閑話「熱血少年と賢い馬鹿姉」
とある休日。
晶子と翔は連れ立って買い物へ出かけていた。
「俺もオリジナルロボほしい!」と翔が言うと、晶子に「じゃあ手伝ってあげるから作ってみよう」と言われて連れ出されたのだ。
そして晶子に案内されるまま、翔は町中のジャンクパーツショップを連れ回されていた。
「なー。こんな壊れたパーツで本当にポケロボ作れるのかよ?」
「全部新品で揃えると高いからねー。こうやって中古や故障品から使えるパーツ発掘したり、組み合わせてなんとかすんのよ」
もしこの会話を真理冶が聞いていたら「そんなスクラップや有り合わせの部品からポケロボ作るとかありえませんわ!?」と驚愕していたことだろう。
しかし例えありえないことであろうとも、学生の収入でポケロボを作ろうとすれば、予算的には創意工夫しなければとてもではないが足りないのだ。
完成品である星屑の戦乙女には高級なパーツも多数使用しているが、実験機や練習機には基本的にジャンクパーツを使用してなんとかするのが晶子にとっての普通のことであった。
「良いパーツ見つけるのに一日掛かっちゃうこともあるけど、まあ今回はお試しってことで厳選は程ほどにしましょうか」
がちゃがちゃとワゴンの中のぼろぼろな品物を見比べながら、目ぼしいらしい物を買い物カゴに放り込んでいく晶子。
翔にはよく分からないが、それはすごい知識と鑑定力があるから可能な、すっごいことなのだろうと子供ながらに思う。
ただ。一言だけ思いついた言葉でからかう。
「そんなことばっかしてるから、彼氏できないんじゃねーの?」
普段は勉強漬け、休日はパーツ発掘にポケロボ製作。
そりゃあ出会いはねえよなあ、と小学生ながらに思う翔だった。
「あー……いざとなりゃあポケロボと結婚するからいいわよ」
「姉ちゃん、そんなやけくそになるなよ」
さらっととんでもないことを言う晶子に、思わず翔もからかう気が失せてしまう。
しかし晶子は、自分自身の発言に何やら閃いたように「はっ!?」と顔を上げたかと思うと、ぶつぶつと呟き始めた。
「……ポケロボと婚約。つまり相手と恋仲となると過程すれば人格が必須。これは人工AIで補うとしてポケロボサイズではやはり厳しい。サイズを等身大に拡大するとして必要なパーツは……いける。
問題は人工AIが人権を持ちうるのか。これは近代社会における重要なテーマといえるわね。けど昔から『メイドロボ』や『恋人がロボット』という物語は数多くあり需要は高いはず。支持者を集めて法律改正を求めれば、あるいは……。
好みについては顔面、体格、背丈などはポケロボ式のパーツ交換でカスタマイズ可能。所謂『俺の嫁』を自由に作り出せると考えれば――」
何やら答えに辿り着いたのか、至極真面目そうな顔で晶子は呟く。
「――もう人間でなくてもいいや?」
「姉ちゃん、落ち着け」
すぱーん、とどこからともなく取り出したハリセンで賢い馬鹿姉ちゃんの頭をしばく翔であった。




