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僕と和菓子と遠足の思い出

作者: 高橋ひかり

 僕の家は、和菓子屋を営んでいる。

 父は和菓子一筋なので、家のおやつで、ポテトチップスとかチョコレートなどが出たことがない。

 

 おやつと言えば、新しく発売する和菓子の試作品の試食だったり、見習い職員が練習で作った形が不揃いのおまんじゅうだったり、包んだおまんじゅうの皮が小さく破れてしまったものなど、売り物にならない、いわゆる、“訳あり”商品が、僕のおやつだ。

 本当は近所の駄菓子屋でお菓子を買いたかったし、和菓子以外のお菓子を食べたかった。


 小学1年生の時の初めての遠足でのこと。遠足のしおりで、『300円以内のおかし』とあったので、初めて和菓子以外のお菓子が食べられると思った。母にお菓子を買うことをねだると、お菓子はリュックに入れて用意しておくと言っていたので、とても楽しみだった。


 遠足の当日、小さいけど山登りのあと、頂上でおやつタイムとなったので、リュックの中を探すと、小さい正方形の箱があった。

 箱を開けると、中には、小さいウサギの形をしたおまんじゅうが4つ入っていた。チョコでも飴でもなく和菓子だったので、正直ショックだし、これは友達とお菓子の交換は無理だと、子供心に感じた。


 ここで、このおまんじゅうを食べるかどうか考えていると、「あら? 佐藤くんはお菓子は食べないの?」と担任の綾子先生が声をかけてきた。

「えっ、これって……」

 最悪なことに、このおまんじゅうを見られてしまった。このおまんじゅうが先生には高そうに見えたのか、僕だけおやつタイムは禁止になってしまった。


 遠足から帰ってからしばらくして、先生から電話があった。

 1人だけ高そうなお菓子を持たさないでくださいという連絡だったけど、それに対し、父は、「私の手作りと、見習いが作ったものだから、実質0円だ」と苦しい返しをしていた。


 翌年の遠足から、しおりには『300円以内のおかし』の他に保護者用に『手作りは不可。既製品のお菓子のみ』と付け加えられていた。

 なお余談だけど、既製品のお菓子ということで、父は和菓子屋の店頭で売っている、合計300円になる和菓子を持たし、それに対して、また学校と揉め、小学校卒業するまで続いた。

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