表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
大宙の彷徨者  作者: Isel


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

174/199

第164話 です・るーむ

今回は登場してからずっと影の薄いデスちゃんの回です

別に駄洒落ではありません

突然だが、皆さんはデスを覚えているだろうか。聖賢学会の本部地下にて、リーヴ達と初対面したクオンの別人格のような存在。本人曰く『死』の概念種らしいが、それとクオンや旅団に対する敵意は無いという事以外は謎に包まれた存在である。そんなデスについて、アルシェンは何か気になる事があるようだ。


「では、始めましょうか」

「はい……な、何をですか……?」


何故かアルシェンの部屋に呼び出されたクオンは、不思議そうな顔をしながら正座している。


「確認ですが、今デスちゃんはクオンちゃんの中で眠ってるんですよね?」

「そうですね。夢界の中では分離出来るとはいえ、本来は私の中に居た人格ですから。夢界に居ても時々私の中に戻って来るんです」

「なら大丈夫ですね。実は気になっている事がありまして……」

「何でしょうか」

「その……デスちゃんの部屋、見た事なくないですか?」


ご存知の通り、アルシェン達は同じ家に住んでいる。それ故に他の旅団員の部屋に行く事はままあるのだが、何故かデスの部屋には誰も入った事がないのだ。厳密には入ろうとしても『やめた方がいい』と言って返されてしまうのである。


「確かに……私も入ろうとした事はありますが、同じく追い返されましたね。『クオンは特に見ない方がいい』と言われましたが……」

「ですよね。あの部屋、何があるのか気になりませんか?」

「まぁ気になりますが……他人の部屋に勝手に入るというのは、いかがなものかと」

「うっ……ま、まぁ確かに気は引けますが、『入らないでくれ』じゃなくて『入らない方がいい』ですから。部屋に入ってもデスちゃんが困る事はないと思うんです」

「それなら……気にはなりますし、見てみましょうか」


という訳で、2人はデスの部屋の前に立った。


「な、なんだか緊張しますね」

「動物の死体でも置いてあったらどうしましょうか……」

「デスちゃんを何だと思ってるんですか」


まぁ確かに置いてありそうでもあるが。剥製と言ってくれないか。


「じゃあ開けますよ……」


アルシェンはドキドキしながら部屋のドアを開けたが、その向こうは案外普通の内装だった。部屋の電気は消えており、小洒落た燭台や鏡、何の変哲もないベッドなど、特にこれといった異変は見当たらなかった。だが、それがかえってデスの言っていた『入らない方がいい』という台詞を謎めかせている。


「ふ……普通、ですね」

「ですねぇ……」


デスだけにか。


「もうちょっと色々見てみましょうよ」

「あの……そろそろ戻りましょう?あの子もいつ起きるか分かりませんし……」


クオンがそう言って部屋の前でオロオロしていたところ、突然2人の首筋に冷たいものが当てられた。


「……バァ♪」

「「きゃあああああああ!!」」


いつの間にやら目を覚まして外に出て来たデスが、2人の背後を取っていたのだ。


「ふふ……何をしていたの?アタシの部屋で」

「あ、えっと、その……」


忍び込んだ手前、アルシェンは少し気まずそうな顔をしている。ちなみにクオンは余程驚いたのか、地面に倒れたまま動かない。


「……まぁ、普段から『見ない方がいい』って言ってるからね。気になったんでしょ?」

「あはは……はい」

「なら、好きに見てていいよ。でも……」


デスは人差し指を口元に添えて、艶かしく微笑む。


「…そこのタンスの上から2段目は、見ない方がいいよ。アタシが部屋に入れなかった原因があるから」


そう言って、デスは居間の方へ向かった。少しだけ呆けていた後、アルシェンはハッと我に帰ってクオンの肩を揺する。


「クオンちゃんクオンちゃん、起きてください。一応部屋の主から許可は降りましたよ!」


しかしクオンからの返事はない。目を回したまま、某飲茶のような姿勢で地面に転がっている。


「……よっぽどびっくりしたみたいですね」


アルシェンは改めて立ち上がり、部屋の中を見回す。


「クオンちゃん寝てますし……わたしならタンスの中身、見ても良いですよね」


アルシェンは好奇心を抑えられず、デスに止められても尚タンスに手をかけ、上から2段目の引き出しを開ける。


「ミ゜ッ」


中身を見た瞬間、アルシェンは顔を強張らせて妙な声を上げてしまった。それもそのはず、何故ならタンスの中にあったのは、一体いつ撮影したのかも分からないクオンの写真が大量に収納されていたのである。


「こ、れは……」


動揺のあまり、アルシェンは1,2歩後退りする。その時、ふとベッドの上の枕の下から何かがはみ出している事に気がついた。手に取ってみると、それもクオンの写真だった。


「ミ゜ィッ」


アルシェンは再び妙な声を上げる。


「これは……確かにクオンちゃんは見ない方がいいですね」

「ん……」


その時、クオンが目を覚まして身体をゆっくりと起こした。


「アルシェンさん……どうかしましたか?そんな引き攣った顔をして……」

「い、いえ!何でもありません!お腹も空きましたし、一旦おしまいにしませんか?」

「……?はい。では、何か軽食を取りましょうか」


知らない方が良い事もある。この日、アルシェンはそれを胸に刻み込んだという。

豆知識

セラちんは嫉妬しないタイプです

何が言いたいかって言うと

リーヴはセラちん以外と百合百合する可能性もあるって事です

仕方ないね

リーちゃん好かれるからね

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ