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第3話:初めての武器屋さん

どもどもべべでございます!

やっと運動会が終わったよ!これで書けるようになったよわーい!

というわけでご投稿。どうぞ、お楽しみあれー

 

 リネンスタの町にも、当然装備に関する店は存在する。

 冒険者ギルドから徒歩3分。最高の立地条件で皆を支えてくれる「フリンクの武具屋」にて、4人は顔を見合わせていた。


「これで……いくらなの? 『めがね』」

「うぅん……銅貨が8枚、ですねぇ……」

「武器とか買えますかねぇ?」

「わかりません……店員さんに聞いてみないと……」


 現残金、銅貨8枚。

 4人で合計してこれとあっては、彼らのお先は真っ暗闇だと言って差し支えない。

 なんせこの世界における銅貨は、読者諸君でいう所の千円に該当するからである。


 4人で合計8000円しか所持していないなんて、社会人としてどうかと思うのは当然であろう。

 ちなみに、『ばくし』は清々しい笑顔で肩たたき券をポケットから取り出して、『めがね』からツッコまれていた事をここに明記しておく。


「それに、武器もそうですが、何より僕らは来月の借金返済を考えないといけないわけで……」

「あ~、1人につき銅貨5枚? だっけ?」

「そうですよ『ばくし』さん。つまり、4人で銀貨2枚です」


 4人が活動を開始したその時、スモーキンから言い渡された払いは、月に1人頭銅貨5枚という条件だった。

 『めがね』が銀貨2枚だと計算していたのは、単純に銀貨が銅貨10枚分だからということである。

 つまり、4人で月々2万円を支払っていくという意味になる。

 こうして日本特有の通貨に直してみると、意外と良心的な金額だと言えなくもない。


「……今、既に1人分はあるのよね」

「そうですね。あえてこのお金は残しておく、という選択肢もあります」

「ん~、それもこれも、まずはお値段を見てからよね~」

「…………(コクコク)」


 ひとまずはこれで満場一致。

 4人は改めて、フリンクの武具屋に足を踏み入れたのであった。




    ◆  ◆  ◆




「一番安いのがこれ、鉄のナイフだねぇ。一振りで銀貨5枚」

「「「失礼しました~!」」」

「…………(ぺこり)」

「フスッ」


 そして、経済というラスボス相手に無様な敗走を強いられた冒険者一行は、フリンクの武具屋を後にした。

 この世界はどうやら、敗者に鞭打ちの後でムチウチにしておく程度に容赦のないベリーハード設計な御様子。丁度、読者諸君の置かれている現実世界も似たような状況では無いだろうか?

 つまるところ、世界とはそれすなわち平等なのである。


「どうしましょう~? これでは装備が整えられませんよ~」

「……(こくこく)」


 『けもなー』の言葉に悩みを見せる一同ながら、考えたところで小銭が増えるわけでもなし。

 まさか、序盤の敵が「冒険に行けない」事だとは。タイトル詐欺もいい所であると言える。


「……仕方ないわね……『めがね』、最後の手段よ」

「『ばくし』さん?」

「その金を倍にして更に倍! 倍付けドンで全員の装備を整えるのよ! ふ、ふふふ、大丈夫、大丈夫よ……絶対行けるから。っふふ……!」

「行けるわきゃねぇですよ!? 『あらくれ』さん、お金に手を出されないように抑え込んでおいてください!」


 その言葉に即反応した『あらくれ』は、『ばくし』の脇に手を回して高々と持ち上げておく。

 もふもふケモミミっ子が「な、何をするだぁぁぁ!?」と悲鳴をあげているが、とりあえず全員無視しておくことにした。


「う~ん、けど本当に困りましたね。冒険に行ってお金を稼ぎたいのに、その冒険に必要な武器や防具を買えないなんて……これじゃあ冒険者になった意味がないですよ」

「それに~、このままだと月々の返済もできません~」


 唸る2人と「むきゃおぉぉ!」と叫ぶ獣。

 このまま思考の渦に捕まり、膠着状態が続くのかと思いきや……救いの手が、そんな2人に舞い降りる。


「……(ちょいちょい)」

「ん、『あらくれ』さん?」


 その救世主メシヤは、いつのまにか『ばくし』を肩車しながら自分のカードを差し出してくる。

 そこには、ステータスの欄があり、「ガード」「バーバリアン」の輝かしいクラス説明文が記載されていた。


「……そ、そうかっ、『あらくれ』さんは武器や防具がなくてもある程度戦えるから、自分が何とかするって言ってるんですね!?」

「…………(こくこく)」


 彼のクラス、「バーバリアン」は、鎧を着ない事で素肌に防御力を付与させる効果を得るスキルがある。

 つまり『あらくれ』は、自分が盾になるから簡単な依頼を受けに行こうと言っているのだ。


「あ、『あらくれ』さん、頼もしすぎます~……!」

「さすがね『あらくれ』! 私の一番弟子にしてあげるわ!」

「…………(さんきゅう)」

「で、でも本当に良いんですか? 危ないんじゃ……」


 心配の視線もなんのその。『あらくれ』はその胸板をズドンと叩いて「まかせんしゃい」の構えを崩さない。

 出会って間もない仲間の為に頑張るという決意。彼がなぜ冒険者などという立ち場に堕ちてしまったのか、はたはた疑問でならない。


「……わかりました。では、当面の目標を「装備のための資金稼ぎ」として、安くてもいいから依頼を受けていきましょう!」

「「お~!」」


 かくして、初めて武器屋に訪れた冒険者一行は、門前払いを食らった挙げ句に危険な紙装甲ズのまま遠足に洒落込むこととなった。

 はたして、4人を待つ依頼というのはいかなるものなのか?

 答えは、受付のお姉さんのみぞ知る!



『……へぇ、あのデカブツ、「バーバリアン」かよ。いいじゃねぇか』

『引き抜くっすか?』

『へっ、使えるに決まってるからな。当然だぜ』



 ちらりと不穏な雰囲気を漂わせつつ、待て事項!

 

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