美しい華には棘があります。
「う~ん。だいぶ様になってきたねぇ。」
「嬉しくないです。」
現在私は例の如くルシカの膝の上に居ます。
近頃、私の定一になりつつあるのですが、恥ずかしいです。
ここに来て、早1ヶ月。
今日は私の通う「学校」についての話し合いで、後見人のウェラ伯爵が訪ねてきている。
「何故、ここにカイルとリオナ嬢がいるんですか?」
「あら、私たちがいて、何か不都合でもありまして?」
「俺たちだってサラちゃんが大切だからさ、話し合いを聴いていてもいいだろう?」
「申し訳ありません。」
「…聴くだけならかまいません。」
ルシカはウェラ伯爵には弱いんだよね。
あの二人もそれを知っていて付いて来たんだろうなぁ。
「サラ様はローザリアスト女学園が一番最適かと思います。」
「ローザリアストですか。」
「貴族の令嬢が多く通っているので、サラ様の社会勉強にはよろしいのでは?」
「そうですねぇ。格式ばっていますが、この先のことを考えるとサラには良い勉強になりますね。」
ローザリアスト女学園って、お嬢様学校なんだ。
ん?リオナさん、顔色が悪い気がする。
気のせいかな?
「リオナさん、気分でも悪いの?」
「っえ?!」
「そういえばリオナもローザリアストだったよね?どんな学生生活だった?」
私がそのお嬢様学校に通うことは決定のようだ。
こんな身近に先輩がいるなんて、いろいろと話を聞いておかないと!
「リオナさん、私も知りたいです。」
「…リオナ嬢?」
「ぇえっと!私がお教え出来ることはありませんわ!サラちゃんが実際に通って、学園生活を実感したほうが楽しいですわよ?!」
自分で感じる、か。
確かに、新しいことにはチャレンジしないと前に進めないよね。
「ありがとうございます。学園生活がとっても楽しみです!」
私がこの言葉を後悔するのは、もう少し後の話。
Sideリオナ
私の学園生活は悲惨だった。
爵位はもちろん、「薔薇姫」であるか、それが誰のものか、女の権力争いばかりだった。
それは陰険ないじめばかりで、私もカイルの「薔薇姫」であることを秘密にしていた。
カイルは学生の身でありながら、政に参加していたし、ルシカ様とは幼馴染兼親友で、ここだけの話、いとこ同士でもある。
しかも、癒し系の美形ときたら、モテないはずがない。
標的にされるのは嫌だもの。
なんだかんだで穏便に学園生活を送ったけれど、何人も学園を辞めていく令嬢方を見てきた。
さすがに、ルシカ様もお父様も、サラちゃんの身分を隠して入学させるようだけど…
バレたときが大変なのに。
私がこの話をしようとしたら、ルシカ様はサラちゃんに気付かれないよう鬼の形相で睨んでくるし!
どうか、サラちゃんは平和な学園生活が送れますように。
それにしても…
「ルシカ様の○×△≠§¶!!!」
「リオナ?!」
学園へ通います。ルシカは鬼畜入ってます。