第69話 日喰
今回、不気味さに全振りした話です
読みにくいかもしれませんが許してください
イデオ達が目を覚ますと、そこに真月は居なかった。空の眼も、赤い月も空も全てが消えて、普通の夜空が広がっている。
「…?今までのは…?」
イデオは困惑する。後ろに居る13名の信者達も、同じように困惑しながらざわめいている。
1人を除いて。
「…ぁぁぁあああああああ…!」
突然、1人の信者が頭を抱えて地面に伏した。絞り出すような声を上げながら、頭皮や顔や喉などを掻きむしっている。
「どうしました?」
イデオはゆっくりとその信者に近づくが、その瞬間に彼は涙塗れの顔を勢いよく上げて叫ぶ。
「怖い…怖い…!怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖いぃいぃぃぃぃ…!」
「怖い?何がですか?」
「あの言葉……あああの言葉ァ…!言わなければ、言わなければ、言わなければ、言わなければァァァァァァァッ!!」
イデオにはもちろん、他の信者にも状況はいまいちよく分からなかった。
「落ち着いてください。あの言葉とは一体何なのですか?」
こうして見ると、イデオがとてもまともな人間に見える。養殖の狂気は所詮、本物の狂気には敵わないのだ。
「ああ恐ろしい…言わなければ、怖い。恐ろしい、言わなきゃ、怖い、怖い、言おう、駄目だ、怖い、恐ろしい、言わなければ、恐ろしい、駄目だ、言う、怖い、駄目だ、言わなければ、言う、怖い、言おう、駄目だ…」
「…」
最早、イデオは何も言う事が出来なかった。その時、錯乱しきったその信者がポツリと溢した。
「にちはみさん」
言ったな。
イデオは確かにそんな声を聞いた。言ったな。イデオはその言葉の意味を脳内で考察する。言ったな。
言ったな。言ったな。言ったな。言ったな。言ったな。言ったな。
次の瞬間、イデオはまた意識を失った。
谿句ソオ縺ァ縺励◆
イデオ達が目を覚ますと、そこに真月は居なかった。空の眼も、赤い月も空も全てが消えて、普通の夜空が広がっている。
「…?今までのは…?」
イデオは困惑する。後ろに居る12名の信者達も、同じように困惑しながらざわめいている。その時、2人の信者が頭を抱えて地面に伏した。
「…ぁぁぁあああああああ…!」
「言わなきゃ、駄目だ、怖い、言おう、恐ろしい…」
その異様な光景にイデオは息を呑む。どうやら、彼はこの光景に見覚えがあるようだ。
「ああ…!ああ…!!」
「怖い怖い怖い怖い怖い…!」
「「にちはみさん」」
言ったな。
その時、イデオは確かに見た。2人がその言葉を口にした瞬間、地面から赤黒い茨が大量に生えてきたかと思えば、2人の全身を悉く貫いていったのを。
谿句ソオ縺ァ縺励◆ 谿句ソオ縺ァ縺励◆
イデオが目を覚ますと、そこに真月は居なかった。空の眼も、赤い月も空も全てが消えて、普通の夜空が広がっている。
「…おかしい。何もかもが…」
イデオは困惑しながらも、後ろに居る10名の信者がどよめく声を聞きながら現状の考察を始める。
(まずはあの言葉……なんだ?声が震えていてよく聞こえなかったですが…確か、『にち』…)
その時、後ろでまた3人の信者が発狂し始めた。
(…もうこの際あれはどうでもいいでしょう。あの言葉は、確か………そうだ、『にちはみさん』だ)
その時、イデオを途轍もない寒気が襲った。心拍が急上昇する。身体が震える。息が乱れる。焦点がずれる。
(お……落ち着きなさい、私。つ、次は意味を……これは恐らくマガツキ様…いや、真月の力……という事は、月に関する意味があるはず…)
またその時、イデオはとある思考に至った。
(いや…そもそも何故私は、この言葉の意味を知ろうと…?)
ふと後ろを振り返れば、信者の数がどんどん減っていっている。
(…もういい。ここまで来たら最後までやってやる。真月は穢れの概念種…『月』に関する何かマイナスな印象を受ける言葉は…)
そして、彼は答えに辿り着く。
(…日食?いや…日喰か…?そうか…あの言葉の意味は『日を喰らう者』…つまり『月』…!)
おめでとうございます。
おめでとうございます。
廃星の狂信者様。
あなたは見事に答えに辿り着きました。
本当におめでとうございます。
そして、答えに辿り着けなかった方々へ。
誠に誠に残念ですが。
非常に非常に残念ですが。
口惜しいかな、不合格!
あなや恐ろし、真の月よ




