第18話 いくよ、暑い星
結構どうでもいい豆知識
何がとは言いませんが、セラは割と大きいです
リーヴは一応視認できるくらいです
翌朝。セラは目を覚ますと同時に、右頬に生温かい感触を覚えた。
「ん…」
起き上がろうとするが、身体が動かない。全身を何かに掴まれているかのようだ。
「リーヴ…?」
目線だけを横に向けると、リーヴがセラに抱きついていた。とても穏やかな表情で、小さな寝息を立てながら眠っている。
「ふふ…」
セラは思わず微笑むが、それと同時に段々と頭が冴えてきた事もあって、右頬の感触の正体に気づいた。
「ちょ…リーヴ……あたしのほっぺ食べないで…」
右頬の生温かい感触は、リーヴがセラの頬を『もむもむ』としゃぶっている事から生まれたものだった。
「リーヴ〜…」
「ん…おいしい…」
「おいしいの…!?」
もちろんセラなら力ずくでリーヴを引き剥がす事は出来る。しかし結局、そのまま10分くらい頬を食べ
られていたのだった。
「ふぁ…おはよう、セラ」
「おはよう、リーヴ」
寝起き特有のふにゃふにゃした笑顔で、リーヴはセラの方を向いている。
「あれ、セラ。ほっぺ、どうしたの?赤い、よ」
「さぁね。鏡でも見てきたら?」
「かがみ…わかった」
リーヴはふらふらと洗面台に向かっていき、数秒程して帰って来た。
「どうだった?」
「うん。わたしは今日もわたしだった」
「…そっか。よかったね」
誇らしげに言うリーヴには、多分セラのちょっとした皮肉は通じなかったのだろう。そして2人は朝食を終えて、いつもの服装になる。
「いつ出発する?」
「いつでもいいよ。行き先を想像する方の能力は、いつでも使えるから」
「…じゃあ、もう少し街を散歩しよ」
「いいよ」
2人は宿から出て、自分達が救った(?)街を散策する。
「雪はまだ残ってるけど…寒さはだいぶよくなったね」
「だね。寒いっていうより涼しいって感じ」
今のこの街にはもう吹雪は吹いておらず、雪だけが残った快晴だった。
「わたし達のおかげ、だね」
「あんまり実感無いなぁ…」
「たしかに、『ひげんじつてき』だね」
「そんな難しい言葉よく知ってるね」
「ふふん」
2人はしばらく買い食いなどをしながら散歩を続け、時刻は夕方になった。
「そろそろ、いく?」
「うん。行こうか」
リーヴとセラは人気の無い場所へと移動して、いつも通りの虹色の穴を空間に開ける。リーヴの手には、村長に貰った灼熱の星の写真が握られている。
「それじゃ、いざ、新たな星へ」
なんとなく張り切ったようなリーヴの掛け声と共に、2人は穴に飛び込む。
「うぇっ…あつっ」
「うわっ…熱っ」
穴を抜けた先は、写真で見た通りの火山地帯だった。飛び出た勢いで地面にうつ伏せになっていた2人は、その温度に驚いて跳ね起きる。
「熱いし暑い…まだ数秒しか経ってないのにもう汗かいてきたよ…」
「目の前が…ぼやぼやする…」
リーヴの声音は今までにないくらいか細くなっている。
「リーヴ…暑いなら脱ごう?」
と言いながら、セラはリーヴのパーカーに手をかける。
「ふふ…セラ…大胆…♡」
リーヴは大分脳がやられているようだ。
「ち…違う違う!そういうのじゃないからぁ!」
どこの星に行こうが、2人は楽しそうだ。




