4/17
まずは苗木を植えましょう。 2
「ヴァンパイアの長なんだ。だから、一応ね。」
ヴァンパイアの長。
夜の一族を統べる者。
美しく、残酷で、見る者を惑わす。
ヴァンパイア一族では絶対の存在。
「…だれか、見た人がいるの?」
「うん。誰も血は吸われてないけどね。」
「そっか。よかった。」
ヴァンパイアには二種類ある。
一つ目は普通のヴァンパイア。
血を吸われても化け物にはならない。
もう一つは貴族階級ヴァンパイア。
血を一度でも吸われてしまえば人ではいられなくなる。
ひどい時には人の形を保てなくなる。
長はもちろん後者だ。
人の形を保てないものは、近くにいる人から皆殺しにする。
狂気と欲望にのみ突き動かされる存在に堕ちる。
「ケイト様、私は何ともないから。アン様の所に行ってください。きっと不安な思いをしてるとおもう。」
アン様――アンリエッタ・ルーファス――はケイト様の婚約者だ。
ときどき遊びに来てくれてお茶なんかをする。
…たまにケイト様の愚痴を聞きながら。
「…ありがとう。アンも…」
「ケイト様?」
ガシャーーーン!!!
「やっと見つけた。薔薇姫。」
長…一言ですみません。次回こそは…