第10章: 帝国との激突
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第10章: 帝国との激突
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「……美しい」
エレナは銀のスプーンで、餡と米をすくい上げた。 カニ味噌のコクが溶け出した餡が、米粒の一つ一つをコーティングしている。
口に含むと、トロリとした餡の優しさが舌を包み込み、その奥から炒めた米の香ばしさと、カニ味噌の濃厚なコクが静かに、しかし力強く主張する。
「……ふふ」
エレナは口元をナプキンで拭い、淑やかに微笑んだ。
「王宮料理人が作ったどんな料理よりも、繊細で、奥深い。……ナオトよ。貴様の料理は、時に暴力的だが……こういう『静かな贅沢』も作れるのだな」
「素材がいいからな。……それに、アンタにはガツガツ食うより、そうやってすましている方が似合うよ」
「……ふん。余計なお世話だ」
エレナは少し顔を赤らめ、ワイン(白)グラスを傾けた。 そこには、ただの食いしん坊ではない、国の未来と食文化を背負う女王としての威厳と、満ち足りた幸福感があった。
【ステータス更新】
【エレナ・フォースター】
【状態】 女王の品格(復元)
【評価】 美食を理解し、優雅に楽しむ「真のグルメ」へと覚醒。
【新生ルメリナ公国】
【特産品追加】
カニクリームコロッケ:衣サクサク、中トロトロの魔性のおかず。
カニ味噌あんかけチャーハン:高級中華の極み。
「さて……。腹も満ちたことだし、明日はこのカニの殻(オリハルコン級)を使って、装備を強化するか」
直人は片付けをしながら、次の「産業(防具開発)」への構想を練り始めた。 美味しいだけではない。無駄なく使い切るのが、ルメリナ流だ。
【新たな来訪者:黒き肌の豊穣神たち】
宇宙蟹の処理と防具加工が一段落した頃。 ルメリナ公国に、またしても予想外の集団が現れた。
「……美味そうな匂いだ」 「ここに来れば、強いオスと美味い飯があると聞いた」
城門の前に現れたのは、褐色の肌と銀髪を持つ一団――**『ダークエルフ』**の部族、約50名。 通常のエルフが森の妖精ならば、彼女たちは夜と地下を支配する魔性の種族だ。
そして何より、直人の目を(そして衛兵たちの目を)釘付けにしたのは、その**「規格外の肢体」**だった。
「……デカいな」
直人が思わず漏らす。 身長は高く、引き締まった褐色の肌。 その上にあるのは、はち切れんばかりの豊かな双丘と、安産型という言葉では生ぬるいほどに発達した、魅惑的な曲線を描く臀部。 身につけているのは、動きやすさを重視したボンテージ風の革鎧のみで、その「凶器」とも言える肉体の暴力が惜しげもなく晒されている。
集団のリーダーらしき女性、クラウディアが前に進み出た。 彼女は直人の前に立つと、その豊満な胸を強調するように腕を組み、挑発的な流し目を送った。
「貴様がこの国の長、ナオトだな? ……噂通りの魔力、そしてこの国に満ちる『豊穣』の匂い……。合格だ」
クラウディアは直人の胸ぐらを掴み、至近距離で囁いた。
「単刀直入に言う。……我ら一族の『夫』になれ」
「……はい?」
「我らダークエルフは、強い男の種を求める。貴様にはその資格がある。……我ら全員を妻とし、その遺伝子と、この美味い飯を我らに提供せよ! 夜の相手も、我ら50人が交代でたっぷりと奉仕してやるぞ?」
背後のダークエルフたちが、一斉に艶めかしいポーズを取る。 「私の尻は極上だぞ?」 「私の胸で窒息したいか?」
男なら即死レベルのハニートラップ(物理)。 だが、その空気を切り裂く冷徹な声が響いた。
「……ほう。どこの馬の骨とも知れぬ痴女集団が、私の国で何をしている?」
エレナだった。 彼女は王族のドレス姿で、しかし手にはしっかりと剣を握りしめ、氷点下の笑顔を浮かべていた。
「求婚だと? 順番待ちも知らぬ野蛮人が。……まずはそのふしだらな肉を削ぎ落としてやろうか?」
「あら、貧相な体の人間族のメスが吠えているわね。……嫉妬かしら?」
バチバチバチッ!! エレナとクラウディアの間に、目に見える火花が散る。 修羅場だ。
だが、直人は冷静だった。 彼はクラウディアの「体」ではなく、その「装備」と「肌質」を**≪鑑定≫**していたのだ。
「(……地下特有の湿気を帯びた装備。そして、暗所でも目が利く瞳。……こいつら、使えるぞ)」
直人は二人の間に割って入った。
「求婚は却下だ。ウチは社内恋愛推奨だが、ハーレムは管理コストがかかりすぎる」
「なっ!? 我らの美貌を拒むと言うのか!?」
「だが、**『就職』**なら歓迎する」
直人はニヤリと笑った。
「お前たち、地下や洞窟に住んでいたな? ……なら、得意だろ? **『キノコ』と『カビ』**の扱いは」
【プロジェクト:地下の菌糸工場】
直人は彼女たちを、ベルン郊外の巨大な鍾乳洞へと案内した。
「ここが今日からお前たちの職場だ。……作ってもらうのは、これだ」
直人がアイテムボックスから取り出したのは、希少なサンプル。
黒いダイヤ「トリュフ」
香りの王様「マツタケ」
青カビの芸術「ブルーチーズ」
「お前たちの魔力適正は『闇』と『湿気』だ。その力で、これらの高級食材を**『菌床栽培』**しろ。……できたら、死ぬほど美味いパスタを食わせてやる」
「……パ、パスタ? それはなんだ?」 クラウディアがゴクリと喉を鳴らす。
「これだ」
直人は、試作しておいた**『トリュフとパンチェッタの濃厚クリームパスタ』**を出した。 茹でたての生パスタに、生クリームとチーズのソースが絡み、その上からスライスした黒トリュフが散らされている。
「食ってみろ」
クラウディアが一口食べる。
「……ンッ?」
艶めかしい吐息が漏れた。
「濃厚……! クリームのコクが舌に絡みつき、その奥から『黒い宝石』の妖艶な香りが鼻を抜ける……! なんだこれは、官能的すぎるぞ!」
「やるか? やらないか?」
「やる! やらせてくれ! キノコでもカビでも何でも育ててやる!」
食欲の前には、プライドも貞操観念も関係なかった。
【ステータス更新】
【新生ルメリナ公国】
【労働力追加】 ダークエルフ(50名)
役割:菌類栽培、チーズ熟成管理。
特徴:地下作業が得意。フェロモン過多。
【特産品追加】
ルメリナ・トリュフ:キロ単価が金貨100枚クラス。
極上マツタケ:香りで飯が食える。
ブルーチーズ「闇の誘惑」:ダークエルフの魔力で熟成された、背徳の味。
【エレナ・フォースター】
【状態】 対抗心メラメラ
【行動】 プロポーション維持のため、豆乳と鶏肉中心の食事に切り替えを検討中(でもパスタは食べる)。
「ふぅ……。これで『高級食材』のラインも確保できた」
直人は、鍾乳洞の奥でかいがいしくキノコを育てる(そのたびに胸が揺れる)ダークエルフたちを見て頷いた。
「さて、食材も高級化してきたことだし……次は**『フランス料理』**の店でも出すか」
直人の野望は、ついにミシュランの星を狙う領域へと突入しつつあった。
【白き森の王女:清廉なる誘惑】
ダークエルフたちの雇用(とエレナの嫉妬)が落ち着き、ルメリナ公国に「キノコとチーズの芳醇な香り」が漂い始めた頃。 今度は西の空から、優美な飛竜の編隊が現れた。
「……また来客か。今度はどこの部族だ?」
直人が城壁から見上げると、飛竜から降り立ったのは、透き通るような白い肌と金髪を持つ、高貴なエルフの一団だった。 その中央に、ひときわ美しい女性がいる。
エルフの王女・フィオナ。 ダークエルフのクラウディアのような暴力的な肉感ではない。しかし、そのドレスの上からでも分かる肢体は、たわわに実った果実のように柔らかく、豊満でありながらも「品格」を保っている。 清楚でありながら、大人の色香を漂わせる絶妙なバランス。
「ごきげんよう、ルメリナの主、ナオト様」
フィオナは優雅にカーテシー(膝を折る礼)をした。 その瞬間、ふわりと花の香りが漂う。
「我らエルフの森は、貴国の『マヨネーズ』と『スイーツ』に救われました。そのお礼と……新たな契約を結びに参りました」
「契約? 輸出量の増加か?」
「いえ」
フィオナは一歩近づき、直人の手を取った。その手は白く、少し冷たい。
「私を、貴方の『妻』にしてください」
「……はい?」
本日二度目の求婚。 だが、クラウディアの直情的なアプローチとは違う。フィオナは潤んだ瞳で直人を見上げ、切々と訴えかけた。
「我が森は、古い掟に縛られ、衰退の一途を辿っています。……ですが、貴方の作る料理には『革新』と『生命力』がある。貴方の血を、そして貴方のその『味』を、我が王家に取り込みたいのです」
彼女はそっと直人の胸に身を寄せた。 柔らかな感触。クラウディアのような弾力ではなく、包み込まれるような母性的な柔らかさ。
「側室でも構いません。……毎晩、貴方のための『デザート』になりますわ?」
「……ぐぬぬぬぬッ!!」
背後で、エレナが剣の柄を握り潰しそうな音を立てた。 そして反対側からは、クラウディアが「チッ、すかしやがって」と舌打ちをする。
修羅場(再)。
だが、直人はここでも冷静だった。 彼はフィオナの「体」ではなく、その「魔力特性」と「連れてきた飛竜」を**≪鑑定≫**していたのだ。
「(……風と植物の複合魔法。そして飛竜による空輸能力。……こいつら、使えるぞ)」
直人はフィオナの肩を優しく押し返した。
「求婚は保留だ。……だが、**『ビジネスパートナー』**なら歓迎する」
「……ビジネス?」
「そうだ。アンタたちエルフは、植物の声が聞こえるんだろ? ……なら、俺が求めている『究極のハーブ』と『スパイス』を育てられるはずだ」
【プロジェクト:天空のハーブ園】
直人は彼女たちを、標高の高い山岳地帯へと案内した。
「ここが今日からお前たちの職場だ。……作ってもらうのは、これだ」
最高級バニラビーンズ:スイーツの魂。
サフラン:世界一高価なスパイス。パエリアの色付けに。
カカオ:チョコレートの原料。
「お前たちの『植物魔法』と、飛竜による『高地輸送』があれば、ここで世界最高品質のスパイスが作れる。……できたら、死ぬほど美味い『チョコレートケーキ』を食わせてやる」
「チョ、チョコレート……? あの伝説の黒い菓子ですか?」 フィオナがゴクリと喉を鳴らす。
「これだ」
直人は、試作しておいた**『ザッハトルテ(濃厚チョコケーキ)』**を出した。 艶やかなチョコレートのコーティング。添えられたのは、ルメリナ産の生クリーム。
【聖バレンタインの陰謀:甘い戦争の幕開け】
「業務連絡。……本日より、我が国は**『愛の祝祭期間』**に突入する」
翌朝。 カカオと砂糖の甘い香りが漂う執務室で、直人は高らかに宣言した。
「バレンタイン……? なんだそれは? どこの神だ?」 エレナが首をかしげる。
「遠い異国の聖人だ。この時期、女性が意中の男性に、あるいは日頃の感謝を込めて**『チョコレート』**を贈るという、実に美しい(そして経済効果の高い)風習がある」
直人はニヤリと笑った。
「ターゲットは全世界の女性だ。本命用、義理用、自分へのご褒美用……。あらゆるニーズに対応したチョコを売りまくり、大陸中の金貨を回収するぞ!」
「き、貴様……恋心すら金に変えるのか……」 エレナが戦慄するが、直人の耳には届かない。
「総員、配置につけ! 今日は**『製菓革命』**だ!」
【第1段階:ショコラ・ファクトリー稼働】
直人は**≪パティシエ Lv.95≫と≪錬金術≫**をフル活用し、チョコレート工場を稼働させた。
1. 原料の融合
カカオ:フィオナたちが育てた最高級カカオマス。
生クリーム:魔導乳牛の濃厚クリーム。
酒:クラウディアたちのブランデーと、ルメリナ・ウィスキー。
2. テンパリング(温度調整) 「ツヤが命だ! 50度で溶かし、27度まで下げ、32度へ戻す!」 **≪熱操作≫**によるミクロン単位の温度管理。 カカオバターの結晶が整列し、鏡のように輝くチョコレートが生まれる。
3. 商品ラインナップ
生チョコ「石畳の口どけ」:口に入れた瞬間になくなる魔法の箱。
ウィスキーボンボン:噛むと「ルメリナ20年」が溢れ出す、大人の宝石。
義理チョコバー:ナッツとクランチを混ぜた、大量配布用兵器。
【実食:チョコフォンデュ・パーティー】
夕刻。 直人は試食会として、王城の中庭に巨大な**「チョコレートの噴水」**を設置した。
「さあ、好きなものを突っ込んで食え!」
メニュー:魔導チョコフォンデュ
フルーツ:イチゴ(新品種)、バナナ、マスカット、リンゴ。
マシュマロ:卵白とゼラチンで作ったフワフワの砂糖菓子。
パン・チーズ:塩気がチョコの甘さを引き立てる。
エレナ、クラウディア、フィオナの3人が、串を手に見つめ合う。
「……まずは王道、イチゴからだ」 エレナが真っ赤なイチゴを、ドロリと流れるチョコの滝にくぐらせる。
「あむッ……!」
カッ!!(甘味による脳内麻薬の分泌音)
「甘酸っぱい……! イチゴの酸味を、温かいチョコの甘みが包み込む! そしてこのカカオの香り……鼻腔が幸せで満たされる!」
「フフ、お子様ね。大人はこれよ」 クラウディアはブルーチーズをチョコにディップした。 「……ンッ? 塩気と甘みの背徳的なハーモニー。ワインが欲しくなるわ」
「私はこれですわ」 フィオナはマシュマロを。 「ふわふわ、トロトロ……。口の中で溶けてなくなります。まるで雲を食べているようですわ……」
3人の美女がチョコにまみれて陶酔する光景。 ガレスたち男性陣も、「甘い! でも止まらねぇ!」と鼻血を出しながら食らいついている。
【クライマックス:本命チョコの行方】
宴の後。 直人が執務室で売上予想を計算していると、ドアがノックされた。
「……ナオト」 「……ナオト様」 「……ダーリン?」
現れたのは、エプロン姿のエレナ、フィオナ、クラウディアの3人。 それぞれの手には、綺麗にラッピングされた小箱が握られている。
「これは……『本命』というやつだ。受け取れ」 エレナが顔を真っ赤にして突き出す。中身は、不格好だが一生懸命作ったであろうハート型のガトーショコラ。
「私の愛が詰まっていますわ。……重いですけれど」 フィオナが微笑む。中身は、高級ハーブを練り込んだ特製トリュフ。
「夜のお供にどうかしら?」 クラウディアがウィンクする。中身は、精力剤入りの危険なチョコバー。
三者三様の愛の告白。 直人はペンを置き、真剣な顔で3人を見つめ返した。
「……ありがとう。気持ちは受け取った」
直人は3つの箱を受け取り、そして――。
「≪鑑定≫。……ふむ。エレナのは焼き加減にムラがあるが、素朴でいい。フィオナのは香りのバランスが絶妙だ。クラウディアのは……成分が法に触れそうだが、商品化の可能性はあるな」
「「「……は?」」」
「よし、これらを**『王族・種族代表の直筆サイン入り限定チョコ』**としてオークションに出そう! 高値がつくぞ!」
「「「ちーがーうーだーろぉぉぉぉッ!!!!」」」
ドカッ! バキッ! ドムッ! 3人の鉄拳制裁(愛の鞭)が直人に炸裂した。
【ステータス更新】
【新生ルメリナ公国】
【イベント】 第一回バレンタイン商戦:大成功。大陸中の金貨がルメリナに吸い寄せられる。
【特産品追加】
ルメリナ・ショコラ:恋を叶える魔法の菓子として伝説化。
【ナオト・カジヤ】
【状態】 全治3日の打撲(ヒロインたちの愛)。
【新規習得スキル】
≪鈍感(鉄壁) Lv.255≫:色恋沙汰を全てビジネスに変換する悲しき社畜スキル。限界を超えて上昇中。
「いてて……。なんで殴られたんだ?」
直人は氷嚢を頭に乗せながら、不思議そうに首をかしげた。 色恋よりも売上。 ルメリナ公国の繁栄は、この男の「ブレない商魂」によって支えられているのであった。
衣食足りて、文化華開く
バレンタイン商戦の大成功から数週間後。 世界各地へ散らばっていた**「ルメリナ外交使節団(全10チーム)」**が、凱旋帰国を果たした。
「報告します、ボス! 第一営業部、帝国より帰還! 皇帝陛下より『ルメリナ米の年間契約書』と、代金として『金塊10トン』を受領!」 「第二営業部です! ドワーフ王が芋焼酎にハマり、『ミスリル鉱山の権利書』を置いていきました!」 「第四営業部! 獣人族が『マヨネーズ教』に入信! 友好の証として、希少な毛皮を山ほど……」
城の広場は、持ち帰られた財宝と特産品、そして契約書の山で埋め尽くされていた。 大陸中の富が、ルメリナに雪崩れ込んでいる。
「……やりすぎだ」
エレナが契約書の山(物理的に身長を超えている)を見上げて乾いた笑い漏らす。 「これでは我が国が、世界経済の心臓になってしまうぞ」
「心臓上等だ。血(金と物資)は巡らせてこそ意味がある」
直人は冷静に在庫リストをチェックし、次なる課題を見出した。
「金はある。飯も美味い。住居(要塞)も頑丈だ。……だが、街を歩く国民を見てみろ」
直人が指差した先には、最高級のハンバーグを頬張る市民たちの姿があった。 彼らは幸せそうだ。しかし――。
「……服が、ダサい」
市民の服は、麻袋のようなチュニックや、無骨な革鎧ばかり。 食文化が「現代レベル」に進化したのに、ファッション文化は「中世の農民」のまま止まっていたのだ。
「これじゃあ、いくら飯が美味くても『田舎の成金国家』と笑われる。……総員、配置につけ! 今日は**『繊維革命』**だ!」
【第1段階:究極の素材狩り】
直人は**≪索敵 Lv.210≫**で、繊維素材を持つ魔物を特定した。
1. シルク(絹):アラクネの巣 「北の渓谷に住む**『クイーン・アラクネ(女郎蜘蛛の女王)』**。彼女の糸は鋼鉄より強く、絹より滑らかだ」
直人は現地へ飛び、アラクネの巣へ降り立った。 「キシャァァァ! 人間の男か? 食ってやる!」 「食われるのはお前だ(労働力として)。……≪拘束≫」 直人は**≪グラビティ≫**でアラクネを捕獲。 「今日からお前は『紡績工場長』だ。死ぬ気で糸を吐け。給料は『特製カニクリームコロッケ』だ」 「……コロッケ? やるわ! 吐くわよ!」
2. ウール(羊毛):クラウド・シープ 「空に浮かぶ雲のような羊、『クラウド・シープ』。その毛は空気のように軽く、極上の暖かさを持つ」 直人は空を飛ぶ羊の群れを**≪テレキネシス≫**で捕獲し、魔導牧場へ放牧。 「毛を刈らせろ。すぐに生える薬(育毛剤)をかけてやる」
3. コットン(綿):魔導綿花 「植物魔法で品種改良だ! 繊維が長く、吸水性に優れた**『ハイパー・コットン』**を量産しろ!」
【第2段階:魔導縫製工場の建設】
素材は揃った。次は加工だ。 直人は**≪錬金術≫と≪精密機械工学 Lv.135≫**を駆使し、自動化ラインを構築した。
1. 自動紡績機 「アラクネの糸と羊毛を、均一な太さの『糸』にしろ!」 風魔法でスピンドルを高速回転させ、一瞬で糸を紡ぐ。
2. 魔導織機 「縦糸と横糸を組め! 複雑な模様もデータ(魔法陣)通りに織り上げろ!」 ガシャンガシャン! 目にも止まらぬ速さで、極上のシルク生地、ウール生地、デニム生地が生産されていく。
3. 染色 「色は重要だ。……花、鉱石、そしてスライムの体液を使え!」 **≪化学合成≫**で無限の色数を作り出し、鮮やかに染め上げる。
【第3段階:ルメリナ・コレクション(ファッションショー)】
数日後。 王城の大広間に、特設ランウェイが設置された。 観客は、国民と各国の外交官たち。
「これより、**『第一回 ルメリナ・コレクション』**を開催する!」
直人の合図で、スポットライト(光魔法)が点灯した。
Entry No.1:エレナ女王 × ロイヤル・シルクドレス 「おおお……ッ!!」 会場がどよめく。 エレナが纏うのは、アラクネの糸で織られた純白のドレス。 光の角度で真珠色に輝き、体のラインを美しく、かつ高貴に包み込んでいる。 「……軽い。まるで羽衣を纏っているようだ」 エレナがターンすると、裾が花のように舞った。
Entry No.2:ガレス将軍 × ブリティッシュ・スーツ 「男の戦闘服だ!」 無骨なガレスが、パリッとした**「スリーピース・スーツ(ウール製)」**を着こなして登場。 ネクタイを締め、革靴(魔物皮)を履いた姿は、もはや山賊ではなく「有能な紳士」だ。 「動きやすい! 剣を振っても突っ張らねぇ!」
Entry No.3:市民モデル × カジュアル&制服
デニムパンツ&Tシャツ:丈夫で動きやすい、労働者の新たなスタンダード。
メイド服&ウェイター服:飲食店のレベルを一段上げる機能美。
浴衣&着物:温泉街に彩りを添える和の装い。
【結末:ファッションによる文化侵略】
ショーが終わる頃には、外交官たちの目が血走っていた。
「あの『ドレス』を売ってくれ! 国王陛下へのお土産にする!」 「あの『スーツ』だ! あれがあれば商談も成功する気がする!」 「我が国の騎士団の制服を、すべてルメリナ製に変えたい!」
直人は注文票の束を抱え、ニヤリと笑った。
「衣・食・住。……これで『衣』と『食』は制覇した。国民の生活水準は、もはや帝国の貴族を超えたな」
エレナが、ドレスの裾をつまんで微笑む。 「ナオトよ。……貴様は本当に、この国をどこへ連れて行く気だ?」
「決まってるだろ。……誰もが羨む、世界一の『ブランド国家』さ」
直人は新しいスーツの襟を直し、次なる計画(次は「住」か、あるいは「娯楽」か)に思いを馳せた。
【ステータス更新】
【新生ルメリナ公国】
【産業】 繊維・服飾産業 確立。
【特産品追加】
アラクネ・シルク:刃を通さない美しき布。
クラウド・ウール:空気を着るような暖かさ。
ルメリナ・ジーンズ:世界中で流行の兆し。
【文化】 ファッションの概念が誕生。
【ナオト・カジヤ】
【新規習得スキル】
≪服飾デザイナー Lv.110≫:立体裁断から縫製までを極める。
≪色彩の魔術師 Lv.95≫:流行色を作り出し、大衆を扇動する。
「さて……。みんな小奇麗になったことだし、次は**『映画』**でも撮って、文化レベルをカンストさせるか」
直人の「文化侵略」は、まだ始まったばかりである。
「業務連絡。……世界地図を更新する」
翌朝。 ファッションショーの成功で華やぐ王城の一室で、直人は巨大な大陸地図を広げた。 そこには、ルメリナの「友好国(実質的な経済植民地)」を示す青いマーカーが、大陸の8割を埋め尽くしていた。
「……ほぼ制圧完了だな。だが、まだ**『赤』**が残っている」
直人が指差したのは、大陸の辺境や、特殊な環境にある数カ国。 500の国々の中で、ルメリナの「飯テロ外交」に頑として屈しない、あるいは**「物理的に効かない」**勢力たちだ。
「これより、**『反ルメリナ同盟』**の攻略会議を始める」
【敵対勢力リスト:ルメリナ包囲網】
直人はホワイトボードに、抵抗勢力の詳細を書き出した。
1. 死霊帝国ネクロポリス(最大の天敵)
概要:国民全員がゾンビ、スケルトン、幽霊などの**「アンデッド」**。
敵対理由:「食欲がない」。
これまでのルメリナの武器(極上の料理、酒、スイーツ)が一切通用しない。
「生者の国など滅びるがいい」というシンプルな殺意で動いている。
脅威度:S(飯テロ無効化能力を持つ唯一の国)
2. 清貧教団領「サクラメント」
概要:「食の快楽は罪」「質素こそ正義」を掲げる、過激な原理主義宗教国家。聖教会とは別派閥。




