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Fragment Stories  作者:
1/9

始まりのセカイ

とある世界で起こった、一人の天才の世界を揺るがした大事件。

その始まり。

 月夜の下。まるで肌に突き刺さるかのような冷気によって、少年は眠りから目覚めた。


「おや? 起きたのか、調子はどうだい?」

 誰かの声が聞こえる。


「誰だ?」


 少年は先程まで寝ていたベッドから体を起こし、周囲を見渡す。見慣れた自身の部屋が目に入る。その中に、歳は二十代前半だろうか、黒髪の女性がいた。


「おはよう、揚羽あげは君。ぐっすりと良く眠れたかい?」


 腰まで伸びたしなやかな黒髪を揺らしながら彼女は少年、揚羽に問い掛ける。開いた窓から差し込む月光も相まって、その姿はとても幻想的に見える。


「…………」


 その光景に揚羽は思わず目を奪われ、しかしすぐにハッとする。

 彼女は何故自分の名前を知っていたのだろうか。記憶に狂いが無ければ、彼女とはこれが初対面のはず。それに部屋のドアには鍵をかけていたはず、と。

 この状況に対し、徐々に違和感が溜まってきた。


「……貴女は誰ですか?」


 まずは彼女の名前を確かめよう。そう思い名前を尋ねると、彼女はくすりと微笑み、こう告げてきた。


「――覚えてないの? 酷いなあ、ずっと一緒に遊んでいたじゃない」


 彼女と揚羽の目が合う。


「ほら」


 ……何故忘れていたのだろうか、それほど迄に彼女の名前は自然に頭に浮かんできた。……先程の違和感など消し去って。


「ゴメンなすず。なんか、寝ぼけてたみたいだ」


 とりあえず彼女、鈴に謝る揚羽。


「別にいいわよ」


 彼女は窓際から離れ、揚羽の本当に目の前まで歩いてきた。


「だって、本当は初対面なんだから」

「え?」


 彼女が再び揚羽の目を見つめ、ゆっくりとその言葉を口にする。


「――解けよ」


 ――その瞬間、先程の違和感が再び戻ってきた。それも、先程迄より遥かに強烈に。


「……っ! 貴女は、本当に誰ですか?」


 強すぎる違和感に頭を揺さ振られながらも、彼女にもう一度尋ねる。お前は誰だ、と。


「私は鈴。この世界の異端者イレギュラーよ」

「この世界?」

「ええ、此処は現実の世界とは違う仮想世界。通称、『Karmaカルマ』と呼ばれているわ」


 そんな馬鹿な! 揚羽はそう言い返そうとして、しかし言い返すことは出来なかった。


「そんな……」

「君ならわかるはずだよ。

 君が先程から感じている強烈な違和感が、その証拠さ」


 揚羽がずっと感じている強烈な違和感。それが、此処が仮想世界であるという証拠であった。


「さて、そろそろ本題に入って良いかな?」

「本題だって?」

「そうさ。

 ――――単刀直入に言う。私と一緒に、本当の現実せかいを取り戻さないか?」


 これが彼等の長い長い始まり。

 これからも彼等の物語は続いていく。しかし、それを語るのはまた次の機会となるだろう。

え? 意味不?

まあ、気にしない方向でお願いします

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