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私Aは私Bを呼んだ  作者: 源義史
プロローグ
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私の矛盾

 私は、独りでいるのが好きだ。一人っ子だからだろうか。誰かと一緒にいると、たった三〇分で疲労はピークに達するのだ。きっと、自分以外の誰かを意識するというのが、知らないうちに、私の神経を疲れさせているに違いない。ストレスフルだ。その点、独りはいい。周りに誰もいない。そこには自分だけ。ほかのやつらを気にする必要はない。ストレスフリー。そう、ストレスフリーだ。素晴らしい。

 

 けれども、私は、人と話すのも好きだ。誰に似たのだろうか。実は、学校ではよくしゃべる方なのだ。誰かと話しているときは、私にとって至高の時間だ。私のなかにある、無数の泡が、プチプチとはじけて、溶けていくような感覚を覚える。爽快だ。しかし、どうしてだろう。話し終わってしばらくすると、いつも、異常なほどの徒労感や虚無感が私を襲うのだ。たとえるなら、無数の泡が私の身体の中を埋め尽くしてしまうような、そんな感じ。そうだ、そうだった。私は独りが好きで、誰かと一緒にいるのが嫌いなんだった。そのことを、やっとこさ思い出した頃にはもう、私の気持ちは、後悔だ。

 

 人は皆、「好きなことをして生きたい。」と言う。私も、未だ十六年しか生きていないが、それには同感だ。けれど、私にはそういう生き方は出来ないのだ。好きなことが好きなことによって邪魔されてロクに出来ない、というこの困った性格。こいつのせいだ。私のこの矛盾した性格は、私をよく、真っ暗闇に放り込む。自分はこれからどのように生きればいいのか。わからない。そもそも、「好きなことをして生きる」とはどういうことか。わからない。そして、本当の自分とは何なのか。わからない。みんなみんな、わからなくしてしまうのだ。


 もしかすると、私には、私が邪魔なのかもしれない。


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