表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
  作者: 桜峰アイ
1/1

弱い子猫は雨風に吹かれ

…雨だ。

冷たいけど、ほんの少しやさしい雨だ。


傘はない。雨宿りするところもない。

髪から落ちてくる滴に苛立ちを覚えながら歩く。

でも、この雨は嫌いじゃない。


「…あの時と、同じ雨だ」


ぽつりと呟いた独り言。

闇夜に吸い込まれて消えた。

誰にも届くことはない。

…勿論、貴方にも。



同じような雨が降っていた、あの日。

何もかもわからなくなって、雨に濡れ、立ち止まる私に、

傘をさしていた貴方は言った。

「…お前は、捨てられた子猫みたいだな」


私は涙を流しながら言った。

「じゃあ、拾ってくれる?」


貴方はふわりとやさしく笑った。

「もう少し、お前が大人になったらな」


そう言って、貴方は私の前から姿を消した。

私に何も言わずに。



私は、捨てられた子猫。

新しいご主人様を探している子猫。

今はいない、貴方を待ち続ける子猫。



ぼやけた視界が赤から青に変わった。

ハッとして、溢れてきた涙を拭う。

震える足で歩きながら、純粋だったあの頃を反芻する。


私は、いつからこんな人間になってしまったんだろう。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ