第39話 ルームメイト①
昼休み、シンシアとアネットとルカの3人が仲良く学食に向っていた。
シンシアは長身のアネットを見上げ、アネットと足の長さを比べ、自分がアネットのミニスカートをはいたら膝丈なんじゃないかとか考えていた。その時、何者がシンシアを連れ去って行った。
「シンシア見つけたわよ!!」
「ええ!? また?!何で??イヤーー!!」
咄嗟のことで唖然としていたアネットとルカは、シンシアの叫びに廊下を走り出した。
「シンシアー!」
「待てっ、ごら!!」
*
「さぁ、シンシア。今日も聞かせてもらうわ」
シンシアは昼休みということもあり、学食に連れられた。とりあえずおかずとパンを皿に取り席に着いたシンシアは、この台詞に気持ちが沈んでいった。
『何訊かれるのかな?私が答えられるのならいいんだけど……』
シンシアを連れ去ったのは、栗色の髪のルースノー寮ルームメイトのオードリーだ。昨日もアレックスのエスコートで寮に入った時、同じように部屋に連行され、アレックスについて質問攻めにあっていたのだ。
向かいあって座るオードリーは気合い十分のようだ。そのオードリーの隣で
「シンシア嫌がってるじゃない、止めなよオードリー」
と窘めているのはドロシアだ。ドロシアはオードリーと同じ、シンシアのルームメイトだ。いつも突っ走るオードリーのお目付け役でもある。
「何言ってんの! ドロシーもアレックス先輩の事知りたいでしょ?」
「いや、それほどでも」
美形を孤高の一匹狼として有名なアレックスのプライベートを詮索する気はないが、ちょっと位は知りたいなと、ドロシアは思ってしまいオードリーを強く止められないでいた。
「それで、シンシアは昨日のお昼ご飯はアレックス先輩と一緒にいたわよね? 先輩、何食べた?普段学食で何食べるの? どんな話するの?」
一度に矢継ぎ早で質問されたシンシアは、訊かれたことに答えようと昨日の事を思い出していた。
「えーと……昨日は……」
「今日も先輩と約束あったりするの? ねえ」
シンシアが考えている途中で、オードリーがまた訊いてきた。
アルとの約束?? あったかな??
シンシアはまた言葉に纏めないと行けない内容が増え、頭の中がパニック状態になってきた。
「今日は……」
今日はアルと約束してないような気がしたから言わないと、でも昨日のことから答えないと……
何から言えばいいか分からなくなり、シンシアがモゴモゴしていると、
「隣空いてる?」
頭上から爽やかなアレックスの声が聞こえた。
オードリーは普段とイメージが真逆で誰か分からないでいたが、アレックスだと気づくとハイテンションの黄色い声で
「モチロンです!! どうぞどうぞお座り下さい!!」
と、両腕を広げた。
アレックスはオードリーの方を向くことなく、
「うん、空いてるよ」
と言うシンシアの藁にも縋る震えた声かけで席に着いた。
この時のアレックスがシンシアに、助けに来てくれた王子様に思えた。
一方オードリーは、キラッキラの笑顔の眩しい王子様が現れたと、見惚れていた。いつも遠くで眺めているだけだった、憧れの推しの先輩が目の前にいる。しかもいつもの愛想無い冷たい雰囲気ではなく、甘い甘い笑顔の王子様だ。
そのアレックスに見惚れていたのはオードリーだけではなかった。他の生徒達も見たことのない甘々なアレックスに、手が止まっていた。しかしこの時が止まったかの様な空間の中、いつもの調子を戻したシンシアは他愛ない話を始めた。
「アル、今日もタルタルソース山盛りだね」
「今日のはサーモンフライな、因みに昨日のはナマズらしいよ」
「そうなんだ」
昨日も似たようなメニューだったね、アルの学食の定番なのかな?と思いながら、シンシアは相槌を打っている。
アレックスはシンシアがタルタルソースを気にしているのかと、自分の皿のタルタルソースをスプーンで掬い、シンシアに食べさせた。
「食べてみる? はい、あ〜ん」
「あむ……!! ごほっごほ」
「酸っぱかった!? ごめん。ほら、お水飲んで、水」
アレックスのタルタルソースは酢をたっぷりかけられていた為、シンシアは思いっ切りむせた。そんなシンシアにアレックスはあたふたしながら、水を飲ませていた。
シンシア Cynthiaのルームメイト
オードリー Audrey
ベティ Betty
ドロシア Dorothea




