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野良犬と宝石のお姫様  作者: 鶴野江
第3章 アルバム
38/51

第37話 初めての友達④

「ちょこまか、ちょこまか動くなよっ!!」

 小さい体で素早く動くシンシアを追いきれなくなり、ルカは痺れを切らした。


「そこか?! 雷撃弾(ライトニングバレット)!!」


 シンシアがいるであろう場所目掛け、無数の電撃の弾丸を飛ばした。


「えっ!!?」


 シンシア初めて見る魔法にその場から動かずにいた。防御壁を展開させ防ぐが、ルカの雷撃は止まない。


 電気…?

 シンシアはバチバチする触ると痺れる球体は何かと分析した。それから本で読んだ魔法の知識と経験と現状を整理した。


 『魔法使いは森羅万象を操るとされる。エド先生は炎、伯父さんは風の魔法を使っていたから、雷もありえる。そういえば、ルカは魔法で選ばれたと言っていたから、スゴいが魔法使えるんだ』


 シンシアが思考に気が取られ、動きが止まったタイミングをルカは見逃さなかった。

「そこだ、喰らえ、雷撃拳(ライトニングフィスト)

 ルカが稲妻を纏わせた左拳を繰り出すつもりだ。


「来る!!」

 シンシアはその拳にカウンターをいれようと集中した。


 二人を拳がぶつかるその刹那、その間に割って入る人物がいた。

「そこまでだ」


 *



 静かな口調で仲裁に入った人物はアレックスだ。ルカの拳を難なく受け止め、シンシアの拳を押さえていた。


 ルカは水を差してきた邪魔者の顔をみるなり青ざめた。冷たい怒気を放つアレックスに、ルカは竦み上がり、体温が一気に下がった。全身の震えが、冷や汗が止まらない。


「どけ」

 アレックスはルカに一瞥をくれることなく振り払った。


 シンシアはその人物が誰かわかると、集中力が切れ、へなへなとアレックスに倒れ込んでしまった。そんなシンシアをアレックスは優しく抱きしめた。世界で一番安心出来るアレックスの胸にホッとしたシンシアは涙目になってしまった。


「ゴメンね、シシィ助けに来るのが遅れて。怪我はない?」

アレックスはあやすように優しく声をかけた。


「大丈夫だよ。怪我してないし、制服も汚れてないよ。お母さんも護ってくれたから」

涙声を堪えながらシンシアは応えた。


 アレックスはシンシアの護りの加護が護ってくれたこと安堵した。


 危機意識の低いシンシアが今まで生きてこられたのは、母の加護のおかげか?今まで護ってくれて本当にありがとうございます。感謝してもしきれない。これからは、俺が護っていきます。


 アレックスは腕の中の愛するお姫様を護ると強く心に誓った。


 落ち着きを戻したシンシアは顔を上げて、アレックスに訊いた。

「なんでわかったの?」

「ほら、学園内の柱の彫刻に鳥がいるだろ?あと廊下かとか肖像画が。あれの目が監視カメラ……えーと監視役になってて教えてくれるんだ、これに」


 本当に見られていたんだと感心しているシンシアに、アレックスは左耳にある八面体の赤い宝石のイヤリングを見せた。

「こいつが通信機になっていて、今みたいな揉め事とか迷子とか、緊急事態があったら寮長に連絡来るんだ。学内で何かあったら、まず最初に寮長が駆り出されるからな」

「アルもイヤリングとか、オシャレするんだと思っていたけど、違ったんだね」

 イヤリングのことはアレックスに特に言わなかったが、こんな機能があるとは知らなかった。大事な物だから迂闊に触れないように気をつけないと、とシンシアは頷いた。


「シシィもこういうの欲しかったら言ってね。買ってあげるよ」

「私はそういうの要らないよ」

甘い声で囁くアレックスにシンシアは不思議そうにしながらも、きっちり断る。


「ホントつれないなぁ。たまにはおねだりしていいのに?」

残念そうに呟くと、去り際にアレックスはシンシアの頬を撫で、髪に口づけた。


「じゃあ、俺はルーカスのトコ行くから」

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