愛でて育てましょう
いえ、悪いのは私だってちゃんとわかってますよ。
わかってはいるんですけど…
今私がいるのはルシカの上です。
ナゼこうなってしまったのか、それはほんの数分前の出来事からです。
「ルシカ、まだ体だるい?」
自分のせいで寝込んでしまうことになってしまったルシカに罪悪感を感じる。
私の体は吸血前と変わっていた。
まず第一に、頭では変態とわかっていても本能的にルシカの傍にいたいと思ってしまう。
それに対して嫌悪感もなく、自分の中にしっくりと収まっている。
第二に、何故かルシカに血を吸ってほしいと思ってしまう。
第三に、ルシカがどこにいるのかなんとなくわかってしまう。ほかの人に対しても同じなのかと思ったら、ルシカ限定だった。
これが、『薔薇姫』として覚醒する、ということなのだろうか?
「ふふ。心配してくれるのですか?」
「だって、私のせいだし…」
「…そうですねぇ。」
?気のせいだろうか。
ルシカの空気が、変わったような気がしたんだけど。
「サラ、俺も喉が乾いてしまいました。」
「ふぇ?」
わかってます。
ベッドの淵に座っていた私が悪いんです。
ルシカの不穏な空気に気付けなかった私が!
「ルシカ?!」
一瞬のうちに私はルシカの膝の上に移動させられていた。
ベッドの上に向かい合って座っている状態に、サラの顔は真っ赤になる。
なんとかして逃げようとするも、思ったように体が動いてくれない。
恥かしくてたまらないのに、心のどこかで、このままと思ってしまう私がいる。
「潤して下さいね。」
「え?」
考える暇なんて与えられなかった。
一瞬の痛みと、今までに感じたことのない甘美な体の疼きに思考がうまく働かなくなる。
―――ナニコレ?キモチガイイノ?―――
燃えるように、溶けるように、体が熱い。
「っあ…やぁ…ぁ、もっと…」
もっと?
私は今、何を言ったの?
ルシカもサラの言葉に、しばし血を吸うことを忘れてしまったほど驚いたようだった。
「やっ!今のは違うの!!」
「いえ、違いません。」
ばっちりとルシカの耳に届いたようで、訂正しても後の祭りだ。
恥ずかしい!!
穴があったら、無くても穴を掘って潜りたい!!
「安心してください。これから、永遠にも等しい時間、何度でも貴女の血を頂きますから。」
「…はぃ。」
甘い誘い。
一度知ってしまえば、一度堕ちてしまえば、もう戻ることができない。
吸血の名残に身を任せていたサラは気付いていなかった。
ルシカの瞳に別の欲が潜んでいたことに。
「サラ、俺の『薔薇姫』」
「ひゃぁ!やめっ…ぁ!」
気付いた時にはもう遅い。