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野良犬と宝石のお姫様  作者: 鶴野江
第2章 新しいページ
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第26話 編入試験①

 それから日が流れ、春休み。

 部屋を整理し荷物を片付けたアレックスは、鞄を担ぎ上げ、「じゃな、ロイ。俺は帰る」と早々に帰省しようとした。

 アレックスのいつもの行動にロイは、

「アレックス、寮長なんだから、早く帰ってきてね。じゃあ、また来月」

と、それ以外何も言わなかった。

 アレックスが転移魔法を発動させようとした、そのタイミングで、寮監エドがやってきた。

「アレックス、試験やるから例の彼女連れて来て。場所は魔法演習場。あとこれ」

「分かりました!」

アレックスはエドから入校許可証のバッジを受け取ると、例の彼女(シンシア)を迎えに、転移魔法でウッキウキで帰った。



 「スゴイ所だね」

シンシアは初めての場所にキョロキョロしている。キュリウスもキョロキョロしていた。


 シンシアは然帰って来たアレックスに喜んだが、「今から試験あるから学校行くよ」と言われてあたふたした。学校までの移動方法が、転移魔法で、学校は魔法学校で驚きの連続だった。

 着いてみると、大きな場所で“アルの学校ってスゴイんだな”と、口をぽかんと開けている。



「ここは学校にある魔法演習場。試験ここでやるって聞いて。ホントは正門から案内したかったけど」

 移動に時間を掛けたく無いいつも癖で、アレックスは転移魔法で直行したことを悔いた。シンシア正門からエスコートして、二人で学内をゆっくり歩けばと。

 

 

 魔法演習場で待っている二人を見つけたエドは、ふわふわと飛びながら近づいた。

 「アレックス、直に来たの?彼女がシンシアさんだね?まず筆記試験やるから、あそこに移動しよう」

 エドが指差した方角は、魔法演習場の入場口だ。そこにポツネンと置かれた一台の机と、一脚の椅子と、一人のダークブラウンの髪の人の良さそうな試験監督。ロイがいたなら「筆記試験ここでやるんだ、別室じゃないんだ」とか言っただろう。


 シンシアは初めて見るエルフに驚いた。そんなシンシアに気がついたアレックスが説明した。

「この人はエド先生。見ての通りエルフだ。この学園は魔法学校で、人以外の種族もいるからね。今から試験の場所に案内して貰うから、行こう」


シンシアの腰に手を添えて移動するアレックスは

「試験頑張ってね、シシィ」

とシンシアを応援している。シンシア以外は基本的に気にならないのだ。



 


 エドはシンシア達の案内が終わると試験の説明をした。

「まずは自己紹介だ。私はエド=ウィンド。占星術の担当教員で、こちらはコクラン先生。彼も占術の担当教員だ。今日の筆記試験を担当してもらっているから、彼の指示で行うように。筆記試験が終わったら、実技試験だ」

「はい」

シンシアは、緊張しながら机に座り筆記用具の準備をした。

 

「ではコクラン先生、お願いします。アレックスは向こうで話をしようか」

アレックスはシンシアの側にいたかったが、エドに連れて行かれた。

「シシィ、頑張って」

「キュー」

「うん、頑張るね」


シンシアはアレックスとキュリウスの応援に気合いを入れた。




 シンシアが筆記試験を受けている間、キュリウスは解放的な空間を飛び回り、アレックスはエドからダメ出しされていた。

-「アレックス、あれは?」

「あいつはシシィのペット?」

「使い魔でいいかな?クリスタルドラゴンとはスゴイね。報告書にいなかったよ。そう、報告書でいいたいことがね。ラブレターじゃないんだよ?」

報告書というのはシンシアの観察記録だ。

「俺はシシィを見て思った事を綴っただけです」

「この内容で提出してくるのはどうかと思うよ。毎回削除してるけど手間なんだから。読み上げるよ」

「どうぞ」

エドはアレックスの報告書を読み上げた。


「◯月◯日。今日もシンシアはいつもと同じ、目が覚める気配が無い。森の様子も昨年と変わらず。例年より曇が多く、地面に水分が多いが、陽が届かない場所故にしかたない。動物達も、鳥も数の変動なし。鳥の囀りが響いている。シンシア、貴女の声も鳥が囀るようで、心地よく癒される。貴女の小鳥が歌うような歌声を聴きたい。目が覚めたら貴女と森の中を手を繋いで歩きたい。街中や公園を二人で寄り添って。番になり、永遠に離れることの無いように。ずっとずっと貴女の隣で歩きたい」

エドは淡々と読み上げた。まだ続きかあるが、途中から明らかにアレックスのポエムと化した報告書を投げ出した。

「何故途中からポエムになるの?」

「シシィへの想いが溢れ出た結果です」

顔色ひとつ変えずに真顔でいられるアレックスに、エドは辟易した。


「その想いは自分の中だけにしてね。アレックスのラブレターだけまとめて実家に送ろうか?」

「シシィへのラブレターは、前世(むかし)のやつから、今までも渡せなかったプレゼントも一緒に保管してありますから、そこに入れておきますよ」

「それ、ご家族も中身知っているの」

「知ってますよ」

恥ずかしい思いをするかと思えば、そうでもなかった。自信満々のアレックスと、家族公認のラブレターは想定外だった。エドは嫁バカなアレックスの嫁観察記録の件は無理そうだと諦めた。むしろ、このまま晒していこうとなった。



 アレックスがエドにチクチク小言で責められている間に、シンシアの筆記試験が終わった。次は実技試験だ。エドがシンシアを魔法演習場の中央に来るよ呼びかけた。

「次は実技試験だ。向こうてやるからついて来て。コクラン先生は採点、その机でお願いします。バリア張るから大丈夫でしょう」

「ええー!?」


 慌てふためくコクランを他所に、シンシアを実技試験の為移動して行った。


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