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拾われる

「あ〜テスト受けたくねぇ…。」

机に突っ伏して愚痴る俺をあいつは冷めた眼差しで一瞥し、言った。

「補習、頑張れ。」

「いや補習前提かよ!」

「頭の大事な部分がすっぽり抜けている君が、勉強もしてないのにいい点取れる訳ないでしょ。あんまり自分を過信しない方がいいよ。」

あまりの言い様に腹が立ったが、前回も前々回も補習だったので情けない事に何も言い返せなかった。いつもの屁理屈だったら噛み付けるのにと悔しく思いながらなおも愚痴る。

「あ〜あ、猫はいいよなぁ…勉強もしないでいいしテストもない。」

すると彼女は意地悪い笑みを浮かべて言った。

「君みたいな視界のテロ要因よりは可愛い猫の方がマシだね。もし猫になったら私が飼ってあげるよ。」

「なんだよ視界のテロって…お前みたいな性格の悪い飼い主は願い下げだわ!」

憤りながらそう返すと、あいつは楽しそうにけらけらと笑っていたのだった。


確かに今のこの状況だと飼い主は欲しいが、やっぱりあいつに飼われたくはないな。性格の悪さは変わりないだろうし…何より、俺が死んだ事を一番喜んでいそうな奴に誰が飼われたいなどと思うのか。そんな風に考えながら見ていると、あいつは立ち止まって、俺の死んだ場所に向き直った。まさか本当に喜んでいるのか?と苦々しく思うが、ちょうどこちらに背中を向けていてその表情は窺えない。

じっと眺めているとあいつはまた歩き出そうとして。


…目が、合った。


あいつはまた立ち止まり、かがんでこう言った。

「…君は、捨て猫?」

「にゃおん」

聞かれても答えられなかった。当たり前だ。しかしあいつもまさか猫如きに返答を求めている筈もなく。

「よし、家の子におなり。」

いや猫が好きなのは知っていたがまさかどんな病気を持っているかもわからない捨て猫を拾う訳は無いと油断していた。逃げようと思うが咄嗟に慣れない足を動かせる筈も無く。

見事に首根っこを捕まえられてしまい逃げられそうもない。まさか、よりにもよって、こいつに飼われる事になるなんて…!

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