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〜序章〜夢の果て

これは、今から何世紀も先のお話。


地球は“国”と言う概念を無くし、


宇宙もまた“惑星”と言う概念が無くなって、


“惑星”が1つの“国”として機能している時代。


ある惑星に1人の皇女様がおりました。










「おはようございます、妃杏(ひあん)様。」


『おはようございます、神楽(かぐら)様。』


地球から程近く、環境も地球に似ている琉冠星と言う名の惑星。


皇女様の名は妃杏。


男女兄弟関係なく、皇家に産まれた時に琉冠星の守護神とも言うべき“プラチナムマウンテン”の鉱石、


“プラチナムストーン”


と言う名の石が反応した者が次期皇位継承者となり、妃杏はその“次期皇位継承者”なのである。


「妃杏様、ワタクシに“様”はお止め下さい。」


神楽があたふたする。


神楽は妃杏付のSP(エージェント)であり、なおかつ妃杏の責任者(マネージャー)でもある。


この神楽、自身が7歳の時に大ケガを負ったのだが、


その場に居合わせた、当時まだ若干2歳の妃杏に迅速かつ的確な処置を施されて以来、


“インペリアルゲート”にゲートイン(入省)し、次期後継者の妃杏に仕えるコトだけを目指して来た。


インペリアルゲートとは言わば宮内庁のような機関で、皇家直結の国家機関である。


皇家の護衛・執務を担当するこの機関は、国家の最高機関であるため入るにもかなり困難。


その前にまず養成機関の“アカデミア”に入学しなければならないのだが、これもまたハイレベル。


“インペリアルゲート”イコール“国民の代表”と言う位置付けにあるため、


アカデミアにいる間だけでなく、インペリアルゲートに入り、“エージェント”として正式採用されてからも毎月行われる考査で8割以下を取ると、即留年もしくはアカデミアからやり直しと言う厳しさのなか、


神楽は7歳の時から目指して来ただけに、アカデミアの入学試験からインペリアルゲートに入って現在に至るまで、未だにオールパーフェクト(満点)を取り続けている、


後にも先にも現れていない“伝説のエージェント”なのである。


インペリアルゲートの最高責任者である、“boss”(朱雀(すざく))の計らいで神楽は何とか晴れて念願の妃杏付の責任者(マネージャー)に就任し、これで一件落着!!!


・・・の、ハズだったのだが、、、






『もうそろそろマネージャーとしてじゃなく婚約者として見てもらわないと!』


妃杏はどうにか神楽にパートナーとして接してもらおうと試行錯誤を重ねあの手この手でいろんな作戦に出ていて、“ならば自分も神楽に対して敬語を使おう!”と思い付き接しているのだが、“そんな大それたコトを!!!”と、慣れてない神楽はたじろいでばかり。


悪びれた感皆無の妃杏に神楽は何も反論出来なかった。


“神楽はアタシのコトは後継者としてしか見ていない。アタシが言えば何でもしてくれたり、何も言わず側にいてくれたりするのは、あくまでもアタシが後継者だからなダケだ!!”


と暴走する妃杏に、


“妃杏様は次期後継者様。自分はお仕え出来るダケで十分!”


とお互いがお互いに自分の気持ちに気付かずにいた。


とは言え気付いていないのはあくまでも当の本人達だけで、周囲の人間の方が気付いていてそんな2人を見てはヤキモキさせていた。


『いくら神楽がアタシのマネージャーだからって言ったって、行く行くは皇妃王になられるんだから。周囲だってみんな神楽様って呼んでるでしょ!』


屈託の無い妃杏の笑顔に、神楽は思わず顔を赤くしてうつ向いた。


本来、男性であれば“皇王”であり、そのパートナーは“皇妃”なのだが、


妃杏は女性皇王の為、“皇王妃”となり、そのパートナーは“皇妃王”となる。


神楽はその“皇王妃”になった今でも妃杏に大しての尊意は変わらないためチーフ時代から未だに妃杏に大して尊敬語で接している。


それが妃杏の最大の悩みなのだが神楽は気付かず…。


女性皇王は3代ぶりのコトで、しかもそのパートナーがエージェント上がりと言うコトもあり、国民の期待はかなりのモノがあった。


「おはようございます妃杏様、神楽様。妃杏様の今日のご予定は…」


妃杏のサブマネージャーの如月(きさらぎ)


この如月、エージェント1年目のド新人なのだが、今や次期マネージャーと言う超異例の大出世を果たした幸運な男である。


『ありがとう、如月』


如月を見る妃杏の表情は、まるで子供の成長に目を細める母親のように見える。


妃杏と初めて会った頃の如月は、いかにもアカデミアを卒業したての知識でガチガチのアタマでっかちと言う印象で、妃杏は如月ではなく神楽に絶対の信頼を寄せていた。


だが次第に、神楽とは違う信頼感を如月に抱くようになり、


神楽が、プラチナムストーンに導かれし妃杏の運命の相手だと気付いた後、異例中の異例とも言うべき見習いの如月をサブマネージャーに抜擢したのは、


神楽と妃杏、2人共通の意見だった。


神楽もまた、以前から部下の如月を信用していた。


如月が部下として来た時から自分でやれば済むコトでも、“如月の評価の為に”とわざわざ如月にやらせたりして、気配りも忘れず、


アカデミアでの様子をbossから聞いて、自ら如月を引き受けた程だった。

(当の本人は知らない。)


『如月にまた叱られますよ?“皇妃王様らしくなさって下さい!”って!!』


如月の最近の口癖を引用する妃杏。


またしても反論出来ない神楽。


普段のマネージャーとしての立場であれば容赦なく反論する神楽なのだが、


“皇妃王”としては、てんで弱くなってしまうのである。


実質的に妃杏の方が立場が上なので、弱くなってしまうのはどうしても仕方無いコトなのだが…。


確かに神楽は、常に如月から口煩く“「皇妃王様らしくお振る舞い下さい」”と言われ続けている。


とは言え、所詮相手は自分の部下。


その度に如月には強く出て、“「オレはまだあくまでも妃杏様の婚約者だ!まだ皇妃王では無い!!」”と反論しているのだが。


「まぁ、神楽様は妃杏様にお仕えしたい一心でここまで来たお方ですから、仕方ありませんよね」


如月は誰よりも先に2人のそれぞれの気持ちに気付いていた。


神楽の性格も妃杏の性格も、誰よりも理解している自信が如月にはあった。


自分が神楽と妃杏の肝煎りでサブマネージャーになれたのも本音は何にも代えがたい程の喜びだったが、


“「神楽様がマネージャーで居られると言うのにそれでもサブに就きたい奇特な方なんていませんよ!!」”


と上司の神楽に食って掛かる程、如月もまた神楽に絶対の信頼を置いている。


“「オレはまだマネージャーだ!!オマエで十分だ」”


神楽もまた、譲る気配は微塵も無かった。


だが妃杏本人は1日も早く神楽に今までの“皇女としての妃杏様”から、“パートナーとしての妃杏様”として接して欲しいと言う点からも、本音では今すぐにでも神楽にマネージャーを外れてもらい、如月がマネージャーになって欲しいのだが、、、


現時点ですでにほとんどのマネージャー業務は如月が行っている。


如月も妃杏も、中途半端なコトが嫌いな神楽の性格を知っているからこそ、“「そろそろマネージャーに…」”なんてコトは言えないでいた。


「別にワタクシ個人としては、マネージャーだろうがサブマネージャーだろうがどっちでもイイんです。お2人と一緒にいれさえすれば」


妃杏と2人の時間、時折如月はサラッと笑い飛ばしながら言う。


如月は、まだ神楽が自分のチーフだった以前から良く言っていたコトバがある。


“妃杏様がいてチーフがいてワタクシがいる。怖いものナシですね。”


このコトバを初めて聞いた時は、“何て自意識過剰なヤツなんだ??”と思ってしまっていた妃杏だったが、


その後何度となくこのコトバに救われてきた。


何かあるごとにこのコトバと言った時の如月の笑顔が甦ってくるのだった。


「ワタクシは妃杏様も神楽様もお2人とも大好きですから、お2人のそばにいられればポジションなんて何でもイイんです!」


これもまた、如月の口癖の1つだった。


「神楽様がワタクシに妃杏様をお迎えに行かせてくれてなかったら、妃杏様があの時神楽様やbossに直談判して下さらなかったら、今ココにワタクシはおりませんからね」


如月には、神楽に対しても妃杏に対してもアタマが上がらない理由がある。


だがそれが、如月が2人に絶大の信頼を置いている理由でもある。


『あの時はイマイチ訳が分からないまま完全なまでの同情であんなコト口にしちゃってたケド、今は言っといて良かったと思ってるよ』


妃杏の表情に、嘘は無かった。


まだアカデミアを出てすぐの頃、アカデミアを首席で卒業した如月は自分に絶対の自信があった。


見習いの分際で上司の神楽に何の断りもなく勝手な行動を取った為に、アカデミアに出戻りする寸前まで行った如月だったが、


妃杏の恩情でかろうじて出戻りは免れたと言う過去がある。


如月のフォローと妃杏の恩情、


どちらか1つでも欠けていたら、今頃如月はエージェントすら続けていられなかったに違いない。


ある意味、神楽にとっても如月にとっても妃杏は“命の恩人”なのである。


と言っても、当の本人は全くそんな気は無いのだが。


「仕方無いとは言え、神楽様も困ったモノですね」


苦笑いの如月。


『アタシの悩みなんて神楽は気付かないよね…』


妃杏も苦笑い。


「ご結婚なされば変わりますよ」


優しく微笑む如月だが、イマイチ妃杏は腑に落ちなかった。


『結婚・・・、かぁ』


妃杏の視線は遠い未来を見ているようだった。


神楽との未来-----


いずれ近い将来に来るはずである未来を、妃杏は想像できないでいた。


それが悩みでもある妃杏は、ボーッとしながら空を見上げていた。












アタシが肌身離さず身に付けているプラチナムストーン。


この琉冠星の守護石でもある。


この石は皇位継承者ダケが持つコトを許され、持つ者によって違った力を発揮する不思議な石なのだ。


自分が産まれた時から身に付けているから、取り立てて“特別なモノ”と言う意識は今まで全く無くて。


むしろアタシは“御守り”だと思っていた。


そのくらい自然な存在だった---


この石の正体を知るまでは.....






アタシは3歳になったその日から17歳になる寸前までの約14年間、2世紀前の地球で過ごしていた。


何かの衝撃で出来た時空間の歪みが原因らしいんだけど、その時の衝撃でそれまでの記憶まで亡くしちゃって、


アタシは孤児として施設で少しの間育ち、その後神崎妃杏として神崎家の養女として幸せに暮らしていた。




あの満月の夜までは-----



その何日か前から前兆じみたモノはあったけど、決定的だったのはある満月の夜で。


アタシの潜在意識に如月が入り込んで来た。


そこで明かされたのがアタシの正体。


まさに“青天の霹靂”


だった.....




何となく自分が、“普通じゃない”コトは気付いていた。


その理由の一番は、やっぱり、このストーン。


アタシ以外の人にはこの石が見えなかったの。


嘘みたいだけど、ホントの話。


養父母の神崎夫妻にも、幼い頃からの付き合いの親友にも、最初にお世話になった養護施設の先生にも、アタシを施設に連れて行ってくれた厚生員さんも。


だからこの石の正体を調べようにも、自分1人で調べるしかなくて、パワーストーンのお店に行っても見えないモノは答えられるワケもなく‥。


でも不思議と、怖がったり気味悪がったりってのは無かった。


アタシ、施設に行くまでの記憶がまるで亡くなっていて、自分の名前・誕生日以外のコトは何も覚えていなかったの。


どこから来たのかとか、どうやって来たのかとか、どうして1人なのかとか、両親の名前とか。


それでいてわずか3歳でピアノが弾けてて、よく施設でキーボードを弾いてた。


ソレがきっかけで、ピアノ講師の神崎ママがアタシを養女にって迎えてくれたんだけどね。


如月がアタシの潜在意識の中で明かした衝撃の真実------


それは、


アタシは2世紀未来の“琉冠星”と言う惑星の皇女で、しかも皇位継承者だって言う、何ともハチャメチャな真実だった。。。


その時はもちろん全く信じられなかったけど、そう言われて見れば思い当たるフシってモノが次から次へと出てきて、


如月が来ていた服の胸ポケットにあった、刺繍のエンブレムがアタシが施設に連れて行かれた時に来ていたワンピースの刺繍と同じだったコトや、


言ってるのは神崎ママじゃないってのは分かってたけど、なぜか耳に焼き付いているコトバがあって。


ストーンの、“この石は命と同じくらい大事なモノ”ってのともう1つ、


“困っている人を助けるのがアナタの役目”


その2つの意味も自分の正体が分かってやっと繋がった気がした。


しまいには、誰にも見えていなかったペンダントのストーンが、如月には見えていて…。


“「そのストーンがこの地球に存在しないモノだからです」”


なんて言われて。


さらに如月の話の影響で、その日からと言うモノ今まで一切出てこなかった幼い頃の記憶が脳裏に残像として甦ってきたり、


レジスタニアって言う、琉冠星の反国家組織に狙われてアタシが存在していた事実がレジスタニアのせいで消えちゃったり、


如月に言われた通りに、心の中で如月を何度も何度も強く呼んだら何故かその上司の神楽が現れたり。


でもその時にアタシの失われていた記憶が完全に覚醒しちゃって、


アタシは抗えない現実に、見事に打ちのめされたのだった。。。






それからと言うモノ、改めてこの石と向き合うコトになったんだけど、


unbelievableさは益々パワーアップし、


それでもやっぱり不気味さや恐怖心は一向に起きなかったけど、


ただただ驚き続けるばかりで。


でもこのストーンは、ホントにアタシを護ってくれてるってコトを痛感させてくれた。


自分の正体が分かるまでの十数年、今思えば一切危険な目に遭わなかったのはストーンのお陰だったのかなって思えたり、


レジスタニアから何度も護ってくれたり、


ハタから見たら、“男性恐怖症”かって親友の璃音が心配する程男性を真剣に好きになるがコト無かったのも、ストーンのパワーだったり。


何でもこのパワー、同じストーンでも、持つ人によって発揮されるパワーが異なるらしく。


代々の皇王に共通するパワーが幾つかあって、その中に、


“想う人が現れた時、その人が運命の相手”


なんてのもあって。


結婚相手を見極める力も、この石にはあるのだ。


でもねぇ、、、


そのお陰で“異性と付き合う”コトがどういうコトなのか解らなくて、ハードに大変だったんだ。。。


ましてやアタシのその“運命の相手”は、すぐそばにいる人だったから。


そう…、


エージェントの神楽。


アタシはそれまでずっと、勝手に“神楽はあくまでも後継者としてしかアタシを見ていない”って思い込んでいて、


神楽に対する特別な気持ちを持っていたにも関わらず、自分で無理矢理抑え込んでいた。


まさかその気持ちがストーンの力だなんて知るハズ無かったから。


未だにこのストーンの力は、未知数。


持っているアタシはもちろん、アタシよりストーンとの付き合いが長いお父様やお爺様ですら、完全には分からない。


それがこの、プラチナムストーン。


この琉冠星の守護神。


この琉冠星の、プラチナムマウンテンにしかない鉱石である。


















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