第7章: 蒸留酒とラーメン革命
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第7章: 蒸留酒とラーメン革命
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ガレスたちも、ラーメンのスープにご飯を投入(追い飯)しながら泣いていた。 「ボスぅ~! 炭水化物と脂質の暴力っす! 最高っす!」 「替え玉! 替え玉お願いします!」
【ステータス更新】
【新生ルメリナ公国】
【畜産】 ルメリナ地鶏、魔導乳牛。
【特産品追加】
ルメリナ・ラーメン:中毒性Sランク。
洋食三神器:マヨネーズ、ケチャップ、ソース。
魔導フルーツ&シードル
各種乳製品&パスタ
【食文化】 全方位死角なし(コンプリート)
【ナオト・カジヤ】
【新規習得スキル】
≪麺神 Lv.150≫:かんすいの配合からスープ作りまでを極める。
≪調味料錬金術 Lv.125≫
≪酪農王 Lv.120≫
≪果樹神 Lv.145≫
「ふぅ……。これで『和・洋・中・酒・甘味・果物』、そして『ラーメン』。全てが揃った」
直人はラーメンのスープを飲み干し、丼を置いて満足げに笑った。
「これでもう、国内で食えないものはない。……エレナ、明日はこのメニューを国民全員に振る舞うぞ」
直人は椅子に深く背を預けた。
「まずは我が国の民の胃袋を、この『悪魔的な味』で完全に支配する。……外交? そんなものは後だ。俺たちが十分に肥えて、満足してからでいい」
新生ルメリナ公国。 その恐るべき食料生産能力と飽食の宴は、まだ国境の内側で、静かに、しかし確実に熟成されつつあった。
【プロジェクト:魔導酒造プラント(インダストリアル・ブルワリー)】
直人は**≪地属性魔法≫と≪錬金術≫**を同時発動した。
「……構築」
ズズズズズッ……! 地面から銀色に輝く金属(ミスリルと鉄の合金)が隆起し、巨大な円筒形のタンクが林立する。 パイプが複雑に絡み合い、蒸気が吹き出す。それは異世界にはあまりに場違いな、近代的な化学工場の威容だった。
「第一ラインは『清酒』。第二ラインは『焼酎』だ。……稼働開始!」
1. 清酒(SAKE)の超高速醸造
「酒造りの肝は『並行複発酵』だ。米のデンプンを糖に変える『麹』と、糖をアルコールに変える『酵母』。この二つを同時に、かつ完璧なバランスで働かせる!」
蒸米: 数トンのルメリナ米を、**≪パイロキネシス≫**で生成した高温蒸気で一気に蒸し上げる。 「外硬内軟(外は硬く中は柔らかく)! 完璧な蒸し上がりだ!」
製麹: **≪微生物支配 Lv.80≫**で選別した最強の種麹を散布。 **≪環境制御≫**で温度32度、湿度を高めに固定。 「育て! 菌糸よ、米の芯まで食い込め!」 通常2日かかる工程が、数分で完了。栗のような香りを放つ「突き破精麹」が山のように完成。
仕込み&発酵: 巨大タンクに蒸米、麹、そして地下から汲み上げた**「伏流水(超軟水)」**を投入。 直人はタンクに手を触れ、内部の時間だけを加速させた。 「……春の温かさで酵母を増やし、冬の寒さで味を締める。四季を巡らせろ!」 ボコッ、ボコッ……! タンク内で酵母が爆発的に活動し、甘い香りが工場内に充満する。
上槽: 完成した醪を、**≪グラビティ≫で優しく、しかし強力にプレス。 酒袋など使わない。重力分離で液体と酒粕を分ける。 「……出たぞ。純度100%、『純米大吟醸』**だ」
2. 本格焼酎(SHOCHU)の蒸留
「次は焼酎だ! 原料は、余った『酒粕』と、大量に収穫した『サツマイモ』だ!」
芋の粉砕&発酵: 数トンのサツマイモを**≪テレキネシス≫**で粉砕し、米麹と混ぜて発酵。 ドロドロの「芋醪」を作る。
魔導蒸留: ここからが直人の真骨頂だ。 「沸点の違いを利用しろ! 水(100℃)は残し、アルコール(78℃)と香り成分だけを気化させる!」 直人は蒸留塔の温度を**≪熱操作≫で78.3℃に完全固定。 さらに≪風魔法≫で蒸気を誘導し、≪氷結魔法≫**で急冷して液体に戻す。
チョロロロロ……ドバドバドバッ!!
蛇口から溢れ出したのは、無色透明だが強烈な芳香を放つ液体。 アルコール度数25%~40%の原酒だ。
「……味見だ」
直人は出来たての焼酎を柄杓ですくい、舐めた。
「……クゥッ! ガツンと来る! だが、芋の甘い香りが鼻に抜けて……雑味がない! これが**『魔導蒸留』**のキレか!」
【実食:試飲会という名の宴】
夕刻。 工場の前には、出来たての酒が入った一升瓶が何百本も並べられた。
純米大吟醸「直人」:フルーティーで水のように飲める危険な酒。
芋焼酎「大地の怒り」:ドッシリとしたコクと香り。お湯割りが至高。
米焼酎「白銀」:クリアな味わい。サワーや果実酒のベースに最適。
「さあ、仕事の後は一杯やるぞ!」
直人の号令で、エレナとガレスたちが群がった。
「まずは『直人(冷酒)』からだ……」 エレナがガラスの猪口(錬金術製)を傾ける。
「……んっ……ふぁぁ……」 エレナの頬が瞬時に朱に染まる。 「あ、甘い……。水のように喉を通るのに、胃の中で熱い花が咲くようだ……。これは酒か? 飲む宝石ではないのか?」
次に、ガレスが芋焼酎のロックを呷る。
「カァァァッ!! キくぅぅぅッ!!」 ガレスがのけ反る。 「この芋臭さ! たまらねぇ! オークの焼肉の脂を、この強烈なアルコールが洗い流してくれる! 俺は今、生きてるぞぉぉッ!」
工兵たちも大騒ぎだ。 「焼酎と、あの『シークワーサー(柑橘)』を混ぜてみろ! 飛ぶぞ!」 「酒粕で作った『甘酒』もうめぇ! 飲む点滴だ!」
【ステータス更新】
【新生ルメリナ公国】
【産業】 魔導酒造プラント稼働開始。日産10,000リットル。
【特産品追加】
純米大吟醸「直人」:一升瓶換算で金貨1枚の価値。
本格芋焼酎「大地の怒り」:ドワーフ族が全財産を投げ出す味。
米焼酎「白銀」
【ナオト・カジヤ】
【新規習得スキル】
≪酒造神 Lv.180≫:水と穀物があれば、神酒すら醸す能力。
≪蒸留技術 Lv.155≫:不純物を完全除去し、二日酔いしない酒を作る。
「よし。これで酒は腐るほどある。……タンクに詰めろ」
直人は満足げに赤ら顔で頷いた。 食料、調味料、そして大量のアルコール。 国を豊かにし、国民を骨抜きにする(良い意味で)ためのピースは、これですべて揃ったのである。
「業務連絡。……酒と主食は揃ったが、まだ決定的に足りないものがある」
翌朝。 二日酔いのガレスたちを叩き起こし、直人はホワイトボード(石板)に力強く書き殴った。
「**『香り(アロマ)』と『刺激』**だ」
直人はテーブルにドサリと、わずかに採取できた野生の草根木皮を置いた。
「料理の味を決めるのは、実は主役(肉や魚)じゃない。それを支える**『薬味』と『香辛料』**だ。……これがないと、中華もカレーも、ただの肉煮込みになってしまう!」
直人は新たな生産リストを提示した。
ネギ・オールスターズ:長ネギ、玉ねぎ、万能ネギ。和・洋・中のすべてに必須。
香味野菜:セロリ、生姜。スープの深みと肉の臭み消し。
スパイス(刺激):唐辛子、胡椒。食欲増進と保存性向上。
ニンニク(増産):もっとだ。もっと量が必要だ。
「総員、畑へ走れ! 今日は**『薬味革命』**だ!」
【第1段階:ネギと香味野菜の森】
直人は**≪索敵 Lv.190≫**で、あらゆる植生をスキャンし、原種を確保。 **≪品種改良 Lv.125≫**で、それぞれの特性を極限まで尖らせた。
1. ネギ・セクター(Allium)
白長ネギ:太く、甘く、加熱するとトロトロになる「ルメリナ一本太ねぎ」。
玉ねぎ:生でかじっても辛くない「フルーツオニオン」と、飴色になるまで炒めるとコク爆弾になる「褐色玉ねぎ」。
万能ネギ:薬味の王様。再生能力が高く、切っても切ってもすぐ伸びる。
2. 香味野菜セクター
セロリ:独特のえぐみを消し、清涼感と旨味だけを残した「クリスタル・セロリ」。スープのベースに不可欠。
生姜:土の香りを強め、体を芯から温める成分を倍増させた「黄金生姜」。
【第2段階:熱きスパイスの畑】
「次は刺激だ! 辛さは痛みじゃない、快楽だ!」
1. 唐辛子 「辛さの中に旨味を!」
鷹の爪(改):突き抜けるような鋭い辛さ。
東方の甘唐辛子:辛味がマイルドで、噛むと甘みと旨味が染み出す品種。鍋や漬物(辛漬け)に最適。
2. 胡椒 「これは本来、南方の大陸でしか育たない『黒い黄金』だが……」 直人はビニールハウス(錬金術製の透明素材)を建設し、内部を**≪環境制御≫**で熱帯雨林気候に固定した。
ブラックペッパー:野生味あふれるスパイシーな香り。
ホワイトペッパー:上品な香り。
「育てッ!!」 ボボボボッ! 畑一面が、ネギの緑、唐辛子の赤、そして胡椒の黒い実で埋め尽くされた。
【実食:薬味たっぷり・中華点心パーティ】
夕刻。 直人はこれら大量の薬味と香辛料を使い、スタミナ満点の中華メニューを展開した。
メニュー1:特製・ルメリナ焼き餃子 「薬味の暴力だ!」 皮から手作り(強力粉+薄力粉)。 具材は、豚ひき肉、キャベツ、そして大量のニラ(ネギの変種)、長ネギ、生姜、ニンニク、セロリの微塵切り。 隠し味に**「オイスターソース(※代用:干しシイタケと味噌の煮詰め汁)」**とごま油。
ジュワァァァァッ!! **≪パイロキネシス≫**で鉄鍋の底を均一に加熱し、完璧な焼き目をつける。
「……食え。タレは『酢・醤油・ラー油(唐辛子油)』だ」
エレナがアツアツの餃子を口に運ぶ。
「……ハフッ、アチッ! ……んんんんッ!!」
皮がパリッ! 中から肉汁がブシャーッ! その直後、ニラとニンニク、生姜の香りが鼻を突き抜け、セロリの隠し味が肉の脂っこさを消し去る。
「なんだこの香りの爆弾は! 肉だけじゃない、野菜たちの主張が凄い! 噛むたびに元気が湧いてくる!」
メニュー2:激辛・麻婆豆腐 「刺激を味わえ!」 豆腐(大豆+にがり)、豚ひき肉、長ネギ、ニンニク、生姜を炒め、特製辛味噌(そら豆と唐辛子の発酵味噌)と唐辛子粉、**花椒(山椒)**を大量投入。
「……辛ッ! 熱ッ! ……でも美味いッ!」 ガレスが汗だくになりながら白米をかきこむ。 「舌が痺れる! なのにレンゲが止まらねぇ! この『ネギ』のシャキシャキ感がたまらねぇ!」
メニュー3:特製ジンジャーエール 「口直しだ」 大量の生姜と唐辛子、スパイスを煮出したシロップを、強炭酸で割った辛口エール。
「……カァーッ!! 喉が焼けるようだ! だが爽快! 脂っこい中華の後に最高だ!」
【ステータス更新】
【新生ルメリナ公国】
【特産品追加】
薬味野菜セット:料理のレベルを底上げする名脇役たち。
激辛スパイス:中毒者続出。
特製ラー油
【食文化】 「中華・エスニック」解禁
【ナオト・カジヤ】
【新規習得スキル】
≪薬味使い Lv.95≫:素材の臭みを消し、旨味を引き立てる技術。
≪スパイス調合 Lv.110≫:黄金比率のスパイスブレンド。カレーへの布石。
「ふぅ……。これで『パンチの効いた味』も完璧だ」
直人は餃子をつまみに、冷えたビールをあおった。
「ネギ、生姜、ニンニク。この三つがあれば、風邪知らずの最強の軍隊が作れる。……よし、明日はこのスタミナ飯を全軍に振る舞って、さらに労働効率を上げるぞ」
直人のブラックな野望は、健康的な食生活によって支えられていた。
「酒は揃った? いいや、まだだ。俺たちはまだ『琥珀色の時間』を手に入れていない」
翌朝、二日酔いのガレスたちを再び叩き起こし、直人はホワイトボード(石板)に新たな蒸留酒のリストを書き殴った。
「**『熟成』**だ。酒は時間をかければかけるほど、ただのアルコールから『芸術品』へと昇華する」
直人はテーブルにドンと樽を置いた。
ウィスキー:大麦麦芽と穀物。スモーキーな香りと長い余韻。
ブランデー:ワインの蒸留酒。果実の香りが凝縮された液体の宝石。
ビール(ラガー&エール):とりあえずの一杯。喉越しのラガー、香りのエール。
「総員、樽を作れ! 今日は**『熟成革命』**だ!」
【第1段階:大麦と葡萄の錬金術】
直人は**≪錬金術≫と≪品種改良 Lv.130≫**で、原料を一気に仕上げた。
1. ビール(Beer) 「麦芽とホップ(苦味)だ! 酵母の違いで作り分けろ!」
ラガー(下面発酵):低温でスッキリと。喉越し重視の黄金水。
エール(上面発酵):常温でフルーティーに。香りを楽しむ琥珀水。
2. ウィスキー(Whisky) 「大麦麦芽を、あの**『泥炭』**で燻せ!」 森の奥で見つけた泥炭を使い、麦芽に独特のスモーキーな香り(煙臭さ)をつける。 「糖化、発酵、そして二回の蒸留! 無色透明な原酒を作れ!」
3. ブランデー(Brandy) 「ワインを惜しげもなく蒸留しろ!」 白ワインを加熱し、アルコールと香り成分だけを抽出。 「ワイン10本からブランデー1本しか取れない? 上等だ、贅沢こそが正義だ!」
【第2段階:樽熟成】
「ここからが魔法の見せ場だ。……酒は樽の中で呼吸し、木のエキスを吸って琥珀色になる」
直人はオーク材で作った樽の内側を、**≪パイロキネシス≫**で軽く焦がした(チャーリング)。
「……注入」
原酒を樽に詰め、並べる。 通常なら数年、数十年かかる熟成期間。
「待てるかよ。……≪時間加速・極≫」
直人は樽の倉庫全体に強力な結界を張った。 樽の中で、時間が激流のように流れる。 アルコールの刺々しさが取れ、樽のバニラ香やタンニンが溶け出し、液体の色が透明から琥珀色へ、そして深いマホガニー色へと変わっていく。
「10年……15年……よし、20年ものだ」
【実食:大人のバータイム】
夕刻。 直人は執務室を薄暗くし、即席の「バーカウンター」を設えた。 氷(純水氷)を入れたロックグラス。
1. シングルモルト・ウィスキー「ルメリナ20年」 「……カラン」 直人はエレナにロックグラスを渡した。 「香りを嗅いでみろ」
エレナがグラスに鼻を近づける。 「……! 煙のような、土のような……でも甘いバニラのような香りがする!」
一口含む。 「……ッ。強い! だが、滑らかだ。喉を通った後に、蜂蜜のような甘い余韻がいつまでも残る……。これが麦からできた酒なのか?」
2. XOブランデー「エレナ」 次はストレートで。 「貴婦人のための酒だ。手のひらでグラスを温めて、立ち上る香気を楽しめ」
エレナが言われた通りにすると、グラスから芳醇なブドウと花の香りが立ち上った。 「……うっとりする香りだ。口に含むと、まるで熟した果実を齧ったかのような濃厚な甘み……。これは危険だ、理性が溶かされる」
3. プレミアム・ラガービール 最後は、キンキンに冷えたジョッキで。 「とりあえず、乾杯!」
「「「ぷはぁぁぁッ!!!」」」
ガレスたちが泡ひげを作って絶叫する。 「苦味! この苦味が最高だ! 喉を突き抜ける炭酸の刺激! 昼間の労働の疲れが吹き飛ぶ!」 「エールもいいぞ! フルーツみたいないい匂いがする!」
【ステータス更新】
【新生ルメリナ公国】
【特産品追加】
ルメリナ・ウィスキー(年数別):王族への賄賂に最適。
最高級ブランデー:貴族のステータスシンボル。
プレミアム・ビール:国民の活力源。
【酒文化】 蒸留酒の開花
【ナオト・カジヤ】
【新規習得スキル】
≪ブレンダー Lv.90≫:複数の原酒を混ぜ合わせ、至高の味を作る。
≪樽職人 Lv.85≫:熟成に最適な樽を作る。
「ふぅ……。これで『琥珀色の時間』も手に入れた」
直人はウィスキーのグラスを傾け、氷の音を楽しんだ。
「食って、飲んで、酔っ払う。……これ以上の幸せがどこにある?」
直人はニヤリと笑った。 国民の胃袋と肝臓を完全に掌握した今、ルメリナ公国は内側から「無敵の幸福国家」へと完成しつつあった。 外交? ああ、そんなものもあったな。まあ、相手がこの酒の香りに釣られて向こうからやってくるだろう。
新生ルメリナ公国。 その恐るべき「酔いどれ天国」の噂は、風に乗って大陸全土へ広がり始めていた。
「業務連絡。……調味料も食材も揃った。だが、俺はまだ満足していない」
翌朝。 厨房(実験室)で、包丁を握る料理班の手元を凝視していた直人は、不満げにため息をついた。
「**『加工精度』と『スピード』**が低すぎる」
直人は、手切りされた肉の厚みのバラつきを指摘した。
「ステーキや焼肉ならこれでもいい。だが、俺が求めているのは、向こう側が透けて見えるほどの**『極薄スライス』と、硬い筋も骨ごと粉砕して再構築する『挽き肉』**だ!」
「透ける肉……? 肉を粉にする……? なぜそんな手間を?」 エレナが理解不能といった顔をする。
「薄い肉は『しゃぶしゃぶ』や『すき焼き』に。挽き肉は『ハンバーグ』や『メンチカツ』になる。……これらは包丁一本では再現不可能な、食感の革命なんだよ」
直人はホワイトボードに設計図を書き殴った。
魔導スライサー:回転刃とスライド機構。ミリ単位の厚さ調整。
魔導ミンサー:スクリュー圧縮と粉砕刃。硬い肉もジューシーなミンチへ。
「総員、鉄材を持ってこい! 今日は**『調理器具の機械化』**だ!」
【第1段階:極薄の美学・魔導スライサー】
直人は**≪錬金術≫**でミスリル合金を変形させ、直径30センチの巨大な円盤状の刃(丸刃)を作成した。
「切れ味が命だ。……≪風属性付与≫」
刃の縁に、目に見えない風の刃を纏わせる。これで切れ味はレーザーカッター並みだ。
【機構:オート・スライド・システム】
台座に**≪氷結魔法≫**を組み込み、肉塊を半冷凍状態(ルイベ状)にして固める。
**≪テレキネシス≫**でモーターを再現し、丸刃を高速回転。
肉をセットすれば、自動でスライドし、設定した厚さ(1mm?)で切り落とされていく。
「稼働!」
シュパパパパパパパッ!!
小気味よい音と共に、巨大なオーク肉のブロックが、かつお節のように薄く、広いシート状に削り出されていく。 向こうの光が透けるほどの、芸術的な薄さ。
「う、美しい……。まるで肉の織物だ……」 ガレスが積み重なる肉の山を見て、うっとりと呟く。
【第2段階:再生の粉砕・魔導ミンサー】
「次はミンサーだ。硬くて食えない『筋』や『端肉』こそが、ミンチにすれば輝く!」
直人は巨大な筒の中に、ドリルのような「スクリュー」を設置した。
【機構:グラビティ・プレス・スクリュー】
投入口から肉と野菜を入れる。
スクリューが回転し、**≪グラビティ≫**で圧力をかけながら出口へ押し込む。
出口の「プレート(穴の開いた鉄板)」と「回転ナイフ」が、肉をひき肉状に切断して押し出す。
「アイアン・バイソンの肩肉(ガチガチの筋肉)を投入!」
ゴゴゴゴゴ……ニュルニュルニュルッ!!
鋼鉄のように硬かった肉が、鮮やかなピンク色の「ひき肉」となってモンブランのように排出される。 一緒に玉ねぎやニンニクも投入すれば、下味付きのミンチが一瞬で完成する。
【実食:食感の革命】
夕刻。 直人は開発した機械で作った食材を使い、新たなメニューを展開した。
メニュー1:特選・牛しゃぶ(ごまだれ&ポン酢) 「まずはスライサーの実力だ」 鍋には、**「干しキノコと昆布(代用品)」で取った出汁が沸いている。 そこに、紙のように薄い「バイソン肉(魔改造霜降り)」**をくぐらせる。
「……しゃぶ、しゃぶ」
ほんの数秒。肉が桜色に変わった瞬間、引き上げる。 **「特製ポン酢(柑橘+醤油)」**につけて、口へ。
「……はふッ」
エレナが目を見開く。
「消えた!? 肉が……噛む必要もなく、口の中で解けて消えたぞ!?」
「薄切りにすることで、出汁が瞬時に染み込み、脂が適度に落ちる。いくらでも食えるだろ?」
「ポン酢の酸味と相まって……これは飲み物だ! 肉は飲み物だったのか!」
メニュー2:肉汁爆弾・ハンバーグステーキ 「次はミンサーの力だ!」 牛ひき肉と豚ひき肉の合挽き。 そこに**「炒め玉ねぎ」、「パン粉(パンを粉砕)」、「牛乳」、「卵」、「スパイス(ナツメグ代用品)」**を混ぜて練り上げる。 表面を焼き固め、中は蒸し焼きに。
ナイフを入れる。
ジュワァァァァァァッ……!!!
切った断面から、堰を切ったように透明な肉汁が溢れ出し、鉄板の上で弾ける。
「な、なんだこの汁の量は!? 肉の中に川が流れているのか!?」
特製デミグラスソース(ケチャップ+ソース+赤ワイン)を絡めて口へ。
「……ッ!!!!」
エレナが天を仰いだ。
「柔らかい……! 硬い筋など微塵もない! ふわふわの食感の中から、濃厚な肉の旨味が爆発する! これが……挽き肉の魔法……!」
「ハンバーグだけじゃないぞ。パン粉をつけて揚げれば**『メンチカツ』。皮で包めば『餃子』**だ」
ガレスたちも、メンチカツを頬張りながら涙を流していた。 「サクッ! ジュワッ! ……今まで捨ててた硬い肉が、こんな御馳走になるなんて……!」
【ステータス更新】
【新生ルメリナ公国】
【産業】 食品加工業の機械化
【特産品追加】
極薄スライス肉:高級鍋料理用。
黄金比率の合挽きミンチ:家庭料理の革命。
加工肉製品:ソーセージ、ハム、ベーコン(スライサーにより量産化)。
【ナオト・カジヤ】
【新規習得スキル】
≪精密機械工学 Lv.85≫:ミクロン単位の加工精度。
≪肉の魔術師 Lv.95≫:部位ごとの最適なカットと配合を見抜く。
「ふぅ……。これで『食感』のバリエーションも制覇した」
直人は肉汁たっぷりのハンバーグを白米で追いかけながら、満足げに頷いた。
「薄切り肉とひき肉。この二つがあれば、料理のレパートリーは数千種類に広がる。……国民の胃袋は、もう完全に俺たちの手の中だ」
食べる喜びを知り尽くしたルメリナ国民。 彼らの幸福度は天井知らずに上昇し、直人への忠誠心はもはや信仰の域に達していた。
「業務連絡。……担々麺も完成した。これで中華のピースも埋まった」
夕刻。 直人は満足げにスープを飲み干すと、真剣な顔で幹部たちを見渡した。
「国内の胃袋は満たした。生産体制も整った。……時は来た。これより**『世界征服(という名の販路拡大)』**を開始する」
直人は巨大な地図を広げ、周辺諸国に10個の矢印を引いた。
「編成だ。『ルメリナ外交使節団』、計10チーム。それぞれの国に合わせて、最も効果的な『飯テロ』を仕掛ける」
直人は手元のリストを見ながら、淀みなく指示を飛ばした。
「エレナ、アンタはここにいろ。**『本店(王都)』**で玉座に座って、向こうから泣きついてくるのを待つのが仕事だ。社長が安売りしてドサ回りするなんてありえないからな」
「うむ、心得ている。……して、誰を送るつもりだ? 生半可な者では、海千山千の他国の外交官には太刀打ちできんぞ」
エレナの問いに、直人はニヤリと笑った。
「心配いらない。……ちゃんと**『教育』**済みのプロフェッショナルを用意した」




