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幕間 指輪
最近暗い雰囲気が続いているので何のオチも無い平和な幕間です
ある日の事。野宿をしているテントの中で、リーヴがセラの左手を見つめながらぽつりと呟いた。
「…最近気づいたんだけど、さ」
「うん」
「セラって、指輪着けてるんだね」
リーヴの視線の先には、左手の人差し指にはめられた銀色の指輪があった。直接光が届かないテントの中でも、それは美しい輝きを放っている。
「これ?これは…あたしがあの星に来た時にはもう身に付けてたんだって。お母さんから聞いた」
「ふぅん…綺麗、だね」
リーヴは指輪にも負けないくらいに目を輝かせて、セラの左手を見つめている。
「…貸してあげよっか?」
「いいの?」
「うん」
(そんな目で見られたら…断る訳にもいかないし)
その夜、リーヴは指輪をセラと同じ位置に着けて眠ったという。
指輪を着けている位置に意味はありません




