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第3話 先輩と後輩

第3話 高校生編です


※サイドストーリー作成のため話数追加


・・・先輩、大好きです。




~高校1年生~


僕は特段何の特徴もない普通の高校に進学。

新学期早々、新入生対応の学校説明会に参加していた。


学校説明会は新入生が上級生にいろいろ質問して早く慣れてもらおうとする仕組みで、

組み合わせで新入生と上級生がグループを組む形となっていた。


僕がいる組み合わせは先輩1人と新入生は僕を含め3人。

先輩は地味な眼鏡をかけていたけど、眼鏡越しの透き通った目と顔立ちは美人ということで間違いないだろう。


「こんにちは。高校には慣れましたか?わからないことがあったら聞いてね」

先輩は学校生活についての注意事項を細々と説明していく。


一通り説明し終わって、


「何か質問はありますか?」


学校生活の質問も尽きてくると自然と先輩の事についての質問が飛ぶ。


「彼氏とかいるんですか」

「今はいないよ」


「好きな人のタイプは」

「優しい人かな」


「どんな音楽が好きですか」

とあるグループの名前が出る。


「先輩、あのグループ好きなんですか、僕も好きなんです。」

「ほんと?あんまり人気ないから知ってる人少なくて。この間出た新しいアルバム買った?私まだなんだけどどうだった?」

「聴きます?よかったら貸しますよ。今度持ってきます。」



「さて先輩のクラスはどこだろ。しかし上級生の教室は緊張するなあ」



上級生の教室が続く廊下を進み、先輩のクラス前に到着。

教室にいた人に先輩を呼んでもらい、約束したアルバムを届けると、


「ほんとに持ってきてくれたんだ!わざわざありがとう!必ずお礼するね!」

先輩は嬉しそうにアルバムを受け取り、笑ってくれた。




弁当を持ってこなかったある日、昼ごはんを買いに学食に向かう途中、先輩に声をかけられた。


「こんにちわ。お昼は学食なの?」

「です。いつもは弁当なんですけどたまに学食です」


「そうそうこの間借りたアルバムすごい良かった!お礼もしたいし、よかったら今度一緒にお昼しましょうよ」

「え、マジですかすごい嬉しいです」


「じゃ早速明日でいい?待ってるからね」


翌日、先輩と合流し、

「じゃあ中庭行こうか」


中庭に移動してそこにあった長椅子に並んで腰かけると、先輩は持ってきたバッグを開け、

「よかったらこれどう?君と食べようと思って多めに作って来たの』と、サンドイッチを取り出した。


先輩が作ったサンドイッチを頂く。



「すごい上手ですね。いいお嫁さんに・・・」

言いかけた僕の口に先輩の指が触れる。


「言わないで」

ふと寂しそうな顔が見えたけど、すぐに微笑んだ。



先輩と僕はよく話をした。

一緒にいてすごい楽しくて、先輩は僕の話を興味深げに聞いて笑ってくれる。


もうそれだけで幸せだった。



秋口、またも先輩とお昼を一緒にしていた。


「そろそろ進路決まる時期ですけど、先輩、進学先はどちらに?」

「私、卒業したら結婚するの」


「・・・え、なんで」

自分ながら間抜けな言葉を呟いていた。


「もうだいぶ前から決まってた事だったの。黙っててごめんね」

その日の午後は何をしたのか覚えていない。ただ、寂しそうな先輩の顔だけが残っていた。



‘僕が好きになった人に、僕は必ず振られる`



先輩の卒業式のあと、声をかけて一緒に写真を撮ってもらった。

せめて一言、好きでしたと言いたくて。


「先輩お世話になりました。卒業おめでとうございます。あと結婚おめでとうございます」

「ありがとう、元気でね」


・・・でも言えなかった。




~高校2年生~


先輩に振られた傷も癒えないまま進級する。


今年も新入生が入ってきた。

去年参加した学校説明会に今度は僕が先輩として参加することになり、

組み合わせは僕1人と新入生3人。


「こんにちは。高校には慣れた?わからないことがあったら聞いて」

僕は学校生活についての注意事項を淡々と説明していく。


「何か質問はありますか?」


途端に栗毛の女の子が1人で次々と質問してくる。


「彼女いますかー」

「好きな人とかどんなタイプが好きですかー」

「私とか彼女にどうですかー」


「あの、今日初対面なのにいきなりそれ聞きますか。いや、彼女はいないし、欲しいとも思わない。あと君を知らないから」

「えー寂しいー」



あーうるさい。こちとら失恋して間もないのでそんな余裕は無い。


栗毛の女の子は説明会で僕のクラスと名前を覚えると、翌日から僕の教室に毎日来るようになった。


「先輩ーこんにちはー」

「またきたのか。毎日ここに来てたらクラスに友達出来ないぞ」


「そんなもん勝手にできるって。じゃ今日も先輩の顔見たし、部活行ってきまーす」

「頑張ってー」


説明会以降なんか妙に懐かれたなあ。懐かれたレベルじゃない気もするけど。



「さて帰るか」

「あ、先輩、わたし部活行きますし、途中まで一緒に行きましょうー」


そろそろ夏休みも近い暑い夏の日の放課後、毎日飽きもせず僕の教室まで来ている栗毛の女の子と一緒に教室を出る。


廊下を進みちょうど人目につかない角に来た所で足を止め、


「先輩って好きな人いないんですかー?」

栗毛の女の子はそんなことを聞いてきた。


「好きな女の人はいるよ。でも去年振られてる。僕が忘れられないだけだよ」


僕の答えを聞いて、栗毛の女の子はちょっと考えたあと、

「先輩に言いたいことあるんですけど聞いてくれます?」


真面目な顔をして一言、


「先輩、好きです。付き合って下さい」



少しの沈黙、そして僕は、


「ごめん、それは出来ない」


「え、誰か付き合ってる人とかいます?」

「いやいないよ。でもダメなんだ。ごめん。」


「解りました。今日は諦めます。でもまたチャレンジします!」

「じゃ部活行ってきます!」


「お、おう。頑張って・・・」

栗毛の女の子はそのまま走っていった。



‘僕を好きになった人は、僕とは必ず付き合えない`





1学期最後の日がやってきた。明日から夏休み。


いつもどおり栗毛の女の子と一緒に教室を出る。

告白を断って以降も僕の教室まで来て毎回告白して行くんだよねえ・・・



今日も栗毛の女の子は僕に告白していた。


「先輩、好きです!今日こそ付き合って下さい!お願いします!」


「ごめん、だから何回来られても答えは一緒だよ?」

「・・・・うわーん!!!!」


ついに栗毛の女の子は涙を浮かべ、僕に抱きついてきた。

「先輩の好きな人はもう居ないんですよ?じゃあ、私の方を向いてくれてもいいじゃない!」


僕の腕の中で泣きじゃくる様子を見て彼女の背中をそっと優しく叩く。


「ごめん、それでもだめなんだ」



夏休みが明け、栗毛の女の子は僕の教室に来なくなった。

どうやら彼氏ができたらしい。少し寂しさを感じるけど静かな放課後。


ある日僕が弁当を食べようと中庭へ向かったら、先に栗毛の女の子と彼氏であろう男の子が長椅子に座っていた。

当然気が付いたが、邪魔しちゃまずい、ちょっと離れるか、と少し離れた場所で弁当を食べ始めた。


・・・・ん?

もくもくと弁当を片付けていたら何か目線を感じる・・・・


栗毛の女の子が僕をじっと見ている。


いやいや、僕をみないで。

彼氏居るんだからそっちをみてなさい。


ほら、彼氏が妬いてるじゃないか・・・





~高校3年~


無事進級することができた。先輩に振られた傷も大分癒えて、思い出さなくなってきた。

・・・栗毛の女の子の目線は今でも時々感じるが無視している。


今年の学校説明会は僕は出なくて良かったが、その代わり秋に行われる文化祭を任されることに。


春先から夏にかけて文化祭の準備をしつつ、進路をどうするか悩んでいたが、

夏休み前には推薦で大学への進路を早々と決めていた。


文化祭でのクラスの出し物は模擬店で喫茶店をすることに。

当日、教室の前で客の整列をしているときに声をかけてきた人がいた。


「お久しぶり。元気ですか」

「先輩・・・ですか?」


学校では目立たなかった先輩がものすごく綺麗になっていた。元々美人だったのがさらにレベルアップしている。


「おいあれ誰の知り合い?すごい綺麗だな」

「ここの卒業生らしいよ」


周りの生徒も皆先輩に見とれていた。

僕を見る目は昔と変わっていない。あの透き通った目で僕を見ている。


順番が来たので席に案内し、コーヒーを持って行くと話しかけられた。


「久しぶりですね。その後彼女とかできた?」

「できませんよ・・・」

「うそ、君は今付き合ってる人とかいるんじゃないの?」

「居ませんよ。いるわけないじゃないですか」


先輩を忘れようとして忘れられず、やっと思い出さなくなったと思ってたのに・・・

それを知ってか知らずか、先輩はとんでもないことを言い出した。


「じゃあさ、、私と付き合っても良いよ?どう?」

はい?先輩は何を言ってるんですか?


「マジで勘弁して下さい、冗談と判ってても怖いです。先輩結婚してるじゃないですか」

「君とならいつでも良いよ?君、私の事好きだったでしょ?知ってたよ?」


先輩、どうして・・・今そんなこと言うんですか・・・

もしかして旦那さんとなにかあった?

あるんだろうけど、僕には何も出来ない、してあげる事が出来ない。


せめて僕が今ここで僕がしてあげられる事は・・・


「いい加減にしてください!僕が好きだった先輩はそんなこと絶対に言わない!」

「やっと吹っ切れたと思ってたのに!今の先輩は大嫌いです!」


僕は先輩を叱った。

先輩はハッとした顔をしてすぐ顔を伏せたが、おそらく泣いているのが判った。


手元のハンカチを先輩に差し出したらそれをすっと受け取り、

「ありがとう。はっきり言ってくれて。私も君のことを好きだった。諦めきれなかった。ごめんね」


先輩は顔をハンカチで押さえ、泣き顔のまま出て行った。


「おい、なんか修羅場だったのか?」

「いや、昔の失恋の話だよ」


`僕も好きになった人に、僕は必ず振られる`


後日、先輩に渡したハンカチが手紙とともに送り返されてきた。

先輩は旦那さんとちゃんと話し合ったらしい。僕のことも話したと書いてあった。




僕は先輩に返事を書こうと思う。


先輩へ

もう僕は先輩を忘れます。なので先輩も僕を忘れてください。



・・・先輩、大好きです。






後程見直して細々と変更します

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