表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
Fragment Stories  作者:
8/9

絶望の果て

某SNSで投稿したとあるリレー小説の番外編です。

意味不。読んだところで意味はわからないでしょう。



なのでもし読んで下さるお方は、バトル描写の練習だとでも思って下さい。

「これが答え……」


 呆然とそう呟く空。その透き通るような蒼の双眸は、漠然とした虚空に向けられている。足元には朱い髪の女性、朱音クゥが横たわっていた。かつて、至高の宝石とまでたたえられたその真紅の瞳。しかし、その眼にもはや光は一片たりとも宿っておらず。かつてその能力もあいまって天上の美貌と呼ばれていた身体は、首から下がきれいさっぱりと消し飛ばされている。


「これが答えだというのか! ふざけるな! ……俺は、こんな結末を迎えるために戦ってきた訳じゃない……!」


 俺は。ただ、ただ皆の平和のためだけに……!

 そう魂の慟哭を叫びながら、空は首から上だけとなった彼女を壊れないようにそっと抱きしめる。そうしてその眼に復讐と絶望の色だけを浮かべながら、しっかりと眼前の存在を見据える。


「――然り。これが貴様の運命、その結末だ。その絶望も悲しみも、総ては、遥か昔から決まっていたこと」


 はっきりと眼を見開く。その怒りは、もはや収まるところを知らない。ゆっくりと拳を握り締め、


「O.R.T.ォォォォォォォォォォォォ!」


 ――――瞬間。O.R.T.が気がついたときには、彼は既に殴り飛ばされた後だった。

 そんな馬鹿な……!

 彼の頭の中を占めているのは驚愕のみであった。地面に叩きつけられたものの、大した傷ではない、まだ十分に戦える。しかし、彼は確実にダメージを受けている。油断や慢心をしたわけではない、能力は展開してある。つまりそれは、相手が自分と同等の存在にまで辿り着いたことを示している。


「殺す……」


 彼女の分も、死んでいった仲間の分も。総ての絶望と悲しみを、お前にも背負ってもらう。

 未だ驚愕と歓喜に浸っているO.R.T.に向かい、彼はゆっくりと大地を一歩一歩踏みしめながら進む。その手に持つのはエクスカリバー、神話に伝わる最強の聖剣である。それを頭上に振りかざし、目前でゴツゴツとした岩の地面に横たわっている存在に対し、一欠けらの躊躇もなく振り下ろした。


「おいおい、何一人でラリってやがる。俺らのことを」

「忘れてもらっては困る」


 エクスカリバーが対象に当たることなく地面を抉る。すぐさま視線を上げ、状況を確認する。そうしてその眼に映ったのは、自らに迫る黄金色のエネルギー弾だった。

 吹き飛ばされ、数百メートル遠くの岩壁に激突する。岩に大きなひびが入るほどの衝撃だったが、空の身体に大したダメージは見えない。何事もなかったかのようにむくりと起き上がり、再び歩き出す空。だがしかし、その動きを止めるものが居た。それは、空の眼前にそびえる十数メートルほどの白と黒の二体ちゅうの獣。そして、それを従える中性的な存在。


「……邪魔だ」


 本当に鬱陶しいといった風に獣を一瞥し、忌々しげに声を発す。いつの間にこのような有様になったというのか、もはや別人と言われてもおかしくないくらい彼の容姿は変貌していた。黒かったその髪は、腰まで伸びた血のような色の長髪に。蒼かったその瞳は彼女のような真紅に。傷だらけであったものの比較的きれいだったその肌は、漆黒に染まっている。そしてその声は掠れ、まるで二重に重なるように声を発している。ここまでくれば、人間というよりももはや邪神と呼んだほうが正しい気にさえさせられる。

 その声を聞くや否や、すぐさま攻撃の準備を整える祖と呼ばれた異形の化外達。魔道師的な服装をした男の周りには、無数の黄金色のエネルギー弾が。中性的な存在の周りからは、数十センチメートルほどのものから百メートルちかいものまで、大小さまざまな大きさの白と黒の二種類の獣が虚空から無限に湧き出てくる。


「お前が死にな」

「混沌に呑まれよ……!」

「さあ、抗ってみるがいい!」


 月笛二十七祖、その最上位の三柱。混沌、無限、そして復活した俯瞰。彼らはいずれも、まさしく神にも届くだろう者達。その力を解き放った姿は、一般人なら見ただけで即死しかねない、それだけの威圧感が出ていた。だが、

 テメエらも殺してやる……!

 だが、彼はそれに微塵も臆していない。これはある意味当然の帰結といえよう。なぜなら、絶望に染まりきったその身は窮まっている。そう、既に彼の実力は三柱と同等なのである。たとえ相手が祖の最上位であろうと、一対一であるならば互角に戦えてしまうだろう。

 そうして四人は、まるで示し合わしたかのように同時に動いた。迫りくる無数の凶弾、それを総てまともに受けるのは得策ではない。故にその軌道をずらす。瞬時に障壁をはり、魔弾を反射させる。反射され向かう先、そこに居るのは無限の獣。だが、無限を無数で打ち消せる筈がない。残った獣が空に喰らいつき、混沌に取り込もうとする。そして、さらに追撃が迫る。黄金色の魔弾。だが、それを操っているのは無限の魔道師に非ず。それを操っているのは俯瞰する者、確率と軌道の支配者である。だが、それに負けるわけにはいかない。平々凡々を発動し、獣の力を弱める。そうしてエクスカリバーで迫りくる魔弾ごと、獣を切り裂く。視界が開く。その先にいたのは、力を溜めきった無限であった。


「こいつに耐えれるかな……?」


 第二の太陽、そう思えてしまうほどの輝き。そうしてそれは放たれた。それはまさに、神をも殺せる一撃。必滅の魔砲。彼女の命と、空の仲間たちの命を奪ったものである。

 何とか迎撃しようと、エクスカリバーを振るう。だが、無常にもその黄金の刀身は、黄金色の光に触れた瞬間粉々に砕け散った。


「■■■■■■■■■■■■!」


 漆黒の姿が黄金色の光に呑まれる。巻き起こるのは巨大な爆発。これだけの膨大ばエネルギーの収縮は、たとえ核弾頭を持ってきたところで見ることはできないだろう。

 耐えることはできたもの、蓄積したダメージの影響でボロボロになり墜落していく空。その姿は、地面に着く前にどこかへと消えた。


「逃げられたか」

「まあいい、もうあいつ一人ではどうすることもできないだろう」


 こうして人類と祖の最後の戦いは終結をむかえた。人類にもはや戦力は残っていない。


 世界の破滅へのカウントダウンが、始まった。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ