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終末工場日記  作者: 黒猫の凜


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ハナの記録③ 個性とあとの祭り

弾薬、詰める、運ぶ———


これが私のルーティンワーク。

でも、ずっとそうだったわけじゃない。

正確には5年ほど前、ハロと一緒に今の作業場に移ってきた。


その頃、ハロの動作不良が頻発したり、私が余計なことを考えてしまうようになってきたこともあって、私達はこっちの作業場の方がいいということになった。

どうして雑念が多くなったのか聞くと、主任は「故障だ」と言っていた。

そんな訳で、この5年くらいはひたすら弾薬を箱に詰めている。


……


ハロと私がここにきて一番お世話になったのがロコ先輩だ。

仕事の順序も注意点も優しく教えてくれた。

なので私は、すぐにこの作業場が好きになった。


当時、ロコ先輩はなぜかやたらと"ロコお姉ちゃん"と呼ばせたがっていた。

けれど、期待に満ちた目が少し怖かったのでお断りした。


「最近、余計なことを考えてしまうようになった」と相談すると、

ロコ先輩は「それは個性だね」と言っていた。

それを聞いて、生まれて初めての個性だったから戸惑いがあるのかもしれないなと思ったりした。


……


ハロは他の子より動作不良が多いけれど、調整すればすぐ治る。

でも、必要な部品の在庫が段々減ってきて、作業場を移る前には調整が難しくなっていた。

なので、ここに来てからもハロはずっと調子が悪く、しばらく稼働を停止するかもという話もあった。

もしそうなってしまったら寂しいなと思っていたのだが…

それからしばらくして、私達に必要な部品もここで作ることになった。


「調整が必要な者は随分待たせた。すまない。」


主任が謝るのを聞いたのはあれが初めてだったので、当時はとても驚いた。

その後、私だけ主任に呼ばれて、


「お前は部品の交換だけでは治すのは難しい。すまない。」


と言われた。

私は内心、2度目の「すまない」にビックリしながらも、「個性なので大丈夫です」と答えた。

主任はしばらく何か考えた後、


「———そうか。なら次からは個性として扱う。

立場上、気が逸れていたら都度注意する。特別扱いはしない。構わないな?」


と、念を押すように私の目を見て確認してきた。

あの時、「いえ、特別扱いしてください…!」と言えば良かったと今でも後悔してるけど、当時の私は「大丈夫です」と返した。

きっとロコ先輩の言葉が、そして初めての個性が嬉しかったからだろう。


こういうのを「あとの祭り」と言うそうだ。

そういえば、まだ祭りは見たことないな…

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