・・・知っている気がするけど・・・

思い・・・出せない・・・。



カトリーヌは、不治の病にかかり、余命、幾ばくも無いと診断されていたらしく、

今度、昏睡状態になったら助からないと言われていたそうだ。

ちょっと、心苦しい。

本物のカトリーヌは、虹の橋を渡って行ってしまった。

代わりに28歳、絶賛婚活中だったOLが中身になりました。

ごめんなさい。

でも、家族は嬉しそうだ。

せめて、それだけは良かったと思う。



回復は順調だった。と言うよりも、オプションの使用で全快してるんですけどね。

両親が心配して、なかなか、ベットの上から動けない。

もう、大丈夫なんだけどな・・・


どうやら、カトリーヌは、重い病を患ってかなり、わがままになってしまったらしい。

願いを言えば、何でも叶えて貰えたから、わがまま言いたい放題になってしまった。

まあ、親にしてみたら、死を宣告された愛娘の願いを叶えたいと思うのは、ごく自然なことだしね。


さてと、当分は、ベットの上から動けないみたいだし、この子、カトリーヌのスペックを調べないと。


漫画やアニメだと『ステータスオープン』とか言えば、ステータスが表示されると思ったんだけど・・・やってみればわかるか。

ちょっと、恥ずかしいけど・・・

「ステータスオープン。」

・・・・・・・・・・・・

・・・・・・・・・・・・

・・・・・・・・・・・・

なにも起こらないわね。う~~ん、困ったわね。

よくある設定はなしか・・・

自分で色々と試せばいいか・・・

と言ってもどうすればいいのか・・・聞けばいいか。

聞くは一瞬の恥、聞かぬは一生の恥って言うしね。

剣と魔法の世界っておじさんが言ってたし・・・魔法があるってことよね。

魔法少女・・・なんて良い響きなんだろう。

日朝のプリなんちゃらは、よく知らないけど、ド〇ミちゃんならわかるだよね。

早速、エトワールさんが来たので、聞いてみよう。

怪しまれるといけないので・・・

「ママ・・・私、魔法のこと知りたいな?」

こんなもんでどうよ。

エトワールさんは、目を丸くして私を見ている。そんなに驚くようなこと・・・

「カトリーヌ、大丈夫?熱でもあるの?」

私の額にエトワールさんの額がくっつく。

「熱はないみたいね。」

「私が魔法のこと聞いたらおかしいの?」

「勉強嫌いのカトリーヌが、自分から知りたいだなんて・・・」

しまった!カトリーヌは勉強嫌いだったか・・・

「ママはママは嬉しいです。早速、魔法の先生をお呼びしなくちゃ!ついでに、語学や歴史の先生も、あと礼儀作法の先生も!」

エトワールさん・・・ついでは要らない子ですから・・・

魔法の先生だけで・・・出て行ってしまった。



暫くすると、一番上の弟、アルフレッドがやって来た。

「姉さん。具合はどお?」

「良好よ。アル。」

自然にアルって出ちゃったけど・・・大丈夫かな。

「良かった。姉さんが倒れた時、みんなもうダメだって・・・でも、僕は信じていたんだ、姉さんは絶対に治るって。」

問題ないみたいね。でも、良い子じゃないアルフレッド。

よく見れば父親に似ている。将来イケメンになるわね・・・だが、弟だ。対象外。

いけない、いけない。

婚活をしてた影響で、す~~ぐ、そう言った対象に見てしまう。


その時、唐突に襲う既視感。

フラッシュバック、デジャヴってヤツだ・・・

少しだけ成長したアルフレッドの姿が現れては消え、現れては消えを繰り返す。

なんなの・・・今の・・・まさか【未来視】なの?

呆然とする私。

「姉さん、姉さん!大丈夫!?」

「あ、うん。大丈夫よアル・・・ちょっと疲れただけだから・・・」

「僕、誰か呼んでくるよ。」

アルフレッドは、人を呼びに出て行った。

7歳とは思えない、しっかりとした子だ。

しかし、今のは【未来視】じゃない気がする。

なにか、大事なことを忘れている・・・


それから、心配した家族が医者を呼び、診察を受けた。

超回復した反動と診断された。藪医者じゃないか。

この結果、私は尚更、過保護な扱いを受けることになった。



そして、ようやくベットの上から解放されたある日、私の記憶を呼び覚ます出会いがやって来る。


その日はエトワールさんが呼んだ先生の授業は午前中に終わり、午後にはなにも予定なかったはずだった。だが、なんだか慌ただしい。それは、何故か。

ローゼンフィールズ王国第二王子、トラウト=ローゼンフィールズがお見えになられるからだった。


このトラウト王子とカトリーヌは、婚約するはずだった。

だが、病気を理由にそれを断った。

カトリーヌが回復したと聞いて駆け付けた次第だそうだ。


そして、トラウト王子と引き合わせられる。


「カトリーヌ。お久しぶりです。」

どうやら、初対面じゃないらしい。どうしましょう。当たり障りのない様に答えよう。

「はい。お久しぶりですトラウト王子。」

礼儀作法の授業、受けてて良かった。習った作法でお出迎え。

「なんか、雰囲気変わったねカトリーヌ。」

やっぱり、変わったか~~~。

「そうでしょうか?私には、わかりません。」

とにかく、誤魔化そう。

「うん。表情が柔らかくなったよ。」

はい。そうですか。

「前は、ツンツンして近づきがたい雰囲気だったけど、今の君は・・・何か優しい・・・」

意外に高評価?待て待て・・・これどう答える・・・

「私は、以前から優しいですわ。」

どうだ?

「そうか!失礼なことを言ってしまったね。」

「そんなことありませんわ。」

うん、問題なし。


しかし、このトラウト王子・・・まだ、幼いけど、かなりのイケメン。淡い金髪もまたグット。

婚約するはずだったのよね・・・玉の輿を逃がしたかな。

まあ、しょうがないわね。一国の王子なんかと結婚なんかしたら、窮屈そうで嫌だな。


「じゃあ、改めて言わせて貰います。私と結婚を前提としたお付き合いをしましょう。」

「はい!?」

おい、おい、まだ8歳でしょ。親が決めた婚約じゃぁなかったの?

それだったら、致し方ないとは思っていたけど・・・

まさか、王子から申し込んでいたの???

「良かった!受けてくれるんですね。」

え?え?え?どう言うこと・・・

私は、思い返す・・・「はい!?」か!その、肯定の『はい』じゃないし・・・

「あのさっきの『はい』は、受けたわけでは・・・」


「みんな聞いてくれ!カトリーヌが私の求婚を受け入れてくれた。」

聞いてねーーー。


遠巻きに見ていた王子の従者たちが拍手をしながら集まって来る。

「おめでとうございます。殿下。」

従者たちの祝辞が止まらない。おめでとうの声がこだまする。


ちょっと待って・・・玉の輿は正直、憧れるけど・・・

無理、無理、無理・・・だって面倒臭い仕来りとか一杯あるんでしょ。


勝手に話しが進んで行く。

ジェームスさんは、「でかした。」て言うし・・・

でかした・・・じゃないわよ、本当に。

エトワールさんは、泣いてるし・・・

弟たちも喜んでるし・・・

ああ、もう!!

その時、又、私は、フラッシュバックに見舞われる・・・

記憶の渦の中から様々なキャラクターたちが代わる代わる脳裏に蘇る。

そして、一つのキャラクターの顔と、今、目の前にいる少年の顔が一致する。


「トラウト=ローゼンフィールズ・・・思い・・・出した・・・」


私は高校時代の友人のサッチンの勧めで始めた乙女ゲー・・・


【ウエルカム・ラヴァーズ・ファンタジー】


通称・・・『ウェラヴァ』


主人公、ユースティア=フルフラッドシュッテンタルトが魔法学院で出会う男の子と恋愛する、王道乙女ゲーだったはず。

そのメインの攻略対象が、トラウト=ローゼンフィールズ。

そして、カトリーヌの弟、アルフレッドも攻略対象だったはず・・・


そして・・・私・・・カトリーヌ=ディゼル=クロフォードは・・・

主人公のライバルキャラの悪役令嬢・・・

何かと邪魔をして・・・結局、死んだり追放されたりする可哀想なキャラだったはず・・・


どうして、こうなった・・・


あのメタボ・・・知ってたなぁ・・・(オホホホ・・・)


私は破滅を避けるための対策に追われることになる。


私・・・


白鳥零子は、転生して悪役令嬢になってしまった。


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