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政治経済エッセイ

アメリカからの関税は25%! 今後は最低でも「交渉担当者交代」してくれ!

作者: 中将

◇トランプ関税の影響



筆者:

 本日は当エッセイをご覧いただきありがとうござます。


 今回は「トランプ関税」と今後の日本について私見を語らせていただきます。



質問者:

 8月1日に延期されたみたいですけど、4月から交渉した割には成果を得られていない印象を受けますね……。



筆者:

 むしろ当初は24%だったので1%ではありますが引き上げられていますからね。


 具体的にどのような影響を受けるのか? と言う事を考察しますと、


 日本からアメリカへは全輸出の2割ほどで、その額21兆円ほど。自動車+自動車の部分品の合計が7.2兆円で3分の1を車関連で占めます。


 すでに発動されている自動車関税や鉄鋼、アルミニウムへの追加関税に加えて、今回の関税が実際に25%の水準で発動されると、日本のGDPは0.8%以上押し下げられるという試算もあります。


 ちなみに23年のGDP実質成長率は1.2%(アメリカの輸出増が寄与)、24年の実質成長率は0.1%と雀の涙程度の成長でした。


 更に7月8日公表の総務省の景気判断は数値にして-0.1ではありますが、コロナ禍以来の「悪化」と言う試算も同日発表されました。


 しかもこれはアメリカへの輸出依存度が高い自動車が4カ月ぶりに改善されての数値ですから、実際のところこれより更に悪い景気判断であることが予測されます。



質問者:

 今後はアメリカで現地生産をしたり新しい販路を見つけたりすることを考えると企業は大変ですね……。



筆者:

 ただ、トランプ大統領が就任する前からこうなることはある程度予測されていましたからね。貿易摩擦問題から見れば70年代からありました。


 しかも23,24年は自動車などの輸出産業は円安も相まって連続で過去最高益でした。


 アメリカ以外の新しい販路獲得のために外交ルートを通じて支援することは良いと思いますけど、近年儲かってきた輸出産業を資金面で支援するというのは、どうなのかな? と思いますけどね。



質問者:

 政策変更や時代の流れとかで自然淘汰されても普通は支援されませんからね……。



筆者:

 人手不足の業界は数多くあります。農業や介護などは賃金が低すぎるので就職をしたくない人が多いことです。

 人流を輸出産業ではなく、こういった人手不足必須産業へ動かすよう給与面での支援を拡充し、人的流動を促進させる必要があると思いますけどね(やらないでしょうけど)。



◇トランプ関税の意図



質問者:

 ところでどうしてトランプさんが関税をかけるようになったんでしょうか?



筆者:

 まず「アメリカが世界一経済成長をしている」と言っても「GAFAM」などと呼ばれるビックテックやデジタル産業に限定されているんですね。


 製造業などの現実は厳しくかつて世界一だったUSスチールは見る影もなく、日本製鉄の支援(買収)を受けなければ経営すらままならない状況です。


 更には、トランプ大統領の選挙中の「MAGAキャンペーンの帽子」はアメリカ国内で作ろうとしたものの生産力が無さ過ぎてすべて中国製にせざるを得ないほどでした。



質問者:

 アメリカの製造業はそんなにも力が落ちているんですね……。



筆者:

 デジタルで潤っていても、実をいうとそこまで労働者を必要としていない産業なので、アメリカ国民そのものは潤っておらず、アメリカ内で貧富の差が拡大する一因にもなっています。


 そこで、アメリカ国内に製造業を取り戻し、雇用を確保しようというのがこの関税措置の主な狙いです。


 勿論関税収入を原資に減税政策を行う事もトランプ大統領は言っていますが、それは「副産物」的なものに過ぎないでしょう。



◇日本株価が下がっていない理由



質問者:

 しかし、株価は4月に発表された時には世界同時で株価が暴落しましたが、今回は下がっていませんよね?(7月8日の発表日はむしろ100円ほど日経平均は上昇)


 今回はどうしたのでしょうか?



筆者:

「TACO」と言う言葉をご存じでしょうか?


「TACO」というのは「トランプ氏はいつも土壇場でビビってやめる」の英語での略語でして、4月に上乗せ関税を最初に発表した後に延期した際にこの用語が経済界で流行りました。


 今回も7月9日の上乗せ関税は8月1日に延長することも含まれているので、

「最終的に永久的に関税はかけられないのではないか?」「かけられても低税率では無いか?」という楽観的な予測もあるわけです。


 実際にトランプ大統領の今回の書簡では、


「もし貴国(日本)が、これまで閉ざされていた貿易市場を米国に開放し、関税と非関税政策および貿易障壁を撤廃することを希望するなら、われわれは本書簡の内容について調整することも検討いたします。

これら関税は、両国の関係に応じて上方にも下方にも修正され得ます。貴国が米国に失望することは決してありません。」


 と今後の交渉次第では下がる内容もあるようです。


(一部記事で注目されていた「計算式が間違っていた疑惑」や「フェンタニルの中継点疑惑」については触れられず、どの程度考慮されていたかは不明)



質問者:

 なるほど、ある意味トランプ大統領は株式相場から「見くびられている」と言う事ですか……。



筆者:

 ただ、いよいよ「25%が確定」ともなれば25年4月に記録した3万5千円台まで一気に日経平均株価が下がる可能性はありますよ。


 まぁ、一般庶民からすると株価が上下してもそこまで影響無いと思うんですけど。

 今は新NISAが始まって投資先の一つとして日経平均を選択されている方もいらっしゃると思うので親中穏やかではない方もおられるかもしれませんけどね。



質問者:

 でも、関税がこうも何回も延期されるとなると「日和っている」と思われても仕方ないのではないでしょうか?



筆者:

 このアメリカ関税の推移の図


挿絵(By みてみん)


 をご覧になってもらうと分かるんですけど、アメリカの関税はずっと下がり続け1970年代からはずっと5%を切る水準、2000年からはほとんどありませんでした。


 それが、一気に1930年代の水準まで戻るのです。


 ですからこんな革命的な交渉は数カ月単位で時間がかかってもそんなに不思議では無いのではないか? と僕は思いますけどね。


 むしろ一気に「ショック」を起こさずに企業がアメリカ移転や販路を他にするなどと言った対策が出来る時間が増えるので「交渉期限が伸びるのは良心的」と言う評価すらも出来ます。 



◇今後の交渉の見通し



質問者:

 となると、今後は思ったよりも見通しは明るいのでしょうか?



筆者:

 関税は今よりは下がる可能性はあると思いますけど、

 そのためには最低でも赤沢大臣を関税の交渉大使から外した方が良いと思いますよ。


 交渉の定跡では3回交渉して成果が出なかったらいい結果にならないという法則があるそうですが、

 3か月で7回交渉して1%上がるという功績を遺され、

 しかも7回目はアポなしで会おうとして、しかも会えないなど、アメリカ側の心証も悪いと思いますからね。


 赤沢大臣のままでは交渉の見通しは暗いでしょう。



質問者:

 なんだか赤沢さんは自信満々に話されているような印象がありますけど、

 成果が出てい無ければダメですからね……。



筆者:

 でも逆に交渉がここまで上手くいって無いと「交渉のために政権が不安定になってはならない」とかが空虚に思え、自民党にとってはマイナスで国民にとってはプラスの結果が出やすいので良いと思いますけどね。



質問者:

 自民党は政権担当能力や外交交渉力が最大のプラスポイントだと思われていましたからね……。



筆者:

 そもそも25年2月の関税発表直前の日米首脳会談で石破首相が関税の話を持ち出さなかったことが最大の失策だったと思いますよ。


 アメリカへの150兆円の投資で関税はかかりませんよね? かかるようなら投資は1円もしませんよ? と確認することは絶対条件だったと思います。


 これでは日本がただ単に損をするだけで、その分国内投資に使ってくれとしか思いませんよ。


 日米首脳会談後の共同記者会見で「米国が、もし日本に関税をかけるとしたら、その報復関税をするのか?」と関税の話が出たのに石破首相は「仮定の話には答えられない」と最後のチャンスすら逃しました。


 石破首相は日本ではのらりくらりとかわして地位を確立しているのかもしれませんが、

 商売人だったトランプ大統領には直球勝負で分かりやすくしないと全く通用しませんね。


 その現実を理解できているのかな? と言う気がします。



質問者:

 あの時点で筆者さんは、「関税交渉を持ち出さなかったことを追求しなかったマスコミにも責任がある」と話されていましたよね……。



筆者:

 マスコミが本来であれば、世論形成をして石破政権を引きずり下ろすぐらいなことをしなくてはいけなかったと思います。

 石破政権はマスコミに守られていると言って良いでしょう。


 そのあとグダグダ「0%を目指す」「国益を守る」とか言われても実現性を微塵も感じませんよ。


 1回表にエラー炸裂で満塁ホームラン食らっているような状況でスタートですから、不利なのは明らかなわけです。



質問者:

 アメリカ国内の裁判やWTOの仲裁などで変わるという事は無いんでしょうか?



筆者:

 厳しいと思いますよ。


 何と言っても各国に関税自主権がありますからね。


 本来であれば他国の税率に文句をつける権利はなく、

 トランプ大統領側としても関税で物価が上昇して支持率の低下や、

 1年後の中間選挙で負けるリスクを負ってでも自国産業を守ろうとしているんですからね。


 せいぜい今よりも交渉期限が伸びるぐらいの時間稼ぎができる程度だと思いますね。



質問者:

 日本政府の今後の対応次第ということですか……。

 


筆者:

 アメリカ側は「消費税を非関税障壁」と言っているので、これを機に消費税を廃止できればいいと思うんですけどね。


 アメリカでは消費税の無い州も多いので、消費税の分利益を増やせるか価格競争で有利に働くというのは合理的な理由になります。


 日本国民側としても消費税は「賃下げ税制(消費税マイナスが受けられない)」なので消えてくれた方が嬉しいです。


 ところが石破首相や森山幹事長は「消費税を守り抜く」としていますから「消費税廃止」を交渉カードにしてくれる見込みはゼロです。


 そうなると大幅に下がることは期待できないのではないかと思いますね。



質問者:

 筆者さんは「事実上の自公維政権」とおっしゃっているので中々政権交代は難しいかもしれませんが民意を今行われている参議院選挙で少しでも示したいですね……。



筆者:

 国民にやれることは選挙で投票に行って、情報発信をすることだと思います。


 その手助けをできるような発信を今後も続けていきますのでどうぞご覧ください。

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 おじゃまします! やっぱり来ました!  そうなんですよ。政治ってのは内政と外交の板挟み。カードらしいカードを持てない日本は相当上手にやらないとつらいところ。つらい。つらい。  日本の居場所は東アジ…
消費税撤廃に合わせて在日米軍を1か所だけにするなどで基地問題の大半も解決できる(残すなら岩国)大統領専用機の来日に限り横田の独占使用権を1週間前後認めるとかすればかなりトランプ政治的にはありがたいし即…
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