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大宙の彷徨者  作者: Isel


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第157話 戦争の星

「ついた、ね」

「ここが……フォル君の故郷ですか」


謎の魔物の大群に襲われているというフォルティの故郷を手助けする為、リーヴ達はアルテミシアという星にやってきた。浮月程ではないにしろそこそこ発展しているようで、遠くの方には一際大きな建物が建っている。


「あの大きな建物がアルテミシア軍の本拠地さ。確認だが、君達はこの星の問題解決に尽力してくれるのだろう?」

「うん」

「よし。僕がツテを使って、この軍都の防衛隊に話を付けてくるよ。後の事はそれから話す。ついでにフォルティも共に来てくれ。先程まで啀み合っていたとはいえ、久しぶりの再開じゃないか?」

「調子の良い野郎だ……アンタらは好きに軍都を散策しててくれ」

「「はーい」」


リーヴとアルシェンが共に返事をし、旅団と軍人組は一旦別れた。


「……で、なにしようか」

「フォルティの言った通り、適当にその辺りを散歩しよっか?」

「ですね。道中気になる物があれば、買い食いするのも良いですし」

「では、出発進行です!」


そして、4人はアルテミシア軍都の散策を始めた。戦争の星だというからどんな厳しい雰囲気なのかとリーヴは身構えていたが、少し工場が多いだけで、意外にも普通の街だった。

しばらく歩いた頃、リーヴは人混みの中に何やら目立つ人影を見つけた。透き通るように綺麗な肌と白色の長髪が特徴的な少女だった。しかし、どこか歩き方が頼りない。足を負傷でもしているのだろうか。


「わー……あの子、綺麗だね」

「あの白髪の子?そうだね。あの子もこの辺に住んでるのかな?」


その時、少女とリーヴ達は偶然にも目が合い、人混みを掻き分けて近寄ってくる。


「こんにちは。私に何か用事かな?」


少女は明るく、それでいて綺麗な声で挨拶する。


「用事……は、無いけど。あなたが綺麗だなって、話してたの」

「ふふっ。ありがとう。私は『アリーナ』って言うんだ。君は?」

「わたし、リーヴ。こっちはセラだよ」

「リーヴ……うん。覚えた。見ない服装してるけど、アルテミシアには何をしに来たの?」

「えっと、友達の手伝い……かな」

「そっか……でも、ちょっとタイミングが悪かったね。知ってるかもしれないけど、今この星は魔物の大群に襲われててさ。何の手伝いかは分からないけど、ゆっくり観光とかする時間は無いかもしれないんだよね……」


アリーナは目を伏せて悲しげに呟く。


「その手伝いが、軍都に押し寄せる魔物の対処なんだけど……」


しかし、セラが少し控えめな様子でそう呟くと、アリーナは一気に目に光を宿した。


「本当!?あなた達、この星の出身って訳でもないのに……力を貸してくれるの?」

「うん。人助けが、わたしの信条だから、ね」

「よかった……これで……!」


喜びを噛み締めるように、アリーナは両拳を握っている。


「私の家においでよ!詳しい事、説明してあげる!」


アリーナに手を引かれ、リーヴ達は流れでアリーナの家に行く事になった。しかし、そんなアリーナを呼び止める者が1人居た。


「待ってください、少し良いですか?」


その声の主はアルシェンだった。


「どうしたの?」

「ちょっと……話がしたいんです。すぐに終わるので、少しだけ来てくれませんか?」


2人はすぐ近くの路地裏に入って行った。そして、3分も経たない内に帰ってきた。その時のアルシェンは複雑を極めたような表情をしていたが、人混みのど真ん中という事もあって詳しく聞く事は出来なかった。


「へぇ……!あなた達ってフォルティと知り合いなの?」


アリーナの家でしばらく話していると、話の流れでフォルティとの関係性を明かす事となった。


「そうなんだ……あいつ、違う星に行っても変わんないんだね」

「2人は幼馴染なの?」


何となく歳が近そうという印象からか、セラはアリーナとすぐに打ち解けたようだ。


「うん。ディスガーと、フォルティと、それから私。昔は3人で、生きる為の戦争に出てたんだよ」

「『昔は』って事は、今は戦ってないの?」

「……あなた達は良い人そうだし、話してもいいか」


リーヴ達4人は首を傾げている。


「…私ね。『漸衰病』っていう病気なんだ」

「どんな病気なの?」

「生まれた時からちょっとずつ体内の魔力が減っていって、それに伴って身体能力も衰えていって……最終的には23歳くらいで死んじゃうっていう病気」

「……そうなんだ」

「この髪色も漸衰病のせいだよ。色素が抜けちゃってさ。つまり私はもう……戦えないんだ」


意図しているのかそうでないのかは分からないが、アリーナは明るく解説している。そんな短命なアリーナに、同じく短命であるセラはどこか親近感のようなものを覚えていた。


「……あ、もう結構時間経ってる、ね」

「そろそろフォル君達も戻って来る頃合いですかね?」

「じゃあ、あたし達は一旦フォルティ達と合流してくるよ。アリーナも来る?」

「ううん、私は大丈夫。歩くのも結構疲れちゃうんだ」

「そっか。また後でね」


4人はアリーナの家から出て、フォルティ達を探し始めた。


小話 〜アルテミシア〜

実はそらほうの前に書こうと思っていたけれども、色々あって没になった作品があります。その作品の舞台こそがフォルティの故郷、アルテミシアなのです。主人公はそのまんま今回出て来たアリーナですし、その幼馴染がフォルティの原型です。ディスガーの原型も居るには居ますが、なんと中盤の最後の方で原型フォルティに殺される予定だったモブです。大出世ですね

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