貴方に会う唯一の方法
忘れられない女の子のお話です。
お風呂に入って、パジャマを着て、歯を磨いて、髪を乾かして......
なんてことのない平凡な一連の動作。でもこの動作は私を救うための儀式のようなもの。これをしないと私は『会えない』のだ。
どうしてあの日、一緒に家を出なかったのだろう。どうして仲直りしなかったの。
どうして、どうして、どうして.....。
今日もまた、どうしてのお化けが襲ってくる。あの日から毎夜毎夜襲われ続けているのだ。
『前に進まないと。』『あんたのせいじゃないよ。』家族も友人もみんな励ましてくれた。でも私はその言葉に甘えられない。あの日の前の日、私が素直になって謝っておけばああはならなかったんだ。
髪が乾いた。儀式ももう終わる。
ベッドサイドに置いてある、褐色の瓶。中身を取り出し水で流し込む。
白い天井を見上げていると、意識にもやがかかり出す。あの人の面影が見えてきた。