問題編②
「いい、優里? これは結構単純な問題なの。まず1文目。『アタハマヤワを除く』だったでしょう? つまりそれを『あかさたな……』の中から除くと残るのは何?」
「え~っと、カ、サ……ナ……ラの4つ?」
「うん。そこまで言ってもわからない?」
ちょっと考えた後に優里はコクコクと頷いた。
「じゃあ2文目も考えましょう。『四二二一一』の数字の並びに見覚えは無い?上とか、下とかが付くんだけど…」
そこまで言うと優里の顔はパッと明るくなった。
「あ、わかった! 答えは古典ね! 四段活用とか、上二段活用とかってやつね。じゃあカ、サ、ナ、ラは……変格活用?」
「うん多分ね。カ変とかサ変とかのやつ。だから答えは古典よ。だからわたしたちが会いに行くべきは――」
◇
わたしたちは3階の廊下をブラブラしている目的の先生を発見した。
「あの~あなたですよね。第1問の答え。古典担当の代田和友先生」
代田先生はゆっくりこちらの方を向いた。代田先生は確かまだ45歳くらいだが、薄い髪の毛とその背の低さのせいでさらに10歳くらい年上に見える。それにどことなく動きが老人っぽい。
「あ~はいはい。あれですか。何かそういう催しがあるそうですね。さっきも何人か来たんだよ。はい、これが次のヒント」
代田先生はポケットから1枚の紙切れを見せた。
「『3階の1番東の手洗い場』だってよ、理絵花」
「わかった。じゃあそこに行ってみましょ」
◇
わたしたちが廊下を歩いていると生徒会の書記、高沖健策先輩が向こうから歩いてきた。改めて見ると結構背が高く、どことなくアイドルのような顔たちだ。テニス部である彼はテニス部女子の憧れみたいな存在らしい。
「高沖先輩」
「おう、口井。あの謎のクイズの件はどうなった?」
「今それを解いてる途中なんですよ。そうすれば何かわかるかもと思いまして」
「そうか。何かあったら言ってくれよな」
コツコツと足音を響かせながら彼は行ってしまった。
「……珍しく1人ね」
優里がボソッと呟いた。
「『珍しく』ってどういうこと?」
「いや、高沖先輩はテニス部の人達と一緒にいることが多いけど今は1人だなぁって」
◇
わたしたちは手洗い場に辿り着いた。この付近は特に出し物をやっておらず、シーンとしている。優里が手洗い場の下の物入れを開ける。一緒に中を覗くと中が片付けられており、奥に紙が貼ってある。
「あ、これじゃない? 次の問題は」
「そうね……」
第2問
愛の無い球技は?
これは部活です
「ちょ、ちょっと。ヒントが少なすぎない?」
「いや、これは少し簡単かもよ。『愛』と『無い』を言い換えればすぐにわかるわ」




