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恐るべし昭和と思った話

作者: 山田 勝

あれは子供の頃の話だわ。私の家に大きな女の人が来たのよ。下はモンペよ。

ほら、昔、戦争中を描いたドラマに出てくる女性が野良仕事ではくズボンよ。

髪は三つ編みだったわね。ギリギリ若い。10代と思ったわ。


そしてね。物乞いを始めたの。


「食べ物を・・・下さい」


身上を語り出したわ。


私、九州で暮らしていました。しかし、父が亡くなり。

母と東京に出てきました。


母一人で姉妹二人。夕ご飯はオカズ一品だけ、でもお母さんは水で我慢しています。


だから、私は・・


「ダイエットしているからお母さん食べて」


と言ってあげるの。


毎日、給食が楽しみよ。

お代わりをしています。


「お母さんに夕ご飯を食べさせてあげたいです。グスン、グスン、グスン」



「グスン、グスン・・何でもいいです。ああ、東京は冷たい。九州に帰りたいわ」



困ったわ。

相手は10代後半のお姉さんだ。


でも、両手の人差し指をそれぞれ目に当てて泣いている。

ドラマでよくある「エ~ン、エ~ン」状態だわ。


小6の私では・・どうしよう。お小遣いをあげようかしら。


「少し、待っていて下さいね」

私の貯金箱は学習机についているタイプなので、二階に上がろうとしたら。

大声が聞こえた。



【おい!ブス、芋ゴリラ!な~に、やってんだよ。クソボケが!】


あれは近所のお婆さんとお爺さん。老人会の声だ。

口々にその大きな女の人を批難する。


「道子ちゃん!そいつはコジキだ。金をあげちゃなんねえ」


「ヒィ、本当ですよ。ヒドい、怖い・・服もモンペしかはけないです。年頃なのに、グスン」


「ならよ。何で、お前はそんなに太っているんだ!モンペも新品じゃーないか?」


するとね。女の人は・・


「チィ、お前がさっさと金を出さないからこうなったんだよ!このぶりっ子が!掛けそばだからイケると思ったのに、本当にここは強突く張りばかり住んでいる地区だ!」


私にワケの分からないことを言ってね。

近くに止めてあった自転車に乗って去ったのよ。



・・・・・・・・・・・・



ここで俺は聞いた。掛けそばだからイケるって何だろう。疑問に思う。


「お義母さん。掛けそばって何?」

「それはね。私も読んではいないけど、大晦日、母子家庭の家族が食堂で一杯の掛けそばを頼んで分け合う姿に感動した店主がごちそうする本だったかしら。社会現象になっていたかしら」


「はあ?大晦日に一杯の掛けそば?普段どんな食事をしているの?」

「さあ、分からないわ。でもそうツッコミをしたら、間違いなくヒドい人・・・しらけ世代と言われたわね」



昭和、恐るべし。

昭和の時代は現代では考えられない詐欺師がいたそうだ。

むしろこの話で出てきた女は滑稽ですらある。


さあ、ネットで動画でも見よう。


と思ったら・・


‘‘1人親家庭を支援しましょう。〇〇さんは破れた靴をお母さんに隠して・・‘‘



あの話とそっくりなCMが流れてきた。


現代はもっと巧妙化しているのかもしれない。


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