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問題編⑦  誰がクイズを作った?

「あの~あなたですよね。最後のクイズの答え。百人一首同好会会長、佐熊さくま珠実たまみ先輩」

 佐熊先輩は少しも驚いた表情を見せずに、軽い口調で言う。

「あぁ、それ? それなら北坂先生のところに行って。そういう指示なのよ、ほら」

 見せてくれた紙には、答えが佐熊先輩だと言う人がいたら、顧問のところへ行くように言えという指示が書いてある。

「あ、ありがとうございます……」


  ◇


「北坂先生、なんで先生のところへ来させたんですか?」

 だが、北坂先生は何も言わない。わたしは構わず続ける。

「一応佐熊先輩のところへ行ったわけを言いますね。『鮫棲む府干せ』をひらがなに直して(さめすむふほせ)、それを並べ替えれば答えは見えてきます」

 先生はその眼鏡の奥からわたしの瞳をじっと見つめている。

「『むすめふさほせ』。百人一首の一字決まりの有名な覚え方ですよね? つまり答えは百人一首同好会会長の佐熊珠実先輩。そしてそこからなぜ先生のところへ……何か言ってくださいよ、北坂未紘みひろ先生」

 しばらく黙ったままだったが、フッと笑ってからいつもの甲高い声で言った。

「……まるであたしが例のクイズを作った人だと思っているようね」

「あれ、違うんですか?」

「ええ。でも確かにそれが誰かはわかっているわ。あなたも見たんでしょ? クイズの答えの人に渡した例の指示の手紙。あれはあたしが書いたのよ。ある人に頼まれたから。でも配ったのはクイズを作った人よ。それにきっと日野田さんならある程度の目星は付いてるんでしょ? でもはい、一応これが最後の問題よ。あの人に日野田さんにも渡してって言われたから。どうやらあなたのためのクイズだったらしいからね」

 北坂先生は1枚の紙を渡す。

「じゃ、頑張ってね」

 先生は背を向けながら手を振り、足早に去った。


  ◇


「理絵花……どういうことなの? 北坂先生の言うことが本当なら……」

 そう、今日会った生徒会の長の人の中にいるってことなのかな?

 一旦状況を整理しておこう。2問目以降は目立たないところにあったからいつでも良いけど、1問目を生徒会室のドアに貼っておくことができるのは昨日、生徒会の長の6人と北坂先生が出て行った後から今朝発見されるまで。生徒会室は職員室や登校口から離れてるし、周りにはほとんど使わないような教室くらいしかないから、わざわざそっちまで行く人がいたら誰かに覚えられる可能性がある。だから昨日夜遅くまで残った先生の中にいるって可能性は低い。つまり実質今朝しかチャンスはなかったわけだ。さらに発見されるまでに明確なアリバイのない時間があるのはやっぱり生徒会の長の6人。

 でもある程度は絞れている。少なくともあの人より……。

 ん? 待って。もしあの人ならわざわざ……ってことは……!

 わたしはさっき北坂先生からもらった紙を開く。そういえばよくこれを見ていなかった。


特別問題


⑥の頭と顎

①の頭と足

③の頭と足


②の肩と足

④の肩と足

⑤の頭と顎



 これに見入っていると優里が横から覗く。

「……何これ? 頭に顎に肩に足? どういうことよ?」

「①~⑥ってのは多分今日の……それから頭、顎、肩、足ってのが分かれば良いんだけどね……」

 わたしは実際に、それぞれの部位を触ってみる。そういえばこの「と」で繋がってるのは必ず上にあるものから下のもの……。

「もしかして何かわかったの理絵花?」

 優里がすかさずきいてきた。

「でも待って。おかしいわね。それだと意味わかんないわよ。……いや、日本語のままじゃなくて……ローマ字?」

「ちょ、ちょっとどういうことよ理絵花……ん? あれ、何か落ちてるよ」

 優里がわたしの後ろから何かを拾って見せる。


スペシャル問題


②の頭と顎

⑤の肩と足

⑥の頭と足

④の頭と顎

③の肩と足



「若干似てるけど、微妙に違うわね」

「そうね。でも解き方は多分同じ……」

 すると優里の携帯の着メロが鳴った。

「あ、ゴメン。え~っと……」

 ぎこちない手つきで優里は携帯を操作する。

「ゴメン、理絵花。ちょっと呼ばれちゃった。何かあったら体育館の裏の花壇のところに来て。その辺りにいるから!」

 そのまま優里はどこかへ走って行った。


 さて、わたしも行きますか。心で呟いてから歩き出す。

「ん?」

 誰かがスッと廊下の角に隠れるように身を引っ込めた。

 あれは……部長? でもなんで? いや、今はそんなことは置いとこう。いよいよ大詰めね。

ここまでの登場人物

日野田ひのだ理絵花りえか  中泉学院1-C  探偵小説研究部員

口井くちい優里ゆり    中泉学院1-C  茶道部員  生徒会書記


クイズの答えだった人

代田だいた和友かずとも    中泉学院古典担当教師  卓球部顧問

有田ありた成治せいじ    中泉学院3-B     テニス部部長

浦川うらかわ倫造りんぞう    中泉学院数学担当教師  演劇部副顧問

たけ頼子よりこ     中泉学院世界史担当教師 写真部顧問

雲谷くもたに郁美いくみ    中泉学院2-B     文芸部部長 

佐熊さくま珠実たまみ    中泉学院3-E     百人一首同好会会長


生徒会関係

牧原まきはら茉利まり    中泉学院3-A 生徒会長  美術部員

田町たまち明男あきお    中泉学院3-D 書記    帰宅部員  

雲谷くもたに郁美いくみ    中泉学院2-B 生徒副会長 文芸部部長

高沖たかおき健策けんさく    中泉学院2-A 書記    テニス部員

保城ほしろ甲太こうた    中泉学院1-E 生徒副会長 テニス部員

北坂きたさか未紘みひろ    中泉学院現代文担当教師 生徒会顧問 

                      百人一首同好会顧問




最後の問題は是非解いてみてほしいです。ちょっと分かりにくいかもしれませんが。

クイズを作った人だけならラストの問題を解かずに当てることができます。

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