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奴隷ちゃん

なろう主人公の奴隷ちゃん

作者: もこもこ

---なでなで




 「流石ですご主人様!」


 私は獣人の証である耳と尻尾を震わせ、主に賛辞の言葉を送ります。


 今日も今日とてくそったれな日です。



 「やれやれ、こんな敵大したこと無いんだけどなあ」


 剣を鞘に納め、口から心にも無い謙遜を吐く目の前の男は……私のご主人様です。

 尊敬も敬愛もしていませんが私のご主人様です。


 そう、決まっているんです。

 私がこの世に生まれた時から。

 この世を超越した何者かの意思によって。

 私はこの方の奴隷となる事が決まっていたのです。



 私は獣人奴隷。

 この"異世界転生勇者様"の忠実なるしもべです。



 「ご主人様ぁ~魔物退治お疲れさまでした♪」


 私は自分でも"おいおい、よくこんな甘ったれた声出せるな?"と感心してしまうぐらいのスイートボイスを口から吐き出しながらご主人様にすり寄っていきます。

 

 ご主人様は「やれやれ、ミーちゃんは甘えん坊だなぁ」と言いながら私に微笑みます。


 私はミーという名前です。

 ご主人様が私を奴隷商人から買った時に名付けてくださりました。

 私が猫科タイプの獣人だからミーちゃんらしいです、アホか。

 私は畜生じゃありません。



 「撫でてあげよう、おいで」


 ご主人様は手を差し出します。



 来た、来ました。

 本日の糞イベント。


 頭なでなで。




 わしわしわしわし。


 ご主人様は私の頭をガシガシワシワシ指を立てて撫でまわします。

 せっかく時間をかけてセットした髪が台無しです。

 ちょっと、勘弁して欲しい。

 

 「む、むふぅぅん。気持ちいいです……ご主人様の手、暖かい」


 悲しいかな私には抵抗する自由がありません。

 このなでなでを愉しむフリをしなければなりません。


 この男は何を勘違いしているんだろうと思います。

 幼児ならともかく、いい年頃の娘が頭を撫でられて喜ぶはずがありません。


 いや、結局は私のせいなのでしょう。


 「えへへ、気持ちいいですぅ」


 神の意思によって私の本心とは裏腹に、媚び媚びVOICEが丹田から喉を通り口から吐き出されます。


 その甘ったるい声を聴いてこの男はさらに勘違いを重ねるのです。

 ああ、自分は奴隷に喜んでもらっている、と。



 「ふふふ、頭がクシャクシャになっちゃったね。

 でもそんなミーちゃんも可愛いよ」


 この野郎……

 頭髪が乱れるのが分かってるならもっとソフトに撫でまわしやがれっ!

 とは口が裂けても言えません、それを言った瞬間に全てが終わる。

 そんな脅迫染みた確信が私の中にあります。


 「ご主人様に頭を撫でられると……心がぽかぽか暖かくなって来ます。

 とっても幸せな気分です、有難うございますご主人さま」


 私は屈服した動物のように媚びた声でご主人様を褒めるしかありませんでした。






---石鹸イベント




 

 私が一人になれる場所。

 それは風呂とトイレだけです。


 他はほとんどご主人様と一緒です、なんといっても奴隷ですから。




 今は自分一人でお風呂で体を洗っています。

 至福の時間です。

 湯で体の汚れを洗い流す時ホッとする気分になります。

 今日もご主人様にお仕えした疲れが抜け落ちていくようです。

 



 ご主人様は悪い奴じゃ無いです。

 私を奴隷商人から買ってくれたし、いい暮らしをさせてくれます。


 ただ、なんというか……




 「せっかくだから一緒に入ろうか」


 え"


 ガラガラと戸が開く音がします。

 私が入浴中にも関わらずご主人様は風呂場に入ってきました。

 一応、この時間は私だけの入浴時間と決まっているんですけどね。


 やっぱ奴隷買うような奴はこうだよなーって感じです。


 まぁ、当たり前ですよね。

 わざわざ若くて容姿の優れた獣人奴隷を買うんです。

 H目的に決まってます。


 冒険に必要だからとか、最初はぺちゃくちゃ私に言い訳してましたが結局はこれ(性欲)です。



 初めは「わぁ、ごめん! 入っているとは思わなくて」とハプニングを装っていたご主人様も最近は遠慮なしに堂々と入ってきます。

 童貞だった頃とは偉い違いです。



 勿論、私の返事は決まっています。

 

 「えへへ、ご主人様、御背中お流ししますねっ!」


 「悪いなあ」


 この野郎、私の口の端が引きつっているのには気が付いたんでしょうか。

 いや、きっと気が付いていないと思います。


 

 





---なろう奴隷に自由恋愛は無い






 ご主人様の顔は悪くない。

 平凡よりややイケメンではあると思います。


 だが、私だって年頃の娘。

 男性に恋をする事もあるのです。



 ある日の事、ご主人様につれられて買い物に出かけました。


 外を歩く際の私の位置はご主人様の斜めやや後ろ15度、付かず離れずの距離です。

 奴隷たるものご主人様との立場を常に弁えるべきです。


 ……と、天の声が私に言っている気がします。


 



 しかし、ご主人様の要望に応えて臨機応変に行動する必要もあります。


 「ミーちゃん」


 「えへへ、ご主人様ぁ。大好きですぅ」


 私は甘ったるい声を出し、

 そして、ご主人様の腕を取りました。


 「やれやれ、歩き辛いよ。参ったなあ」


 そういいつつ、悪い気はしてない感じの顔です。




 獣人ではあるが私はとっても容姿が良い。

 可愛らしく大きな目でニコリと笑えば誰でも笑みを返してきます。


 そんな女の子に抱き着かれれば誰だって嫌な気分にはならないでしょう。

 少なくともご主人様はそうでした。

 やれやれと言いつつ、鼻の下を伸ばしデレデレとしています。


 今までの経験からはっきりしています。

 この人はこうやって他人が見ている往来で私に抱き着かれたりベタベタされるのが好きなのです。


 私はこの人の奴隷。

 ただの奴隷ではありません、容姿を求められた奴隷です。

 美しい栗毛のショートヘアに均整の取れた体。

 自分で言うのもなんですが、私みたいな美少女は他に見た事がありません。


 つまり、私はご主人様の性的欲求を満足させる道具です。

 外を出歩く際他人に見せつけるためのアクセサリーなのです。


 口では外で抱き着かないようにやんわり注意されます。

 しかし本気で言っているわけではありません。

 本心では美少女獣人奴隷というアクセサリーを他の人々に自慢したくてたまらないのです。

 虚栄心の強い人なのです。


 

 ご主人様は強くて、それなりに格好良くて、教養もあります。

 だが何故こんなに虚栄心が強いのでしょう。


 以前、ご主人様は言っていた事と関係がありそうです。


 「僕はこの世界に来る前の人生で、30年間無職童貞だったんだよね」


 ご主人様はどう見ても10代中頃ですが、前世の人生を合わせると本当は40歳を超えているらしいです。

 半世紀近く以上女の子と付き合ったことも無いというのは分かりました。

 通りで私にがっつくはずです。

 本人は爽やかな好青年を気取っています。

 しかし経験の無かった私でもすぐに分かりました。

 あのねちょねちょとした若者らしからぬ嬲り方はおっさんそのものです。

 

 夜になるとご主人様はひたすら私を求めてきます。

 数十年間貯め込んだ性欲を全部私にぶつけてきてるんです。


 結構、いやかなり疲れます!





 道行く人々が振り返ります。

 私はもう慣れっこですがご主人様はなんだか嬉しそうです。


 「ふふふ」


 自尊心が満たされてとても気分が良さそうです。

 そしてさっきからチラチラと私の胸を見てきます。


 黙っていればそれなりに顔は整っているのですが、そのいやらしくスケベな視線は脂ぎった中年男性そのものです。


 「はぁー」


 ご主人様に気が付かれないようため息を吐きます。

 今晩も5発ぐらいは覚悟しておいた方がよさそうです。

 







 歩いてると、かっこいい冒険者を見つけました。


 あ、イケメン。

 そう思った瞬間。


 「アギャギャギャギャー!」


 ビリビリビリ。


 全身に電流が流れました。

 

 「ギャー!」


 激痛の最中、頭の中に何かの声が流れ込んできます。



 "ビッチ"


 "寝取られ展開"


 "売女は退場しろ!!"


 "ファースト獣人奴隷まさかのNTRwww"


 "ブクマ外します"



 次々と謎の声が私の頭を掻きまわします。

 私の思想や行動に問題が発生すると、こういう懲罰が待っているのです。


 「御免なさい御免なさい御免なさい」


 一分ほど土下座しながら耐えると痛みと声は消えました。

 はぁ、油断してしまった。

 いつもこうです。

 ご主人様以外の男性に気が向くと全身に痛みが走り呪いの言葉が聞こえてくるんです。


 前回電流が走ったのはご主人様と一緒にこの国の王子様と魔王軍幹部を征伐した時でした。


 私と王子様は敵勢力の真っただ中で我々は孤立し、ご主人様とは離れ離れになってしまいました。

 金髪の王子様と二人きりになって良い雰囲気になった瞬間、全身が砕かれるような痛みが走って気絶しました。


 気が付いた時には自宅のベッドの上でした。

 敵の呪いだと後から説明を受けましたが、違うと思います。


 なぜなら気絶する瞬間


 "悪い点

 正直この展開はありえません。

 奴隷ちゃんのNTRとか見たくないです。

 無意味に男キャラを出さないで欲しいです。

 残念ですが胸糞展開なので切ります"


 という謎の声が頭に入り込んできたからです。

 


 ちなみに王子様は敵のボスに殺されたそうです。

 酸で溶かされて骨も残らなかったみたいです。






 「ど、どうしたの? 具合が良くないのかい?」


 ご主人様が心配そうにしています。


 この人、自分が超恵まれている事を何も知らないんですよねー。

 どれだけ神に愛されているか自覚した事あるんでしょうか。

 多分無いでしょう。


 「いえ、なんでもありません。ちょっと神の怒りに触れてしまっただけです」






---奴隷と食卓を囲む意識高いご主人様





 「ご主人様、今日は何を買うのですか?」

 

 私はとっても可愛く尋ねた。

 首を傾げ、軽く前傾になってご主人様の顔を下からのぞき込みます。

 正直あざとすぎると思うのですが、

 こうすると童貞期間が長かったご主人様はとても喜びます。

 

 「うん、今日は新しい奴隷を買おうと思ってね」


 ご主人様は何も悪びれずそう答えました。

 何を言っているのだこいつは、と思いましたが……よく考えたらこの男は私の事もペットショップで犬を買うように買ったのでした。

 

 新しい奴隷をまたペット感覚で買おうというのでしょう。

 軽蔑の目を向けたのですが「目を細めたミーちゃんも可愛いね」と軽くあしらわれました。

 ふぁっくです。


 神様は"奥ゆかしくて主人想い"の女の子像を私に求めてきます。

 決して「ガンガン意見する奴隷」ではありません。

 神様の設定に逆らうと体罰が待っています。

 残念ながら奴隷を買うんじゃないという抗議は出来ません。





 ご主人様が奴隷商人から買った新しい奴隷はエルフでした。

 ルーミアという名でした。

 大きな胸、スラッとした長身、金髪。

 どこからどう見てもHなエルフ(雌)です。

 明らかに顔と体で選んでいます。

 




 買った日の夜、私達三人は同じ食卓を囲みました。

 


 「わ、私なんかが良いんですか? 奴隷身分の私がご主人様と一緒に食卓を囲むなんて……」

 


 このルーミアというエルフ、あからさまに棒読みです。

 だけどご主人様は全然気づいていないようです。

 顔とおっぱいしか見ていません。


 この男にとっては自分に都合のいい反応であれば何でもいいのでしょう。


 「一緒にテーブルで食べようよ、僕らは家族さ。

 奴隷も自由人も無いんだ、僕等は同じ人類だろう?」


 とドヤ顔でのたまいます。



 これは儀式です。

 奴隷がご主人様の愛情を理解し、心からの忠誠を誓う。

 薄ら寒くなるようなやり取りであるが私もこれを乗り越えました。

 新人さんにも頑張って乗り越えて欲しいです。


 エルフ奴隷ルーミアはキラキラした目でご主人様を見ています。

 "信じられない、奴隷の私を人間扱いしてくれるなんて、なんて素敵なご主人様なんだろう"という目です。

 

 勿論、演技でしょう。


 我々はご主人様に気に入られるよう最大限の努力をしなければならないのです。

 

 「奴隷と一緒に飯食っただけで良識派気取りかよ」


 などとは口が裂けても言ってはいけません。

 恐らく、言った瞬間に神の見えざる手が私を成敗するでしょう。



 「うぅ」ルーミアが涙をポロポロとこぼし始めました。


 ルーミアのターンです。



 「どうしたんだいルーミア」


 「こんな素敵なご主人様に出会えるなんて……私、頑張りますからこれからよろしくお願いします!」


 私は見ていました、ルーミアが自分の太ももを思いきり捻じりながら涙を流しているところを。

 彼女も頑張っています。

 

 「はは、大げさだなあ。当たり前のことだよ」



 ご主人様は、自分の慈悲が奴隷を感動させた事にとってもご満悦でした。



 ……


 ……


 「あの、ミィさん?」


 ……


 あっ、自分の役割を忘れていました。


 「流石ですご主人様! ご主人様はとっても優しい方なんです、これから一緒に頑張りましょうねルーミアさん」


 「はい、こちらこそよろしくお願いしますミィさん」


 「ははは、さぁ料理が冷めてしまう前に食べようか」


 危ない危ない、危うく懲罰を受けるところでした。

 適切なタイミングで褒める事を忘れても罰が下ります。

 いついかなる時でも油断は出来ません。



 ルーミアは食事をしながら時折

 「ヨイショするタイミングがおせーんだよ、私までとばっちり食うだろボケ!」

 という視線をこちらに向けて来ました。


 後輩にいいところを見せるどころか失敗してしまいました。


 反省。







---(素人)日本料理




 

 「さぁ、召し上がれ」


 「わぁ、凄く美味しそうです」

 「ご主人様って料理もお上手なんですね♪」


 目の前にはご主人様お手製のありがた~~~~~~~い日本料理が並んでいます。

 勿論奴隷の私達に"大切なご主人様がわざわざ私達のために手間暇かけて作って下さった物"を残す事は許されません。


 ご主人様は日本という国からいらっしゃいました。

 私達には耳になじみの無い国ですが、食文化が大変発達しているらしいです。


 とってもとっても有難いことに、ご主人様はその国の料理を我々に御馳走してくれるそうです。


 カラアゲ

 タマゴヤキ

 ニクジャガ


 どれもそこそこ美味しそうです。



 しかし、一つだけ異様な物が……



 ムワァ~

 モワァ~



 "ナットウ"という豆料理が異臭を放ちながら鎮座していました。

 これは……もしかしたらもしかしなくても"腐った豆"なんじゃないでしょうか……


 これ、腐ってません? と言えたらどんなにいいか。


 私のキャラ付け的に「こんなもの食べられるわけないでしょっ!」とは言えません。

 

 ルーミアも顔面蒼白な感じで目の前の食材を眺めています。



 「やっぱり日本人には御飯と納豆だなぁ」


 ご主人様は腐った豆を御飯と言う白い豆にぶっかけて食べています。


 信じられない、何故腐った豆をそんなに美味しそうに食べられる?

 というか、腐った豆をふかした白い豆にぶつけるその組み合わせが分かりません。



 「さぁ二人とも食べて!」


 「は、はい……」

 「頂きます……」


 ご主人様が食べているのであるから私達も食べなければなりません。

 食べて「流石ですご主人様! こんなに美味しいもの食べたことがありません」と言わなければ神の手による電撃刑が待っています。


 「ハァーッ! ハァーッ!」


 ルーミアは深く呼吸をしながら覚悟を決めたようです。

 そして「ンッ!」と息を止めると腐った豆を一気に口に掻きこみました。


 「どう美味しい?」


 ご主人様はニコニコしながら問いかけます。

 その質問に意味はあるのでしょうか。

 ルーミアの苦悶の表情を見て分からないのでしょうか。


 しかし「おいご主人、てめぇ分かっててやってるだろ?」とは口が裂けても言えません。

 

 「おいひ……おいひぃれすぅ……しゃ、しゃしゅがご主人様の料理……」


 ルーミアは涙を流しながら腐った豆を咀嚼します。

 後輩奴隷の成長ぶりに私は胸を熱くします。


 「美味しい?」

 「ふぁい、おいひいレフ! ごしゅじんしゃまの豆おいひぃ!」


 すごい、これがエルフ(雌)の本気です。

 そこはかとなく色っぽく見えるのは気のせいでしょうか。


 

 「さぁ、ミーちゃんも食べて?」

 「は、はい……」


 基本的に私達はご主人様のアクション(好意)に対して


 1.喜ぶ

 2.感動する


 以外は許されていません。

 

 否定即懲罰が待っています。



 後輩が頑張ったのに私が頑張らないわけにはいきません。


 

 「いきます!」


 「どうぞ召し上がれ」


 白い豆に腐った豆をかけ、スプーン一気に掻き込みます。


 「ぐほぇっ!」


 むせました。

 強烈です、口に入れた瞬間臭気が鼻から抜け地獄的な体験が私を襲いました。


 吐き出すわけにはいきません。

 しかし、勢いを削がれたのはよくありません。

 激臭がどんどん私の口の中を汚染していきます。

 時間が経てば経つほど不利です。

 早く飲み込まなければ!


 ルーミアが頑張っていたのです、私も頑張らないと――


 横を見た時、信じられない光景がありました。

 な、なんじゃそりゃぁ!?


 「うっぷ、おろろろ」


 エルフの雌豚が机の下で、さっき口に入れた物を袋に吐き出していました。

 そんな手があったんですね。

 私も準備していればよかったです。


 「どうしたの? 美味しくなかった?」


 目の前のぼんくらは私の隣で静かに吐いている奴隷に気が付きません。

 私の反応に集中しているのでしょう。


 私は笑顔を作って答えます。

 筋肉で笑顔を作るスキルはレベルマックスです。


 「ううぅー! おいしいれすおいしいれす。ご主人様の作った御飯、しゅごくおいしいれす。さすがごしゅじんさまれしゅ! はふっはふっ」

 

 無心で掻き込み、噛まずに飲み込みました。



 「ご、ご馳走さまでした――」


 手を合わせ、ご馳走さまをした瞬間気が遠くなりました。

 そのままテーブルの上に突っ伏し、気を失ったのです。





 ああ、自由になりたい。

 この時ほど強くそう思ったことはありませんでした。

 

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― 新着の感想 ―
[良い点] 奴隷と一緒に飯食っただけで良識派気取りかよ この研ぎ澄まされたセリフに感激しました
[良い点] 他者の立場境遇に思いを馳せることができる。 [一言] 第二話読みたいです!
[一言] 素晴らしい
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