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ジョーイ・デフランセスコを朝明け前に聴く

毎晩夜通し起きていて詩集を読み漁るという生活から、私は抜け出すことが出来て久しい。高校生の時は、退廃的な生活に密かな憧れがあった。純喫茶に行ったり、お酒を飲んで酔ってくだを巻いたりすることは、大人の遊びだと思っていた。私は大人になりたくて背伸びをしていた。小遣いを握り締め、有名な老舗の喫茶店にオープン時刻の朝の7時から行ってみたり、居酒屋でキャベツを囓ったり、千鳥足になるまで飲んだり、年上の女性とお付き合いをしたり。


大学生の時の私は、コーヒー好き・喫茶店好きのバンドマンという感じだった。飲み会が好きでよく飲んではいたが、割に飲む方だね、と言われる程度だった。

社会人になるとコーヒーよりも酒を飲むことが次第に多くなっていったように思う。お酒による失敗もたくさんした。唯一の救いは、酒を飲むために音楽を聴くことはなかったことだ。『良い音楽のために酒はある』というのが私の中の標語だった。「いちばん好きなものは音楽、二番目は酒、三番目が女」と飲み会なんかでよく喋っていた、寒いと言われたこともあるけど。


社会人になってからどんどん自分の生活が文化的でなくなっていく感じがしていた。レコードを聴く心の余裕が無くなり、探究心や想像力すら欠如していった。そんな自分に荒れていった。心の貧しい人間に墜ちていった。

毎日酒を飲み、ネットで知り合った女の子と会ったり、FXで貯金を崩したりしていた。SNSにハマってからは、生活が不規則になった。仕事にだけはなんとか行っていた。ここ数年で少しはマシになったと思う。朝起きたら酒を飲むという行為からは抜け出せていないけれど。


最近は1日2サイクルの生活を送っている。周りの人間から奇妙に思われることもあるが、この習慣は私にとっては、健康法なのだ。


私の仕事はネットショップの店長(雇われ)である。スマートテレビや薄型ラップトップPCの販売をしている。休みは不定期で、稼ぎは少ない。だが、親の持ち家(戸建て・二階建て)に住んでいて、家賃は払わなくて良いし、町内に変な人は居ない。壁はちょっと薄いが、隣人は老人ばかりで、私にとっては幸運なことに皆、耳が遠い。


向かいの家の老婆が毎朝 洗濯物を干すときにかなり大きめの声で民謡のような歌を歌ってること以外は、特に不満もなく暮らしている。


私の、仕事のある日の帰宅後のルーティーンは、まずは酒を飲むこと。仕事は10時から19時までで、たいてい20時くらいに、帰宅する。職場は家から徒歩20分のところにあって、途中に、捕まると長く待たされる踏切があるが、家の近くには大きめのスーパーマーケットがあって、食品コーナーを物色して回るのが毎日の楽しみだ。

私は料理が好きなので、食材を見て回って、あれやこれやと頭の中でレシピを考えるのが楽しい。旬の食材を見かけたら季節を感じたりも出来るし。

夕食は、最近はパスタにすることが多い。学生時代、イタリアンレストランの厨房でアルバイトをしていたのだが、パスタは得意だ。高校生の時から大学を卒業するまで同じレストランで働いていた。毎日、まかないでピッツァやパスタを食べれたのは今思えば贅沢だったな。


私は麺類が大好物で、

この間までは、うどんにハマっていた。カップ麺やインスタントラーメンばかり食べている時期もあるし、美味しい蕎麦を取り寄せてそればかり食べている時期もある。偏食と言えるかも知れない。3か月に1回、サラダが無性に食べたくなるのは、体が出しているサインか?笑


酒を飲むとハッピーになれる。仕事は上手くいっているがストレスが全く無い訳ではない。

休みの日は一日中酔っているし、私はアルコール中毒者なのかも知れない。いや、誰が見てもそうだ。

今ではアルコールに耐性がついていて、ウイスキーや焼酎を飲んでいる。自分でアル中だと思う理由の一つには、酒を飲むとき、つまみは食べないことが多いという事が挙げられる。

酒を飲んだあとは、夕食を作る。夕食は15分で作るというルールを私は自分に課している。

たまに米も炊くが、一人分なら土鍋で炊いたら10分で炊き上がるし、とにかく15分だ。

それ以上時間はかけたくないと思っている。

夕食を食べたら、すぐに寝る。ソファーで寝ることが多い。3時間くらい寝たら起きる。

そこからは趣味の時間だ。

音楽を聴いたり、本を読んだり、映画を観たり、オンラインストアで買い物をしたり・・・

そして、7時くらいからもう一度寝る。1時間から1時間半くらい。

それから起きて仕事に行く。

1年くらい試行錯誤してこの習慣に落ち着いた。仕事でのパフォーマンスを下げずに、プライベートの時間を確保するスタイル。時間を作るのには寝る時間を削れば良いというのは、最初は安直過ぎるかとも思ったが、意外に上手くいっている。


今日は2回目の就寝は早めにしようかと思った。

5時40分くらい、私はグラスに残ったウイスキーをすべて飲み、布団に潜り込んだ。

枕元にはいつも、スマートフォンとイヤホンを置いて眠る。

寝る前や、目が覚めたときに音楽が聴きたくなったら聴けるようにだ。


音楽を聴いてリラックスしてから眠ろうと思った。明日は仕事が休み。余裕のある休日を過ごしたい。有意義な休日にしたいと思い、多めに眠ろうと早めに寝ることにしたが、そんなに眠たくはなかった。

ジョーイ・デフランセスコのアルバムを聴いた。ウイスキーで酔った体にほどよく効く。

ハモンドオルガンの音がたまらない。心が体から離れて、雲で出来たベッドで過ごしている感覚だ。『モア・ミュージック』というアルバムを2周したが、まだ眠れそうになかったので、私はもう一杯ウイスキーを飲むことにした。

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