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〜第1章〜時を超えて

ある日の夜。


アタシはいつものように1人ベランダで空を眺めていた。


今日は満月。


地球でもしょっちゅうこんな感じでよく空を眺めてたななんてふけってみたりして。


時々地球でのコト思い出しちゃうんだよね。


仕方無いよね。


でも何百年も昔のコトなんだよね。


アタシャ浦島太郎だよ。


親友の璃音との日々や神崎家でのコト、神楽と如月が来てからのコト…。


何もかもが昨日のコトのよう。


如月や神楽に“妃杏様”なんて未だかつて言われた試しのない言い方をされて戸惑ったり、時には苛立ったり…。


考えてみれば出逢った時から“妃杏様”だもん、なかなか同等になんか見れないよ、神楽のコト。。。


何とか頑張って同等に接しようと、アタシなりに必死で考えて今は神楽に敬語で接してみてるケド。


初めて神楽と会った時、ワケが分かんなくて敬語を遣ってたら超が付く真顔で“「敬語はお止め下さい」”って言われたケド、今はテレて“「お止め下さい」”って言う程度…。


出逢った時には既に主従関係にあった2人が、今や婚約者だもんなぁ…。


かたや神楽は幼い時の恩ダケでアタシに仕えるコトだけを目標に今まで生きて来たオトコ。


如月も神楽も初めてアタシの前に現れた時からアタシのコトは“皇位継承者”だもんね。


アタシも“「妃杏様」”呼ばわりされて初めは戸惑ったけど、段々その気になってきてたし。


そんな関係のアタシと神楽が“フツーの恋人同士”になれる日なんてくるんだろうか。


空を見上げながら、ふと考える。


出るのはため息ばかり。


空にはキレイな満月なのにな。。。


「妃杏!」


ん?


モニターを見るとお隣のサルミナ星のルアナ皇女がいた。


『どうしたんですか?皇女』


ルアナ皇女はアタシの3つ上。


実は如月がお慕いするお相手。


まぁココだけの話なんだけどね。


背が高くてスタイルは抜群で頭脳明晰。


歯に衣着せぬ物言いで良く周りから注意されてるらしいけど、本人は全く気にしてない様子。


裏表ない性格だから信頼は物凄くある。


アタシにとってお母様の次に尊敬する女性。


何と無くだけど、璃音みたいなカンジで、なおさら親近感が湧くんだよね。


「アンタんトコのウルトラスーパーハイパーエクセレントスペシャルブレインとbossに用があるんだけど今大丈夫かなぁ。」


・・・・・・・・・・ルアナ皇女???????


2度同じ言い方出来んのかなぁ。


どんだけくっつけんだよ。


よくもまぁ出て来るねぇ。


ちょっぴり呆れる。


ちなみにたぶん神楽のコトだと思う。


でもなんだろbossと神楽に用なんて。


『確認してみますね。お待ち下さい』


アタシはすぐさまモニターを切り替えてbossと神楽それぞれに聞いてみた。


「かしこまりました。皇女直々の御用とあらばお断りは出来ませんね。すぐに準備致します」


2人とも即答だった。


アタシはすぐさまモニターを再び切り替えてルアナ皇女に伝えた。


「ありがとう助かるわ。今から行くから妃杏のroomでイイ?」


えっ!?


『アタシも宜しいのですか?』


「アンタにも聞いて欲しいのよ」


何だろ、胸騒ぎがする…。


表情が気になって。


ルアナ皇女のこんな顔見たコトないよ。


「分かりました。お待ちしております」


アタシの部屋でと言うコトを2人に伝え終わるか終わらないかのうちに、ルアナ皇女がルアナ皇女のSPを連れて現れた。


『早っっっっっ』


つい低い声で呟いてしまった。


「琉冠星はイイねぇ。アタシも移住しよっかなぁ」


??????????


いきなりの衝撃発言。


「ルアナ様!」


SPのマールスさんにたしなめられてる。


皇女らしいっちゃあ皇女らしいわな。


こんなコトすらサラリと発しちゃうんだから。


一足先に現れたのはbossだった。


「失礼致します」


『どうぞ』


「いらっしゃいませルアナ皇女。わざわざお越し頂き恐縮です」


bossはルアナ皇女に向かって“エージェントの最敬礼”である、“跪いて一礼”をした。


「ごきげんよう朱雀サン。気にしないで、アタシが来たかったダケだから。ちょっと自分のトコじゃ言いづらかったから」


“自分のトコじゃ言いづらい”…。


益々胸騒ぎ。


「失礼致します」


遅れて神楽登場。


案の定コーヒー持参で。


さすが“かゆいトコロに手が届くオトコ”ね。


それにしても如月、皇女に逢いたいだろうなぁ。


「そう言えばもう1人は?」


ルアナ皇女は部屋を見渡している。


おっっっ!!!


「如月も同席して宜しいのですか?」


心の中はニヤケてる。


表情は至って冷静に。


「妃杏のエージェントなんだから」


まぁ…ね。


「恐れ入ります」


返事したのはなぜかboss。


bossが如月を呼んでくれた。


如月の喜ぶ顔、見たかったな…。


まさかそのままのテンションで来ないよねぇ。


「失礼致します」


さすがに冷静に登場。


内心ひと安心。


如月の気持ちはアタシしか知らないから。


神楽やbossが聞いたらきっと“立場をわきまえろ!!”って怒鳴られるだろうからアタシからも言わないし。


だけど神楽も如月もやっぱり“ルアナ皇女は璃音様みたいですね”って良く言ってる。


だから如月がホレるのかなって思ってみたりして。


如月と璃音、スッゴく気の合うコンビだったから。


「ごきげんいかがですかルアナ様。」


この如月の嬉しそうな顔ったらありゃしない。


見てるこっちが照れちゃうよ。


「ところでさぁ…」


急に表情を変えた皇女にウチらも緊張する。


「アタシさぁ、、、」


言いづらそうな皇女。


思わず息をのむ。


皇女はゆっくり、言葉を選ぶように話してくれた。


何でも皇女の言うコトには、サルミナ星に異変が起きてるんだけど誰にも信じてもらえなくて困っているとのコト。


皇女は確実にサルミナ星の自然が侵され始めているとみんなに訴えているらしい。


そこでみんなに信じてもらうべく、ウチらにリサーチを依頼したいとのコトだった。


当然ウチらの意見は一致。


“隣の惑星であるサルミナ星の危機は琉冠星の危機も同然。何らかの影響も考えられますので当然お請け致します。”


皇女は物凄く嬉しそうに応えてくれた。


「皆様のお力を借りなければならないコトは大変情けなく思います。申し訳ありません」


マールスさんが深々とアタマを下げた。


早速作戦会議が行われた。


もちろんこの5人ダケの秘密。


だからいくらなんでもそんな頻繁にお互い往き来出来ないから、神楽と如月とbossのウルトラスーパー何とかブレインを最大限に駆使してサルミナ星の状況を逐一チェック出来るシステムを開発するコトに。


まぁこの3人に掛かれば探査衛星の1つや2つ、モノの数分で出来ちゃうんだろうけど。


.....出来たらしい。


“分”すら掛かってなかったんじゃないか?今…。


「次は解析プログラムですね」


つくづく感心ダワホントに…。


「ホントスゴいね」


皇女もマールスさんも驚愕の様子。


2人が帰ってからもプログラミングは続いたけど、コレもやっぱりわずか数分で出来上がったのだった…。


アタシはただただ見ているだけで。


もちろん5人以外にはバレないように気を張らないとイケない。


ソコが難点と言えば難点。


一応こっちでコントロール出来るようにはなってるけどね。


「皇女の名誉の為にも何とか解決しないといけませんね!」


張り切る如月。


アタシは1人ヒヤヒヤしていた。


“んなコト言ったらbossや神楽にバレちゃうでしょ”


って。


「お前皇女に好意があるのか?」


!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!


だから言わんこっちゃない。。。


鋭いbossのツッコミに、アタシは思わず口に含んでいたコーヒーを吹き出しそうになった。


如月を見る神楽の視線が怖かった。






数日後.....


アタシは如月とサルミナ星に来ていた。


名目は皇女に逢いに。


実際は、リサーチ。


データベースにはない性質の物体が検出されたから。


とりあえず皇女のご家族にご挨拶。


サルミナ星のロイヤルファミリー。


サルミナ星は男女問わず一番上が継承するしきたり。


皇女には継承権はない。


だから自分にでも好意を持つくらいならってのが如月の本意。


継承者のシュナ皇子は超イケメン。


全国民の憧れの的。


お妃は誰がなるのかが最大の関心事みたい。


まぁもちろんそれなりの方がなるんだろうけど。


だからルアナ皇女ももちろんかなりの美人。


ルアナ皇女もどんな人と結婚するのか皇子程じゃないにしても注目されてるらしい。


そこが如月が気後れしてしまうポイントらしい。


まさに“高嶺の華”。


アタシは応援してるよ!!


如月はいつでもアタシを応援してくれてるもん。


「ごきげんよう皇子様」


500%の力で“よそゆき妃杏”スマイル。


お母様にこれでもかってくらい叩き込まれたからね。


“国民の前”用と、“よそゆき(来賓等)”用と。


最初はノイローゼになりかけたけど今じゃすっかりフツーに出ちゃうよ。


「ようこそ妃杏様」


カッコイイわぁ皇子。


そりゃ全国民の憧れの的にもなるよ。


イヤ!?浮気じゃないよ。


浮気はしませんよ?


“カッコイイ”ったって、やっぱりココでもときめくワケではないんだな、コレが…。


プラチナムストーン恐るべしだよ。


他のご家族にも挨拶を済ませ自然な流れで皇女の御部屋へ。


さっそく本題に入ろうとしたその瞬間、マールスさんが何やら反応した。


「ですが今は妃杏様が…」


マールスさんの困惑顔が。


「ガイル?」


今度はぶっきらぼうな皇女が。


ガイル???


如月と顔を見合わせる。


「追っ払ってよ」


皇女のすんごい剣幕。


今までこんな皇女見たコト無いワ。


「婚約者としてキミの交友関係は知っておく必要があるだろ」


ガイル???


“婚約者”!?


皇女の顔が一気に変わった。


「ガイル様」


マールスさんが制止しようとするのを振り切りガイルはアタシ達の前に立った。


「初めまして、ガイルと申します」


何ともジェントルマンな人じゃないのよ。


ご挨拶がいかにもどこかのご子息様ってカンジだわ。


『初めまして。琉冠星の妃杏と申します。隣はエージェントの如月です』


とは言え如月の顔が見れない…。


確実に動揺してるよね、きっと。


「挨拶なんかしなくてイイワよ妃杏」


どんどん皇女の顔が恐ろしくなっていく。


どうみてもガイルは皇女に嫌われてるワね。


「ボクは婚約者として挨拶してるんだ」


如月のコトを思うと“婚約者”なんて言われたらアタシまでドキドキしちゃうよ。


「婚約者だなんて誰も認めてないわよ。アンタが勝手に言ってるだけでしょ?だいたい勝手に人のroomに入って来ないでよ」


皇女の機嫌の悪さはどうみてもとっくにMAXを振り切っていた。


「マールス様、どういうコトですか?」


うわぁぁぁぁぁ。


如月の声が上ずっている。


「ボクと皇女はお互いのお祖父様が決めたフィアンセなんだ。皇女は次期王妃なんだよ」


アタシも如月も絶句した。


するしかなかった。


「それはとっくに時効だって言ってるハズよ」


皇女は全くガイルと目を合わせようとしない。


皇女の顔から笑顔が消えてどのくらいだろう…。


何だか背後から殺気だったモノすら感じる。


「皇女の交友関係が分かったトコロでボクは失礼するよ。妃杏様、また」


さりげなくガイルは帰って行った。


「二度と来るな!」


やっとガイルの方を見た皇女はガイルの背中に向かってボソッと一言吐き捨てた。


大きくため息をつく皇女。


見たことのない、鬼気迫る皇女の表情だった。


しばしの沈黙。


後ろを振り向けない。


沈黙を破ったのはマールスさんだった。


「ガイル様はイグアス星の王子でして、その昔ルアナ様のお祖父様のランズ皇大王様の代に我が星はイグアス星に攻められまして、その時に停戦の条件として“いずれ生まれてくる女子を我が国の王子の婚約者として迎え入れる”ってのを提示されたのです」


そんな。


『それって人質じゃないですか!いつの時代の話?』


思わず叫んでいた。


中学高校で学ぶ日本史や世界史の話じゃないのよ?


「だからアタシは時効だって言ってんのよ」


落ち着きを取り戻した皇女は表情もいくらか落ち着いている。


それにしてもずっと無言の如月が気になる。


ホントは叫びたいハズ。


暴れたいハズ。


今すぐに皇女に駆け寄りたいハズ。


だけど如月は毅然とした態度でアタシの後ろにいる。


如月のコトを思ったら泣けてきちゃうよ。


この恋、何とかならないモノかなぁ。





















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