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大宙の彷徨者  作者: Isel


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第170話 魔法のお手本、見せてあげる

小話 〜クオンの権能〜

そもそも権能が2つある神っていうのはすっげえ珍しくて、アイオーンによって意図的に作られたアルヴィース以外だとマジでクオンくらいしか居ません

「夜」と「死」の違いは以下の通りです


死→基礎ダメージは低めだが即死効果あり

夜→基礎ダメージは高いが即死効果なし


こんな感じで、属性を言うならばどちらも闇属性です

「ふぅん。あなたもそこそこ強いっぽいね。でも生憎……魔法勝負で負ける気は無いの」


セイジェルは宙に浮いたまま杖を翳しており、不敵そうな微笑みを崩さない。


「魔法のお手本、見せてあげるよ」


するとクオンの周囲に暗い桃色をした三角錐状の物体が現れ、クオンを囲ったまま回転し始めた。


「これは……閉じ込められたようですね」


冷静に分析するクオンだったが、その思考を遮るかのようにセイジェルが指を鳴らす。その瞬間、クオンを囲っていた三角錐は爆ぜ、クオンの全身に強く叩かれたような痛みが走った。


「っ……!」

「クオン、平気?」

「はい、威力は然程無いようです」

(先程の言動からして、この方は魔力の扱いに自信がある様子……でしたら死よりも夜の方が効果的かもしれませんね)


クオンは『今度は自分の番だ』とでも言うかのように左手をセイジェルに向ける。しかし、その手はセイジェルの方を向いているだけで、何の魔法を放つ事もなかった。


「……?」


予想だにしない静寂に戸惑うクオンを見て、機嫌良さそうにセイジェルは笑っている。


「あははっ。大体皆最初は引っかかってくれるよ。自分の魔力が封じられるなんて、実戦の場だと案外想像できないからね」

「なるほど、魔力が……」

「ああ、安心していいよ。別にそんな長い間使えなくなる訳じゃないから」


余程実力に自信があるのか、セイジェルは自分の技の仕組みや効果をペラペラと解説している。

クオンはプライドが高い性格という訳ではない。誰かに対抗心を燃やした事など、サンサーラやタナトスの死神組と酒の飲み比べをした時くらいだ。しかし戦う相手にこうも余裕そうな態度を取られては、何か心に燃える物があるのだろう。


「……今度はこちらから行きましょう」


魔力が戻った事を確認してから、クオンは左手に力を込めて周囲に夜の魔力を解放する。するとその瞬間、室内は真夜中のような暗闇に包まれた。


(視界が……へぇ、やるじゃん。でも……対策が無い訳じゃないよ)


セイジェルは真上に杖を翳し、暗闇の中でも微かに輝くプリズム状のバリアを展開した。そのほぼ直後、夜空のような闇の中から、左目から伸びる紫色の残光と共にセイジェルを急襲した。しかしその斬撃は何か硬い物に阻まれ、セイジェルの身体どころか服の端にすら傷はつかなかった。


「硬い……!」

「驚いた?でも止まっちゃダメだよ」


クオンの鎌が空を切る音で、セイジェルはクオンの大方の位置を確認した。すると次の瞬間、彼女は巨大なプリズム結晶を出現させて、その先端から後方に向かって光線を発射した。


「くうっ……!」


攻撃を跳ね返された反動で態勢を崩したクオンは、その光線が直撃してしまう。幸い致命傷には至っていないようだ。


「クオン、何を躊躇ってるの?アナタならこの程度の相手、簡単に殺せるでしょ?」

「いけません……例え敵であっても……それが他者を殺めていい理由にはなりませんから」

「……アナタのそういうところ、好きだよ。だけど……ちょっと甘いかな」

「……」


気づけば暗闇は晴れていたが、そこに広がっていたのはセイジェルにとっては意味の分からない光景であった。何しろ、デスの声はクオンにしか聞こえていないのだ。セイジェルからすれば、窮地に追い込まれたクオンが幻覚を見ているようにしか見えないのである。


「……まぁいいや。早く終わるなら助かるよ」


セイジェルは杖の先端に魔力を収束させている。未だクオンとの議論を続けているデスは、危機感を覚えてクオンに提案する。


「……分かったよ。じゃあせめてアタシと代わって。殺さないように努力はするから」


デスの声からは仄かな焦りが感じ取れた。単にクオンが大切だからというのもあるだろうが、そもそもクオンが怪我をすれば身体を共有しているデスも同じ被害を被る。今の提案にはそういった自己防衛的な意味も含まれているのだろう。クオンもそれを理解しており、目を閉じて承諾する。


「分かりました。では、よろしくお願いします」


クオンの身体が不気味な赤色をした蝶の群れに包まれ、その中から白髪のクオンが出て来た。


(姿が変わった……ふぅん。ここからが本番って事?)

「さてと……アタシのクオンをいじめたからには、しっかり償ってもらわなきゃね」


『掴みどころの無い』という点で見れば似た者同士とも言える2人は、奇しくも同時に不敵な笑みを浮かべるのだった。

ボスキャラ解説

【知恵の愛娘】セイジェル

種族 ?

所属 W.C.P

異能 様々な効果を持ったプリズム状の物質を操る力

今回使用した技

・デルタフォース

→三角錐状の魔力で対象を閉じ込めて攻撃する。威力は嫌がらせ程度だが、当たると短時間魔力が使えなくなる


・ミスティックウォール

→バリア。めちゃくちゃ硬いが生物の肉体は通す

概要

W.C.P傘下の研究所、ウィズダム・ラボラトリー(W.L)の所長。クオンが見惚れる程の美人であり、それを本人も自覚している。嫌いな物はあまり無いがW.C.Pの総監とは色々ウマが合わず、いつも些細な事で言い合っては同僚や友人に呆れられている。得意分野は一般的な学問全般と神種学(神や概念種について学ぶ学問)、それと魔力学(魔力の扱いや魔力を活用した技術について学ぶ学問)である。

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