第101話 さがそう、あの人
「「……はっ」」
妙な夢を見たリーヴとセラは、奇しくも同じタイミングで目を覚ました。隣のベッドでは、まだクオンとアルシェンが眠っている。
「ここ…現実?」
「そうだよ…多分」
「…変な夢、みた」
「あたしも…」
同じベッドで向かい合いながら、2人は眠そうに会話している。
「リーヴ、どんな夢見たの?」
「えっと、ね。真っ暗な場所で、昨日みた黒い魔物に襲われて、それで、だれかに助けてもらう夢」
「誰か……クオンとか、あたしとか?」
「ううん。しらない人。髪は、男の人にしては長くて…なんか、両目が赤くて」
「そっか…何でそんな人が出て来たんだろうね」
「セラは、どんな夢みた?」
「うーん…よく分からない夢だったよ。何か、気味が悪くて…ちょっと怖かった。あ、そうそう。あたしの夢にも、知らない子が出て来たんだよ」
「どんな、子?」
「身長はリーヴと同じくらいで、髪が白い綺麗な子だったよ」
「ふぅん…」
そんな会話をしていると、クオンとアルシェンも目を覚ました。基本的に寝覚めの良い2人だが、今日はそうではなかった。やけに暗い顔をしており、仄かに顔色が悪い。
「おはよう、2人とも」
「おはよう…ございます」
「もう起きてたんですね」
「クオン、アルシェン、どうかしたの?おなか痛い?」
リーヴは心配そうに声をかけるが、どうやらお腹が痛い訳ではないようだ。
「いえ、少し…その…嫌な夢を見てしまいまして」
「クオンちゃんもですか?実は、わたしも…」
「2人も、そうなの?」
「『も』という事は、リーヴさんやセラさんも悪夢を見たのですか?」
4人はとりあえず顔を洗って、今日見た夢の内容を共有した。これだけならばただの仲睦まじい集団の風景なのだが、今起こっている事は奇妙極まりない。何しろ、同じ夜に4人全員が悪夢を見て、4人とも夢の中で知らない人物と出会ったのだから。
「セラさんも白髪の子と出会ったのですか…」
「わたしが会った人はリーちゃんと同じ人っぽいですね…」
「…そんな事あるのかな。同じ人と違う2人が、それぞれの夢の中で出会うなんて」
「リーヴさん、あなたが出会ったという方…名前は聞いてませんか?」
「聞いた…んだけど、ごめん、忘れちゃった」
「そうですか…リーヴさんの話によれば、夢に出て来た魔物は昨日の黒い魔物と似ているとの事…普通なら、何かしら関係があると思いますが…」
クオンがぶつぶつと独り言を言っている時、アルシェンが提案した。
「あの、リーちゃんが見たっていう人を探してみるのはどうですか?」
「アルシェン…夢の中で見た人が現実に居るとは限らないよ?」
セラは苦笑いしながら言うが、それにクオンが答える。
「いえ…私はアルシェンさんの案に賛成します。実は、リーヴさんとアルシェンさんの会った方には心当たりがありまして…セラさんは覚えていると思います」
「え…?」
セラは不思議そうな顔をしながら、もう1度聞いた外見の特徴を思い出す。そして、やがて疑念は確信に変わり、セラは思わず大きめの声を出してその名前を言い放つ。
「あ、流離だ…!」
「はい。赤い両目と刀…それに、黒い長めの髪…そして赤黒い斬撃と来れば、十分に流離さんだと言えるでしょう。勿論、夢の中…夢界と言いましたか。何故そこに居たのかは分かりませんが」
「ごめんねアルシェン…居たよ、夢で見た人」
「い、いえいえ!謝らなくていいですよ」
「る…り?」
リーヴは聞き覚えの無い名前に戸惑っている。
「ああ、そっか。リーヴは流離の事知らないんだもんね」
「あなたが奈落に居る間に、訳あって私達と行動を共にしていた方です。共に戦った時は心強い味方でしたよ」
「ふぅん…じゃあ、その流離って人をさがすんだね」
「うん。分からない事が沢山あるけど…流離なら何か知ってそうだし」
「では行きましょうか」
その時、部屋の中に誰かの腹の虫の鳴き声が響いた。
「…ご飯を食べてから」
クオンのだったようだ。
何でお前ら当たり前みたいに同じ布団で寝てるん




