まずは苗木を植えましょう。
本編です。
「外に出たいなぁ」
外から完全に隔離された部屋。
季節も天気も関係ない。
常に魔法で一定の温度、湿度、時間による明るさの調整がされている。
私はサラ、この部屋の主だ。
国家魔術師のクエンルン家で実験隊?被験体?とにかく、観察対象として置かれている。
退屈な毎日に変わらない環境。
でも、それも今日で終わり。
ふふふ。絶対ここから出て自にんるんだから!
コンコン
「サラ、今日の気分はどうかな?体が熱いとか…喉が渇いたりしてない?」
ケイト様だ。
ケイト・クエンルン、国家魔術師で顔は綺麗だと思う。
ちょっとウェーブのかかった金髪がやわらかそうなの。
近々貴族のご令嬢と結婚する予定のはずだ。
「してないよ。どうして喉が渇かないといけないの?」
何を言い出すんだろう。
何故、喉が渇くなんて聞くのかわからない。
「…ケイト様は、私を何だと思ってるの?」
ケイト様は目をそらしたままだ。
「…」
「何かあったの?」
急にこんな事を聞くなんておかしい。
「ケイト様?」
「…ヴァンパイアが出たんだ。」
ヴァンパイア――吸血鬼――夜な夜な人の生き血を吸うっていう??
信じられない、そんなの。
「聖域のふもとの王都に、ヴァンパイアなんか出るわけないよ。」
「嘘じゃない。それに…」
「それに?」
ケイト様は何が言いたいの?
「ヴァンパイアの長だ。王都に現れたのは。」
次、長登場です!