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問題編①

 わたしの名前は日野田ひのだ理絵花りえか中泉なかいずみ学院に通う1年生。所属の部活は探偵小説研究部。それが正式名称だけど、大抵の人にはこう呼ばれる。「探偵部」と。あくまで「探偵小説」を「研究」する部活なので、実際に探偵の活動はしない。基本はね。

 これはそんなわたしに起きた、とある出来事。


 ◇


 それは中泉学院の文化祭の初日に起こった。中泉学院の文化祭は、一般公開日の前に生徒のみで楽しむ日があって、今日はその日。

「ねぇ理絵花?」

 特にすることもなく、ブラブラしていたわたしは急に肩を叩かれた。

「なぁに、優里ゆり?」

 その女の子の名前は口井くちい優里。わたしがこの学校に来てからできた、最初の友達。二つ結びにした髪が女のわたしから見ても可愛らしい。顔もそれなりだし、男子からモテてるけど、恋人は今のところはいないそうだ。理由は「想い人がいるから」らしい。

 ちなみに雪美条高校で起きたあのことは、優里には話してある。一応は普通でいるけど、何か優里に気を遣わせるのも嫌だしね。

「実はねぇ、ちょっと手伝ってほしいことがあるのよ」

 優里は綺麗に並んだ白い歯を見せながら言った。

「良いけど……どんなこと?」

「まぁ簡単に言えば理絵花の部活に関係あることね」


 ◇


「ほらここよ、ここ」

 優里が連れてきたのは生徒会室の前。そこには数人の生徒が群がっていた。どうやらドアに何か書いてある貼り紙があるようだ。

「……クイズ?」

「うん。生徒会でやってるみたいで――」

「『やってるみたい』って優里も生徒会役員で、しかも1年生の書記でしょ?」

 ちょっと説明しておくと、中泉学院の生徒会を束ねるのは3年生の会長、1,2年生から1人ずつ選ばれる副会長、各学年1人ずつ選ばれる書記の計6人。優里はその書記として活動している。

「うん、まぁそうなんだけど誰に聞いても知らないって……でもわざわざ生徒会室の前にあるってことは、生徒会の誰がやったんだと思うのよ」

「それで何なの? わたしを呼んだ訳ってのは」

 すると優里はドアに向かい、紙をコンコンと指した。

「お願い! これを一緒に解いてくれない? そうすりゃ誰が何の目的でこれを設置したのかもわかるかもしれないじゃない! だから……ね?」

 「ね?」と同時に優里はウインクした。これ、男子ならイチコロだな、とわたしは心の中で呟いた。

「良いけど……わたしなんかで良いの?」

「もちろん! 理絵花ほど適任な人はいないよ! 成績優秀で理絵花はトップにゅ――」

「優里、それはあんまり口にしないでって言ってるでしょ!」

「あ、ごめん。つい……」

「わ、わたしも強く言い過ぎたわ。ごめん。ところで1つ教えてほしいんだけどこのクイズ、どういう経緯で発見されたの?」

「え~っとね、どこから話そう……」

 そう言いながら優里は右足を軸にクルクル回り始めた。さっきまで群がっていた人たちはもういなくなってるから良いけど、優里にはちょっと変なところがあると思う。コンと大きな音を立てながら優里は左足を地面につけて、こちらを向いた。

「まず昨日、ずっと生徒会室に残っていたのはおさの6人。つまり牧原まきはら会長、田町たまち先輩、雲谷くもたに先輩、高沖たかおき先輩、保城ほしろ君、あたしの6人ね。あ、あと顧問の北坂きたさか先生もいたから7人か。それで昨日は全員同時に帰ったから多分紙を貼る余裕は無かったと思う。

 で今朝、あたしは多分生徒の中では2番目に登校したの。生徒会の長は早目に来る予定だったから。集まったのは体育館で、あたしが荷物を教室に置いてそこに行ったら牧原会長がひとりでいたわ。20分くらい待ってたら全員集まって、諸々のことを報告してから解散。その後に牧原会長と田町先輩、雲谷先輩が生徒会室に向かったらこれがあって、何か知らないかっていう連絡が牧原会長からきたの。でも結局誰も知らなくて、北坂先生に報告したら別にそのままでも良いんじゃないかって言われたからそのままに。非公認だけど、イベントとして成り立ちそうならオッケーみたいな判断だったみたい。もちろん何か問題が起きそうだったら中止するけど……」

「なるほどね、わかった。じゃあとりあえず問題を見てみましょうか」

 その紙にはこう書いてあった。



~ルール~

①問題を解くと、必ずこの学校にある部活か、教科の名前が出てきます。部活ならその部の部長、教科ならその教科を教える先生の中でトップの人のところへ行ってください。そうすれば次の問題がわかるでしょう。

②人がわかったらその人に『クイズの答えは○○ですね』などと言ってください。

③問題は全部で6問です。

④あまり多くの人に広めないでください。あなたが1、2人に助っ人を頼む程度なら大丈夫ですが、大勢ではしないでください。


第1問

・アタハマヤワを除く

・四二二一一


これは教科です




「ってこれだけなのね。理絵花はわかる?」

「ええ。これは高校生としてすぐに解かないとね。ほら、あの教科じゃない」

「理絵花。あたしは全然わかんないや」

「あら、そうなの? でもわたしが気になるのはなんでこの文、わざわざ手書きにしたのかなぁって。別にすごく特徴的な字じゃなくて、普通に綺麗な字なだけだから特定はできないだろうけど……」

「確かにね。パソコンとかで作って印刷すれば良いのに」

「ま、良いわ。ともかくあの先生に会いに行きましょう」

わたしたちは歩き出した。

リアルに高校生の人がこれ読んでるなら、きっとすぐ解いてるよね。


問題は知識があれば解けるものなので調べたり考えたりして解いてみてください。

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