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野良犬と宝石のお姫様  作者: 鶴野江
第1章 絵本の続き
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第4話 宝石のお姫様③

 平静を取り戻せたアレックスは、城の自室に戻り国の地図とにらめっこしている。

(冬だから探すなら南の方が楽だよな)


 森からお姫様がいなくってからは長期休みや学期中間休み(ハーフターム)の時に探している。

 警察に聞いたり保護施設や孤児院を訪ねて回ったり、時には探偵や興信所のバイトをしたりなど、ずっとずっと探している。廃墟ビルなどに入った時は、たむろしているガラの悪い集団に絡まれケンカを買いながらも、お姫様の居場所を探し続けている。


 アレックスはお姫様の居場所はいつもだか、あの義伯父さん(ヒスイ)のことも疑問に感じた?ヒスイはアレックスの中ですでに義伯父さん扱いである。


 ──あの義伯父さんは今まで何をしてきた?

 というか何故生きている?

 あの子はあの義伯父さんと一緒ではない。

 あの義伯父さんでも居場所が解らないのか?



 アレックスが考え込んでいるときコンコンと部屋をノックする音がした。

「アレックス、いいか?」

 祖父ヒューゴが声を掛けてきたのでドアを開けた。

「スティーブの教え子が小説で大賞受賞したみたいでな、記念パーティーの招待状がきたとか言ってたな」

「父さんが?」

「でだ、アレックス行くか?」

「行かねえ」

 スティーブはアレックスの父で首都郊外で教師をしている。たまには義父に都会に来て貰おうと、パーティーなど集まりがあると誘ってくるのである。

 そんなものに興味の無いアレックスは素っ気ない返事をした。アレックスの態度にめげずにヒューゴは続けた。

「そう言わずにな。どうだ?」


 ──人の集まる場所にいるか?可能性はあるか?一応行くだけならいいか?


 アレックスは逡巡した結果、

「分かったよ。顔出すだけでいいなら」

 行くことにした。


 ──全くどこにいるんだ?あのお姫様は


 *


 翌日、アレックスは転移魔法で城から国の南部にある家へ移動した。そこでアレックスはパーティーの為にスーツに着替える。そんなアレックスにメイドが叫んだ。

「アレックスさまあああ、きゃあーステキ!イケメンレベルが限界突破!この最高級のご尊顔にお仕えする為に私は夫と結婚したのよ!!」

「相変わらずウルサいな、キャシーは」

「お顔だけでなくお声もステキ!ああ、幸せです!」

 父の家では管理を執事とメイドの夫婦に任せている。いかんせんアレックスの父は寮制の学校の教師で、普段は学生寮で生活しているのだ。因みにこの夫婦は共に20代前半であり、このミーハーなメイドは毎回アレックスにキャーキャー言っている。

 あの町の人達も好きではないが、このメイドも好きにはなれない。こんなだが、メイドとしての仕事は完璧にこなしているのである。

 アレックスはメイドの黄色い声に辟易しながら執事のセスが待つ車に乗り、会場へ向かった。


 *


 今日のパーティー会場は小説家サムソン・ターナーの自宅である。

 父と共に主催者と主賓に挨拶を終えたアレックスは、会場の出入口近くの壁に寄りかかって参加者らの会話を聞いている。パーティーの主な招待客はサムソンの学友達だろう。フランクに呼び合う姿が見受けられた。


 アレックスは自分の容姿が女受けすることをわかっているので、会場でチラチラ自分を見ている女に絡まれる前に帰りたかった。


(帰っていい?)

 離れた場所の父親に目線で訴えているとき、何かが髪を引っ張った。

(何だ?)

 自分の周りには誰もいない。

 今度は袖を引っ張られた会場の外に連れ出された。廊下で止まり空中の何かを探す。目を凝らすとキラキラした何かが見えた。それに触れて、角度を変えながら眺めると、薄らと漸く視認出来た。この見覚えのある輝きをしたものは、恐ろしく透明なガラスのような水晶のような手乗りサイズのドラゴンであった。小さい翼でパタパタ飛んでいて、キュウキュウと子犬のように鳴いている。そのドラゴンはまたアレックスの袖を咥えて引っ張っりどこかへ案内しようとしている。

(どこへ連れて行く気だ?まさか…)

 一度視認出来たら見やすくなり、目で追いかけられた。ドラゴンが案内した先に扉があり、開けると階段へ続いていた。その階段を進むと、カビ臭い中に、記憶の奥にある匂いがした。更に進むと牢屋があり、そこには森の中にいるはずだったお姫様が繋がれていた。


 ──やっと見つけた!

 でも何で?何でそんな………


 アレックスは、生気の無い人形になったみすぼらしい姿のお姫様に、声が出ずにいた。


「人の家で探検ごっこですか?」

 普段なら人の気配に敏感であるが、思いも寄らないお姫様の姿に気を取られていた。

 アレックスが振り返ると同時に銃を突き付けるサムソンがいた。見られたら困るものだろうから始末するつもりだろう。


 アレックスも目の前の男を始末してお姫様を連れて帰りたい。しかし今日の主役が帰らなかった場合問題になるだろう。


 ──ここは一旦引くしかないな

 アレックスは今すぐお姫様を助けたいのを堪えた。


「残念ですね、私の次回作が読めなくて」

 顔色ひとつ変えずに銃口を向ける先生に、胸くそが悪くなる。


 ──慣れているんだな、この手のことに


「失礼ながら先生の今回の受賞作を読んでませんでしたから、今度過去作から読んで感想をお伝えにまた伺いますよ」

 アレックスは生きて帰すつもりの無さそうな、目の前の男を煽る。

「そうですか…?ではあの世で読んで下さいね」

 先生は薄ら笑みで勝ち誇っていた。その隙にアレックスは魔法で光を放ち目眩ましして、先生が引き金を引くより速く転移魔法を発動させて家に逃げた。



 学園の外では魔法を使用禁止ときつく言われているが、緊急事態だったので仕方ない。目眩ましに関しては閃光弾の類で、誤魔化せたであろう。


 部屋に戻ったアレックスはジャケットを脱ぎ捨てた。痛々しい姿のお姫様がアレックスの脳裏に浮かぶ。


 ──今度こそ、迎えに行くから……

お姫様発見!


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