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魔物が大人しくなった訳。  作者: 時雨氷水
プロローグ
10/17

魔王見習い様と死霊術士さんのお話(2)

改訂予定です。

ご迷惑をお掛けします。

読まれる場合には、こちらをどうぞ  つ【安全ヘルメット】


現在の改定状況:皆無

皆様こんにちは。 千尋です。 前回に引き続き直樹さんとお話中です。 そしてなぜか真っ赤になってるドラゴンさんは絶賛放置プレイ中です。


「えー、分かっていらっしゃるとは思いますがー、魔物は炎系の魔術および魔法は使えないって事は知ってますよねー? 炎、風や光などが使えるのはー、人間や動物などー、この世界の生き物のみなんですー。 魔物は水ー、大地ー、それと闇しか使えないんですねー。 ここまではいいですかー?」


どうやらほんとに最初の最初からはじめるみたいです。 ここらあたりは余裕で知ってますので頷きます。 …え、じゃあ私はなんだ、ですって? それは次回まで待っててください。

ちなみに光術は癒しと保護に優れてる…というか、それら専用です。 攻撃術はいっさいありません。 熟練者は蘇生すらもできるようになりますが、そこまで行っているのは各神々の大神官や教祖など、特別な加護を受けている人達がほとんどです。

『光』というカテゴリになってる理由は、使うときに漏れでた魔力がきらきら光るからです。 光の質は個人の資質によって決まるので、よくある「聖なる純白の光が云々」ってのは適用されません。 つまり、朗らかな炎属性の人が光術を使ったら、明るい赤色の光がそこらにばら撒かれるって事です。 大気中などにある純粋な魔力を使えば白色になりますけど。

闇術はブラックホールさながら重力操作系で、逆に攻撃系オンリーの魔術です。 風とは違う方向でですが、空を飛ぶ事も出来ます。 ドラゴンさんの得意系統です。 それと、この世界~云々は魔物が「他の世界から来た侵略者」である事から来てるそうです。 もうずっと昔の事なので、当時を覚えてる人はだーれも居ないんですが、そういう言い伝えがあるんです。 


「そして魔術や魔法を使うためには魔力を感じられなきゃダメなんですがー、魔力の感じ方は千差万別なんですねー。 目で見たりー、肌で感じるってのが大多数です。 他には味覚だったり匂いだったりー、ひどいとこだと痛みとかもありますね。 人にはあまり感じとれる人はいませんが、魔物だと感じ取れないヒトは殆どいないんですねー。 …自分の体を構成してる物質ですからねぇ。」


ここらあたりは習ってると知っているので飛ばしていく気らしいですが、皆様方は知らないと思うので補足させていただきますね。 以前のお話を読んでくださった方なら基本的な事は知っていらっしゃるでしょうが、今回はもうちょっと突っ込んだ話になります。 

たとえば、力が弱いと『あ、そこになんかあるなー』程度の事しかわかりません。 そんな事すらできない人もいますし魔力自体持ってない人(つまり神話級先天性パッシブスキル『完全魔法無効化能力(AMIA)』を持っている事になります)もいますが、普通の魔術師ぐらいだったら目測や肌で感じたりなどが可能です。

レアなタイプとかだと、音や匂いや味として感じます。 私は匂いで判別するタイプです。 ローラン港を例として出しますと、あの後は向こう一週間ぐらい鼻が使い物になりませんでした…。 

まあそれで、人間だったら弱すぎると感じる事すらできないって事なんですが。 逆に魔物だったら体を維持するために魔力の流れを己で制御できなければならないので、感じとれない子は殆どいません。


「ただし、魔物のカテゴリーの中でも魔力を感じ取れないヒトはいるんですよー。」


そう、『マジリ』および『欠陥を持っている』子達。


「マジリ…魔物と人間の子供の事ですね。 マジリだったり、そういった系統の欠陥を持っていたりすれば感じ取れないって事もけっこうあるんですが…欠陥を持っていると独立したら生きてけないしー、」


ただし誰かが制御してやれば問題無いのでたまに生き続ける子もいますね。 うちにも一匹いますが、独立後は最近できた婚約者に手伝ってもらうそうです。 その婚約者、彼女が子供のころからストーカーしてたんですがね。 …あ、もちろん彼女はなんにも知りませんよ。 知らない方が良いって事もこの世にはあるんですから。


「マジリは魔力の大きさに耐えられずに、遅かれ早かれ破裂してしまうんです。 特にマジリはですねー、人間が混じってるから親ですら『異質』として捉えてしまう子が多いので、サポートすら受け付けない場合が多いんですよ。 だから己で制御を覚えるとこまで行けない子が多いんですねぇ。 魔物の部分が多いか、基本の魔力が少ないか、本能で放出または体を強化する方向に向かわせるか…はたまたよほど制御に優れているかのいずれかであれば、生き残れるんですがねぇ。」


ちなみになぜ基本的な魔力の量が少ないと大丈夫かってのは、けっこうシンプルな理由だったりします。 魔物は肉体を持たず物体や空気中に混入している魔力を取り込んで体を維持していますから、構成している魔力自体がフリーの魔力を積極的に取り込む性質を持っているんです。 そのかわりだだ漏れでもありますが。

でもマジリは肉体を持っていますから、どれだけ取り込んでもそんなドバーッと出てく訳じゃないんです。 普通の人間のように新陳代謝か、使う事でしか放出できません。 さらに悪い事に、有体の場合の新陳代謝で出てく量は、だいたい魔物の『引き寄せる』量より過度に低いんです。 だから溜まって溜まって…そして肉体が耐えられなくなってパーンしちゃうんです。 怖いですね。 私は新陳代謝が活発すぎるので、その点においては幸運でした。 その分制御するのが難しかったんですけどね。


「まあ、そんなくらーいお話はやめましょうか、ねー? 次は、いよいよ魔術と魔法の違いについてお話ししましょうかー。」


お、ようやくですか。 これは期待できます。 ここは表面しかなぞってないので、前話で言ったとおり一般人程度しか知らないんですよねー。


「では、魔術と魔法の基本的な違いは知っていらっしゃいますー?」


「魔術は術技、移ろうもの。 規定の魔力を一定の動きに込めれば誰でも使えるが、弱ければ抵抗されるしいつかは元に戻る。 魔法は律、絶対のもの。 それそのものに影響を与え思いのままにする事が可能だが、それそのものを完全に理解しなければ使えない。」


「はい、正解ですー。 魔術は人でもヒトでも使えるものでー、個人により得意な属性があります。 精霊術などもこれにあたりますねー。 で、ここからあまり知られてない事なんですが、有体だと魔法が使えないんですー。 だから光魔術や死霊術でも完全な死者蘇生ができないんですよ。 みなさん魔術を使うしかないからですねー。 」


「ほう?」 へぇ、そうなんですか。 冒頭で光魔術は蘇生も可能だとか言いましたが、どうやら違うようですね。 …あれ、つまり生き返らせてもらった人たちって…どっちにしろゾンb…


「ここで唐突に質問ですー。 …陛下は、『神』になるための定義は知っていらっしゃいますか?」


「いや、知らん。」 なれるもんなんですかあれ。


「じゃあ、『神』自体の定義は?」


「んー、……んー?」 そう言われると、よく知らない事に気づきました。 確かにこの世界の神とはなんなんでしょう? 前世の世界では、人が求め願って作り上げた偶像だったはずですが…この世界の神々は皆明確な意思と形を持ってそこに在るんです。 忘れ去られてしまう事が唯一死亡する方法な、基本的に確固たる個人を確立している何か。 あ、言っておきますが、前世の世界の神々が意思を持っているか否かは証明する方法がないので論じません。


「『神』とは、魔法を使える域に達した元生き物です。 そして魔法とは、何か一つの現象を全て正しく理解した者にしか使えない、いわば世界そのものに干渉し書きかえることのできるペン。 元が何であろうが、知識を集め終わり魔法を行使した瞬間に、それは昇華し上位の存在となり、肉の器に収まる事ができずに全てが爆散してしまいます。」


怖いですよ! つまり自分の挽肉を見てしまうって事ですよね! 魔物なら拡散した魔力を見るだけで済むんでしょうが。


「通常の人間ならば体がなくなった瞬間に輪廻へと導かれますが、稀に強固な精神を持った者が己の知識と魔力で魂を留めおく事があります。 それらが『神』と呼ばれる方々になります。 その中でも最も強い力を持つ方々が、『ディヴェクス』…つまり、私達が神々と呼んでいる方々となります。」


んー、つまり一ついいからでも現象を完全に理解する(雨が降るとか風がふくとか、大きなところで水そのものとか?)→それを元にして魔法を使う→挽肉→普通は死んじゃうけど、力技で世界に留まる事に成功した方が神になる…って事でいいんですね? 私には無理そうです。 何かを完全に理解する所からして。


「そして現在の神々は『リオス・ディヴェクス』…『新なる神々』と呼ばれる方々になります。 霧火国の現王が反旗を翻すまでは『ゼネア・ディヴェクス』…『古き神々』が猛威を振るっていましたが、今はもう殆ど駆逐されて残っていません。」


その頃から神無族がぽつぽつ出現するようになったんですっけ。 ゼネア狩りに大いに貢献したとか。 ついでに言いますと、彼らは神々が生きるために必要な『存在値』(信者から祈りを受けて増やすらしいです)そのものをたたっ斬る事ができる、魔物でも人間でもないヒト達。 基本的に無表情で無感動ですが、美味しい物をあげればものすっごく喜びます。


「そしてリオスの顔ぶれは、現在すべてメイムビトで統一されています。」


メイムビト。 迷霧人。 いわゆる渡り人。 魔物のような侵略者(?)とは違い、他世界からのお客様の事をそう呼びます。 …メイムビトで統一されてたなんて、知らなかったです。 


「…そして、ここで陛下の二つ名、【焔の要石】に繋がるわけです。」


よし、カモン! ドラゴンさんもようやく復活したようですし。 リオスがメイムのみで構成されている理由が気にはなりますが、こっちのほうが最優先事項です。 …彼の口調が平坦な物になっているのも、すんごく気になっていますが。


「【焔の要石】とは、貴方の属性と《私が課した貴方の役割です。」》


うん。 …うん? 何か、声がおかしく…


《「貴方はその為にこの世界に招かれました。 貴方の主に無理を言って貸してもらいました。 貴方がもっとも適任であったから。」》


私の主って誰ですか。 そもそも貴方は誰ですか。 声が女性の物になってますが。


《「私は調停者。 私は世界を導くもの。 在るべき姿に、在るべき様に。 私の主の手によりここにいます。」》


「そうか、それは珍しいな。 はじめまして。」 挨拶は大事です。 …え、落ち着き過ぎだって? 私の状況そのものがおかしいでしょう、そんな事を言ったら。


《「これか…え? あ、は、はじめまして。 えっと…これから話す事は、貴方にとっては荒唐無稽な話でしょう。 信じられない事も多々あるでしょう。 ですが、聞くだけは聞いて欲しいのです。 未来の為に。」》


「分かった。」 なんでも信じますよ私。 証拠がありさえすれば、ですが。


《「…えー、直樹さんとアレイジエルさん…そこにいらっしゃる『ドラゴンさん』は私の協力者。 この世界は狂っています。」》


ふむむ。 いきなり世界の危機ですか。 テイルズシリーズじゃあるまいに。


《「本来この世界の主であるかの意思はいまだ発見すらされていません。 このままでは私達が先に疲弊します。」》


「そうなれば、いままでしてきた事が全て無駄になると。」 


《「はい。」》


「で、私に何をさせたいんだ?」


《「生きてください。 貴方はこの地方を在るべき姿に留めおく楔。 要石。 世界を乗っ取ったモノにこの地方を取り返されないためのモノ。 可能ならば、歪みの中心となる二人を見つけ救っていただきたいですが、ご自分の命を最優先に守ってください。」》

あら、意外と楽ですね。 まあ勇者の役割をしろと言われても困りますが。


「わかった、そうしよう。」


《「…信じて、くださるのですか。」》


「彼が何も言わないという事は、そういう事だろう。 できるだけ協力してやろう。 それに、こんな話、事実でもなければ止めてるだろうし。 …なぁ、我らが宰相様よ。」


「…ああ。 その通りだ。」 ドラゴンさんが答えました。 真剣な目で。


「だけどこんな大事な話を黙ってたって事に関しては、後でちょっとお話しましょうねー。」


素の言葉で突っつくと、酷くバツが悪そうな顔になりました。 最近ようやく主様からお前に呼び名を変えてくれた矢先に、こんな重大な隠し事ですもんね。 名前や『歪みの中心となる二人』の方は、その後にでもゆっくりと聞きましょうか。


《「…では、くれぐれも、もう安易に出歩かないでくださいね?」》


私の顔が絶望に歪みました。







わかりにくいと思いますので、ちょっと追記です。

《》は、直樹さんが喋っていたのを乗っ取った調停者さんの言葉です。

本来直樹さんは魔法と二つ名の関係から説明しようとしていたのですが、

調停者さんはそれをすっ飛ばしてなぜその二つ名を与えたかを語っちゃいました。

直樹さんが次どう動くかによりますので、魔法と二つ名の関係性が次で語られるかどうかはわかりません。


基本的な事:

1)魔物が使える属性:水、地、闇 のみ

2)人間が使える属性:全て

3)魔力を感じる方法:千差万別

4)魔術及び魔法を使うために必要な事:魔力を感じれる事

5)完全魔法無効化能力:Absolute Magic Invalidation Ability(AMIA)。

神話級先天性パッシブスキルで、どんな魔術も魔法も受け付けない。 つまり魔法攻撃は効かないが、癒してもらう事も毒を中和してもらう事もできない。

6)魔術:誰でも使えるけど、威力が低くて対抗されやすい。

7)魔法:威力は高いが、一つの物体や現象を完全に理解する事が必要。 使った瞬間体はミンチになる。

8)魔物:魔力をまとわりつかせて体を作っている。 神とは違い、体がないと死ぬ。

9)ディヴェクス:神々の意。魔法を使えるまでになった者達の事。

10)リオス・ディヴェクス:新なる神々。 全てメイムビト。

11)ゼネア・ディヴェクス:古き神々。 老いたジジィども。

12)メイムビト:迷霧人。 他世界から渡ってきたお客様。

13)調停者:まだ秘密。

14)「安易に出歩かないでくださいね」:ドラゴンさんの負担を減らすための言葉。

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