悪役令嬢「浮気者に興味はございませんので!!」
悪役令嬢?物です
凄いテンプレストーリーなのでサクサクっと読んで頂ければ
「私の愛すシエラへの数々の嫌がらせ、ついには命まで狙ったそうだな!公爵令嬢マーガレット、婚約破棄させてもらう!」
「いいですわ、破棄しましょう!浮気者には興味はございませんので!!」
公衆の面前で公爵家令嬢、マーガレットはそう言い切った
「ちょっと待ってくれ、ここは冤罪だ!とか抗うモノでは?」
「何を言っていますの?私のような婚約者がいながら他の方に手をかけたのはどちらでして?」
そう、マーガレットはぬくぬくと温室のような御屋敷にて
ぬくぬくと愛され育った故に「純愛」にしか興味が無いのだ
主な原因は親バカの公爵が社交界では下賎な物とされているロマンス小説をマーガレットが読みたがる為、幼い頃から読ませて来たせいだが……
「みなさん、見て下さいまし!」
そうマーガレットが叫び、パチンと指を鳴らすと、どこからかマーガレットの従者達が現れて、断罪の場所、学園の広場に巨大なモニターが設置された
「今から私と従者とご学友の皆様で集めた動かぬ証拠を見て頂きますの!これで第一王子とわたくし、どちらが醜いか決めて頂きたいですわ!」
その言葉と共にモニターにはある映像が映し出された
学園の裏庭、人目につきにくい所で第一王子がシエラの腰に手をかけて何かを囁いている、シエラはあまり快くは思って無さそうな表情だ
「見て下さいまし!この日、この日からですわ!!第一王子は私という婚約者がいながら、王家と平民という身分の差を利用してシエラさんに愛を押し付けたんですの!」
「押し付けたなんて人聞きの悪い!別に私はっ……」
「今の王子の言葉なんて聞くだけ無駄ですの!」
マーガレットが「次ですわ!」と従者に指示を出すと、映像が切り替わる
「次の映像はこれですの!見て下さいまし!王子がシエラさんに労働を強制していますの!!」
そう言い放った直後映し出された映像はマフラーを作ってくれとネチネチした笑みでシエラに詰め寄る第一王子の姿だった
「こんな映像は全部偽造だ!こんなの眉唾だ!」
「あら王子何を焦ってらっしゃるの?覚えの無い罪なら堂々とされていればいいのよ?」
「これで最後ですわ!」
そう叫んだ時、映像がまたまた切り替わる
次の映像は階段からシエラを突き落とす第一王子の姿だった
「わたくしとの婚約を破棄する材料とはいえ、女性を階段から突き落とすなんて!王子以前に人としてどうかと思いますの!」
「そんなっ……私はっ……」
「私は冤罪だと乞うつもりは無いですし、身の覚えの無い罪は認めませんわ、ただ堂々と佇んでいればいいですのよ、シエラさん、最後に問いたいですわ、この場に不敬罪なんて物はないですの!貴方が第一王子の事をどう思っているか聞きたいですの!」
「マーガレット様!私は第一王子に恋愛感情を抱いた事はありません!不敬罪だと訴えられるのが怖くて、従うしかなくて……、このようにマーガレット様を裏切るような行為に出た事をこの場を持って謝罪させてる頂きたいです!」
シエラがそう言い切るとマーガレットは「よく言いましたの」と言って第一王子と真逆の方向に体を向けた
「国王陛下!今日は学園まで足を御運び頂き感謝致しますわ、そして第一王子への無礼を謝罪致しますの」
そうマーガレットが言い、お辞儀をすると、群衆の中から一人の男性が堂々と出てきた、髪は白く染まっているが獅子の様な勇敢な眼差しと優しい笑みを備えた人こそ、この国の国王であった
「マーガレット公爵令嬢、無礼を詫びるのは此方の方だ、その頭を上げてはくれないか?」
そう言われるとマーガレットはずっと頭を上げた
「今日私はずっとこの場で様子を見ていた、私にはマーガレット公爵令嬢が嘘をついているようには、見えなかったが?」
「お父様……しかしっ……」
第一王子が言い訳をしようとしたが、国王の睨みで黙りこくってしまった
「何も言わないのであれば、肯定とみなす、今のお前は王位を継承するのに相応しく無いだろう、第一継承権を第二王子に譲ろう」
そう国王が言うと第一王子の顔が青ざめていった
しかし群衆は響めきもせず、ただその様子を見守っていた正直、群衆達もこうなって妥当だろう、と思っていたのだろう
「こんな筈では無かったのにっ……」
そう捨て台詞を吐いた王子は広場からそそくさと出て行ってしまった、この場所にいられなくなったのだろう
「国王陛下ご協力、感謝致しますの」
マーガレットが再び頭を下げると、隣にいたシエラも続けて頭を下げた
「いや、構わないよ、私は父親として当然の事をしたまでだ、此方こそ感謝する」
そう国王場言うと広場から出て行った
シエラとマーガレットも国王を見送ると自分の部屋に戻っていく、群衆も次第にバラバラと少なくなっていった
部屋に帰って、マーガレットはまたロマンス小説を読む
「はぁ……わたくしにもお互いを深く愛し合える方が現れないかしら……」
その呟きを聞いたシエラがマーガレットにアタックするのは、また、別の話である