第28話 元カノを復讐するために幼馴染に偽彼女を頼んだら、本気になった
後書きに大事なお知らせがあります。
「あなたのことが好きです。付き合ってください」
その言葉を口に出した瞬間、胸の奥に張り詰めていた糸がぷつりと切れたように、全身の力が抜けていった。自分でも驚くほど、心臓が早鐘のように打ち続けている。息を吸うたび肺が熱くなり、視界のすべてが陽菜しか見えなかった。
次の瞬間、俺の手にそっと重ねられた温もりがあった。陽菜の小さな手。柔らかくて、少しだけ震えていた。
「ずっと…待ってた……」
その声はかすかに揺れ、瞳には小さな涙が光っていた。街灯の光を受けて宝石のようにきらめくそれを見て、胸の奥が一気に熱くなる。気づけば俺は、陽菜を強く抱きしめていた。
「良かった……。大好きだよ、陽菜」
思わず口からこぼれた言葉。もう隠す必要はなかった。
陽菜は小さく頷いて「うん……」と返す。その声は、今までで一番近くで聞いた彼女の声だった。
しばらくそのまま立ち尽くし、落ち着いた頃に二人はようやく帰路についた。夜風が少し冷たいが、不思議と心地よい。隣を歩く陽菜の表情は穏やかで、俺も思わず笑顔になる。
「てっきり私、紗菜さんと復縁したのかと思ってたよ」
ふいに陽菜がそう言って、少し視線を伏せる。
「えっ……そんなふうに見えてた?」
「うん……。というか、紗菜さんのほうが諦めきれてない感じだったから」
確かに紗菜の視線や態度にはそういう未練が残っていたかもしれない。けれど俺の気持ちはもう揺らいでいなかった。
「あれは……お互いに悪い部分もあったけど、やり直すことはないよ。恋愛の気持ちとしては冷めてたし。俺にはもう、大切で、気持ちを分かってくれる人がいるからね」
そう言うと、陽菜は少し驚いたように目を瞬かせ、すぐに頬を赤らめて微笑んだ。
「そっか……なら良かった」
その声に安心がにじんでいて、俺は胸の奥がじんわり温かくなる。
それからしばらくは、他愛のない会話をしながら夜道を歩いた。街路樹の葉が風に揺れ、遠くからは人々の話し声がかすかに聞こえる。けれど、俺たちの周りだけが特別な世界のように感じられた。
陽菜と付き合えるなんて。
信じられない。嬉しすぎて顔がずっとにやけている気がする。必死に表情を抑えようとするが、頬の筋肉は勝手に緩んでしまう。こんな感覚、今までなかった。
そんな時だった。
「ねぇ、たくみ。こっち向いて」
陽菜が少し恥ずかしそうに声をかけてきた。
「ん?」
振り向いた瞬間。
唇に柔らかな感触が触れた。
「……っ!!!」
思考が一瞬止まる。何が起きたのか理解するのに数秒かかった。俺の心臓は限界を超えて暴れ出し、頭の中が真っ白になる。
陽菜は顔を赤らめながら、小さな声で言った。
「もう偽のカップルじゃないからね」
俺は思わず目を見開いた。
「陽菜……急にやるの反則でしょ」
「愛を伝えてるだけなんですけどー?」
彼女は照れ隠しのように冗談めかして言う。その仕草がまたたまらなく可愛くて、俺は頭を抱えそうになった。
「もう……」
心臓の音がまだ収まらない。けれど、嫌じゃない。むしろこんなにも幸せな気持ちになったことがあっただろうか。
街の夜景はまだ煌めいている。だけど、そのすべてよりも今隣にいる陽菜の笑顔のほうが、俺にとっては眩しかった。
帰り道、二人の間には言葉よりも多くのものがあった。重なり合う手の温もり、互いの歩調を合わせる足音、そして時折交わす視線。全部が新しくて、全部が愛おしかった。
「ねぇ、たくみ」
「ん?」
「ありがとう!今日のこと、絶対忘れないから。」
その一言に胸がいっぱいになる。
俺も同じ気持ちだった。今日を境に、俺たちはただの「友達」でも「偽の恋人」でもない。本物の恋人同士になった。
「俺もだよ。ありがとう、陽菜」
自然とそんな言葉がこぼれる。
月明かりと街灯に照らされながら、俺たちは幸せな空気に包まれたまま、家路についた。
最後までお読みいただき、ありがとうございます!
お知らせは2つあります
1つ目です
予約投稿を間違えて、本来昨日投稿されるはずだったのに、出来ていませんでした。本当にすみません……
2つ目です
この作品「元カノを復讐するために幼馴染に偽彼女を頼んだら、本気になってた話」は一旦ここまでとなります。
そのため、毎日投稿はここで一旦終了です!
今後は、ゆるーく2人のイチャイチャとか友達関係とかを書けていけたらなと思っております!
現在新しい作品も計画中ですので、ぜひお待ちください!
最後になりますが、ここまでお読みいただき、本当にありがとうございます!
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今後ともよろしくお願いします。




