走る、歩く、立ち止まる
よーいどんの掛け声から
みんな一斉に走り出す
誰もが我先にと忙しく走りゆく
僕もみんなに負けじと
全力込めて足を動かし走り続ける
追いつき、追い抜き
流れるようにいろんな人が
通り過ぎていく
中には歩いている人や
立ち止まってしまう人もいる
それらを横目に駆け抜ける
決して後ろは振り返らずに
でもね、ある時
ぷっつりと糸が切れたように
足が突然動かなくなる
動け! 動けよ! 動いてくれよ!
諦めきれず動かぬ足を引きずりながら
無理をしながら少しでも前に進み続ける
今では走っているとは言えないくらい
ゆっくりゆっくり歩いてしまってる
立ち止まるのが怖くて怖くてたまらない
歩く速度は遅くとも
どんなにスローペースでも
立ち止まることはしたくない
できることならもう一度
みんなのように走り続けたい
そんな意志とは無関係に
僕の足はどんどん重くなり
ついには立ち止まってしまう
なんで! なんで! なんでだよ!
立ち止まった恐怖に怯え
何もできなくなってしまう
そんな僕を多くの人が追い抜いていく
そんな彼らは以前の僕の様に
後ろを振り返ることはない
立ち止まってから
どれだけ時間が経っただろう
前ばかりみていた僕はふいに
後ろを向いてみる
今まで無視してきたけれど
そこには楽しく歩いている人々がいた
無理をしてまで走り続ける必要はないんだよ
ある時、そんな優しい言葉が投げかけられて
僕はハッとする
今まで何を急いでいたんだろう?
ずっと走り続けることも
たまには立ち止まることも
ゆっくり歩みを進めることも
誰もが自分のペースで進んでいる
それに気がついた時
急に恐怖がなくなり気が楽になる
僕には走り続けることが難しかった
でもね、立ち止まってみて
わかったこともある
まわりに流されることなく
自分に無理せず歩みを進める
そんな自分を許してくれる
そういう世界があることを
今はまだそんな世界があることを
知らずに走り続けるきみたちへ
疲れた時には、立ち止まっていいんだよ
きっとそこには
今までとは違った景色が広がっているのだから
きっとそこには
新たな未来が待っているから