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野良犬と宝石のお姫様  作者: 鶴野江
第3章 アルバム
46/51

第44話 保護者と居候④

 アレックスは飼い主を待つ飼い犬の如く、寮のエントランスを行ったり来たしていた。そのアレックスに犬耳、尻尾が見えたの幻覚なのかはたまた本物なのか、周りの寮生達がチラチラ見ていた。


「シシィ。心配だ……早く帰って来て、シシィ〜」

 震える声と、力無く垂れ下がる犬耳と尻尾が、アレックスの不安をよく表していた。


 そこへ、上着をコウモリの翼に変えたロイが、血相を変えエントランスに飛んで来た。

「アレックス緊急事態だ。ドラゴンだ。ドラゴンが来た!」

 この学園では稀にドラゴン等の魔物が侵入することがある。その場合、警報があり、教員が応戦し、寮長らに連絡があり生徒達の安全の確保に努める。しかし、連絡がないことをアレックスは疑問に感じた。

「ドラゴン? どんなだ?!」

 アレックスは犬耳と尻尾をピンと張り上げ、ロイに状況を確認した。ドラゴン襲来にアレックスにも緊張が走る。僅かな音も逃さない様に、アレックスは犬耳を動かした。

「デカいクリスタルドラゴンだ。寮の上空まできている」

 アレックスの前世は、領地の衛兵かつ騎士学校の生徒であり、有事の訓練や実践経験がある。その経験から生徒達の安全確保のルート、教員への連絡、自身がドラゴン相手にどこまで牽制可能か事態の対応を冷静に考えていた。


 クリスタルドラゴンか? あれには俺の爪が通らなかったからな……行けるか?


 アレックスは近付いて来るドラゴンがクリスタルドラゴンと分かり、シンシアを迎えに行った廃墟の結婚式場を思い出していた。その時の対峙したドラゴンを。



「ん?……クリスタル?……!!」

 アレックスは近付いて来るドラゴンが分かると、ぱあっと顔をほころばせ、犬耳をピンと立てた。犬耳をピコピコ動かし、尻尾を高速でフリフリさせ、中庭に飛び出した。その姿は、長期出張から帰って来た大好きな飼い主を出迎える犬のようだ。ロイは訳も分からないままアレックスを追いかけた。

「シーシーー!!」

「は?! アレックス!待てよ、おい!!」

 




 *



 寮の中庭では、クリスタルドラゴンに気づいた生徒達でざわめいていた。ロイは生徒達を避難させるべく、声を上げている。

 一方でアレックスは、プレゼントを待つ子供の様にそわそわしながら、表情を緩ませ、空に両手を広げていた。


 暫くして、クリスタルドラゴンがふんわりと降り立った。

「シシィー!」

 このドラゴンを知るアレックスは、乗っているであろう愛するお姫様を暖かな笑顔で迎えた。

「アル!」

 王子様のお出迎えに満面の笑みで応えたお姫様が、王子様の胸に飛び込んできた。

「お帰りなさい、シシィ」

「アル、ただいま」

「今日は楽しかった?」

「うーん……いろいろかな?」

「まぁいいや。取り敢えず制服、着替えたら聞かせね」

「うん」


 見つめ合い、抱き合い、ハートマークが飛んで見えるアレックスとシンシアに、ロイは脱力し思わずツッコんだ。

「あれ、姫サンのなんだ……知ってるなら言ってよ」




 キュリウスがいつもの手乗りサイズに戻る頃。

『こんな風にしているからアルの恋人だって勘違いされちゃうんだ』

 と、必要以上にくっつかないと決心したシンシアは、慌ててパッとアレックスから離れた。


 『恥ずかしかったのか? そんなトコもかわいいな〜』

 アレックスは、シンシアが周りを気にして羞恥心から離れたと思い、胸をキュンキュンさせていた。




 尻尾を高速でフリフリさせシンシアをエスコートするアレックスと、手乗りサイズのクリスタルドラゴンを引き連れて寮に帰るシンシアに、ロイは思った。

『姫サンって猛獣使い??』

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