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プロローグ

「雪深いところだとは聞いていたけれど……」

 ネリーはカーテンのひかれた馬車窓の隙間から、外を覗いた。

 季節は春。これまでネリーが過ごしてきた王都は薄着で過ごしてもよい季節だった。だが――

「まだ、雪が残っているのね……」

 王都から一路北へ。

 随分と遠いところに来てしまったのだと、ネリーは改めて思った。

「ネリー様、お城が見えて参りましたよ」

 御者の声に視線を上げる。

「……なんて、大きいの」

 まだ白く雪の残る山。その中腹にそれはあった。白い石造りの城は、いくつか尖塔のついた、壮麗な外観をしている。ここから、まだまだ離れた場所にあるはずのそれは、この場所からでも十分な大きさに感じた。

 少し古めかしいように見えるが、それがよりネリーを圧倒する何かを放っている。

 窓に添えた手に、知らぬうちに力が籠った。

「わたし、やっていけるかしら……」

 馬車一つと御者一人。

 たったそれだけの供しかいない花嫁行列は、生贄に選ばれたかのような面持ちの花嫁を乗せて、その城へと向かっていた。

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