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大宙の彷徨者  作者: Isel


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第141話 また、やばい、ね

豆知識

主従契約みたいなのを予め解除しておけば、「主人が死んだと同時に眷属も死ぬ」って事は起こりません

ノーノゥとアルヴィースは既に契約解除していますが、サンサーラと輪廻天将はしてません

ちなみに、眷属は1から作るのではなく人間等の肉体をベースにして作った方が魔力やその他の基礎能力にソースを割けてお得です。ただし、耐久力はやや劣ります。

アルシェンの故郷の雨を止ませ、その姉であるリスティアスも無事に送魂した星間旅団は、充分な休息を取った後に次なる星へとやって来た。

星に降り立つや否や、突然セラが神妙な面持ちで他の3人の前に躍り出た。


「えっと……皆、報告があるんだけど」

「どうか、した?」


セラは無言で財布の口を広げて見せる。そこには見事なまでに綺麗な内部が広がっており、ゴミも、ホコリも、そして小銭の1つさえも入っていない。


「お金……どうしよう」

「おお、まずい、ね」

「お金を稼ぐ手段でも考えますか?」

「そうですねぇ。ここは旅人らしく、何か仕事の依頼でも探してみましょうか。街を歩き回れば、チラシの1つでも見つかると思いますし」


4人は共に仕事を探し始めたが、流石にそう都合よく見つかる訳もない。彼女らが抱いているのは一抹の焦燥、そして少しの幸せだった。


「仕事、みつからないけど……ふふ。こういうのも楽しい、ね」

「だね。大人とかに頼らないで、あたし達だけで生活してる感じがする」


そんな雑談をしていると、ふとリーヴがある事を思い出したようだ。


「あ、そういえばさ、クオン」

「はい?」

「前にサンサーラからきいた、けど。クオンってまだ、わたし達にみせてない力があるの?」

「あ……その件ですか」

「あるんだ」

「はい。あるにはあるのですが……その、色々と驚かせてしまうかもしれませんので……機会があれば、お見せします」


その時のリーヴは『ふぅん』とだけ言って、話を終わらせた。しかし、当然ながらこの時の彼女は知らない。クオンのもう1つの力が、驚くべき経緯でクオンに宿った事を。

しばらく街中を徘徊していると、電柱に貼ってある1枚のチラシが目に入った。


「あ、あったよ。見よう」


リーヴが目線を上に向けてチラシの内容を読み上げる。


「えっと……調査?だって。なんか、この辺にもう使われてない研究所みたいなのがあるんだけど、そこから変な音とか声が聞こえたり、入った小さい子供が行方不明になってるんだって。だから、調べて来てほしいって。正体が分かったらチラシに書いてある住所まで行って、そこで報告したら、お金くれるらしいよ」

「調査かぁ……斥候なら経験あるんだけど」

「あるんですか?セラさん」

「うん。まだ極光の戦士として戦ってた頃に、少しだけ」

「何はともあれ、その研究所とやらに向かってみましょうよ!ふむふむ……どうやら件の研究所は『聖賢学会』って組織の本部だったみたいですね!」

「「えっ……」」


リーヴとセラは同時に声を漏らした。懐かしさすら感じる聞き覚えのある名前に、2人は微妙そうな顔を浮かべている。


「それって……たしか、異能力者を創り出そうとしてた人たち、だよね」

「うん……あの、酷い実験をしてた組織だね」

「名前は聞いた事がありますが……そんな組織だったのですね」

「何やら今回も危険な予感がします……!皆さん、気をつけていきましょう!」


そして依頼人に軽く挨拶を済ませた後、4人はてくてくと学会の施設へ向かっていく。やがて門の前に辿り着いた頃には、もう夕方になっていた。


「門、あいてる、ね」

「許可は貰ってるから、早く入ろっか」

「というか、聖賢学会はもう解散していたのですね。初耳でした」

「……何があったんだろう。あたし達が前に行った場所の様相からして、そう簡単に野望を諦める人達じゃないと思うけど……」


セラが思案していると、一足先に中に入ろうとしていたアルシェンが叫んだ。


「皆さーん!置いて行っちゃいますよー!」

「アルシェン……お姉さんの事引きずってるかと思ったけど、元気になったんだ……良かった」

「ね。わたし達も、いこう」


中に入ると、そこは想像通りの廃墟だった。そして怖い物が苦手なセラは、例によってリーヴの服の袖を掴んでいる。他人との接触は苦手なんじゃなかったのか。


「おお……くらい、ね」

「見たところ変な物は無いけど……」

「部屋も沢山あるようですし、色々調べてみましょうか」


それから、4人は手分けして20分程施設内を調査した。しかし、地面に落ちている多少の資料や書物以外には特に何も見当たらない。むしろ不自然なくらい綺麗だ。もしや……ここはあまり使われていなかったのだろうか?


(……?何故……死の気配が?それも地面から……淡くはありますが、気掛かりですね)

「クオンちゃーん!行きますよ!」

「あ……はい」


再び施設内を歩き回っていると、リーヴは興味深い物を見つけたようだ。


「ね、みんな。これなに?」

「これ……本で見た事ある。エレベーターってやつだよ。このカゴに乗ってボタンを押すと、階段を使わなくても階の移動が出来るんだよ」

「ふぅん……すごい」


しかし、どうやらそのエレベーターは壊れているようだ。扉も歪んでいる。


「……えいっ」


リーヴは好奇心のままにカゴの中に飛び入った。少しだけ金属特有の響くような音がする。


「あ、危ないよリーヴ……!」

「へいきへいき。わたし、すごい神様らしいし」


リーヴを連れ戻そうとしてセラもエレベーターのカゴに足を踏み入れる。


「変な場所に落ちちゃったら大変だよ?ほら、戻ろう?」

「うん。わかった」


リーヴはセラについて行ってカゴから出ようとする。その時、彼女の目にある物が留まった。


「あれ……これなんだろう」


何やら黒いカバーで覆われている、赤いボタンだった。カバーは既に外れていて、ボタンはまだ微かな光を放っている。


「これ、押したらどうなるんだろう」


リーヴは再び好奇心に従ってボタンを押してみた。すると……

『ガコン!』という音が響いたかと思えば、悲鳴を上げる隙も無い程高速でエレベーターが落下していった。


「あばばばばばばばばばば」

「り……リーヴ!あたしに掴まって!離しちゃダメだよ!」

「う……うん!」


そんなやり取りをしながら、2人は深い地の下まで落ちて行った。

一方、地上に残された2人は……


「ど、どうしましょうクオンちゃん……2人が…!」

「……アルシェンさん。助けに行く手立てを探しましょう。実は先程地面から死の気配を察知したのですが……あれが地面ではなく、今お2人が落ちて行った『地下』からだった場合……まずい事になりそうです」

「は、はい!焦らず、急いで探しましょう!」


どうなる、星間旅団。

どうでもいいかもしれない豆知識

実は、概念種には別名があります

お忘れかもしれませんが神や概念種というのはあくまでもただの「種族」なので、概念種って名前は俗称でしかないのです。概念種の正式名称(?)は今後出て来ますが、正直覚えなくてもいいです。一部のキャラはその名称を使ってますが。

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