プロローグ
はじめまして。絆 幸鶴と申します。
仕事が暇になり、仕事中に妄想してた事を形にしてみたく初めてみました。
頑張って書きますのでよろしくお願いします!
「つ、遂に完成だ!」
この日をどれだけ待ち望んだ事か。
ある日、俺のやっているスマホのMMORPG『Formula GENESIS』にイベントが追加された。
『楽園の扉を開け、新たな世界に旅立て』
突如現れたこのイベントは、全ての武器や防具、素材までもを『天獄の祭壇』に捧げ、『楽園への鍵』を作り、『楽園の扉』を目指すと言うものだった。
ただ、このイベントは過去にあった限定イベントのアイテムも要求しており、どう考えても新規プレイヤーを増やそうと運営は思っていないだろう。
それに『Formula GENESIS』はもう2年はアップデートがされていない。
続々と新作がリリースされるスマホゲーム市場で生き残れる程のモノでは無かったのだ。
それでも俺、水柱 結城はリリース後から夢中で遊んだ。
売り文句であった
『誰も見た事ない でも誰かが夢見た世界』
当初、この言葉に惹かれ何となく始めたゲームだったが、とにかく全てが綺麗だった。
見たこともない荘厳華麗な建物。
幻想的で、でもどこか懐かしい景色
そして、誰もが一度は欲した力『魔法』
全てが俺を夢中にさせた。
イベントで新マップが出れば、誰よりも早く向かったし、新しい武器や魔法、アイテムが出れば金を惜しまず課金した。
その甲斐もあり、俺は『楽園の鍵』を手に入れる事が出来た。
もちろん躊躇いはあった。
集めた素材は文字通り、血と汗と涙の結晶だ。
人生と言ってもいい。
まあ、会社と家を往復するだけの、親しい友人も恋人もいない人生だが。
「これが『楽園の鍵』か。何だか牢屋とかで使ってそうな鍵だな。」
鍵は所々錆びていて、とても楽園に行ける鍵だとは思えない。
でも名称は確かに『楽園の鍵』であるし、間違いは無いだろう。
「本当に頼むぞ。もう俺は後には引けないんだからな。」
祈るように俺は画面の鍵をタップする。
鍵を使用するかを問われ、迷わず俺はYESを選択する。
すると画面一面に黄金に輝く扉が現れた。
「これが『楽園の扉』か。良かった、期待出来そうだ。』
今度は何に出逢えるんだろう。
期待は尽きぬまま、俺は扉に触れる。
そして扉が開く瞬間、自分の意識が無くなるのを感じた。