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ー精霊の森ー

本日ちょっと短めです。すいません。


「結構簡単に撒けたな。こんなことするとは思われてないからか。」



商店街を離れ、大通りの十字路を右に曲がったところにレオはいた。



生まれてから10年間、正確には転生してから5年間、レオはほとんど毎日図書室にいた。


周囲からは本好きだった先代の先祖帰りとまで言われ始めていた。


レオが外に一人で行きたがっているなど、誰も思っていなかったのであろう。



「問題はここからだな。」


レオが見つめる先には外へと通じる大きな門があった。


タダムの言っていた通り外から入ってくる商人たちらしき馬車を、衛兵が一台ずつ止めて通行証の確認などをしている。



しかし、街の中から外に出ていくことに関してはあまり厳しくしていないらしい。



門を通るときに衛兵に通行証を見せているだけだ。



これなら簡単に出られそうだが……。


脱出方法を考えるレオの目にある一団が止まる。



それは身なりからしておそらく孤児か、農奴の子供たちのようであった。



全部で5人くらい。歳はバラバラだが、みんな背中に籠を背負っている。



彼らは門の端っこを頭を低くして通っている。

通行証などは見せていないようだ。



「薪拾いかなんかかな?」



魔術が進歩しているこの世界には、魔力を使ったストーブや暖炉などが流通しているが、そういう魔道具は高い。


薪の需要も無くなってないのかもしれない。とレオは考えた。



数分その場で様子を伺っていると、門がある方とは反対側の通りから先ほどと同じような格好の子供たちが歩いて来るのが見えた。今度も人数は5人だ。



迷うことなくレオは彼らに近づく。



「ちょっとごめん。君たち今から薪拾いにいくの?それ僕もついていかせてくれないかな?」



そう声をかけると、一番先頭を歩く赤髪の男のがジロリと睨んでくる。



「その身なり、どっかの坊ちゃんだろ?ひやかしはやめてくれ。遊びじゃないんだ。」



レオより少し年上に見える少年は、明らかに不満そうだ。



「ああ、ごめん。別に冷やかしじゃないんだ。ただ、どうしても町の外に行きたいんだよ。ねぇ、邪魔はしないからさ、後ろをついていくだけだから!お願い!」



レオはどうしてもと食い下がる。


もし今日森の洞窟までいかなければ、次はいつ行けるのかわからない。


タダムを撒いたことにより、家に帰れば待っているのはきついお仕置きであった。


永久外出禁止などと言われたら、溜まったものではない。



「しつこいな!だいたい、そんないい服着てて衛兵が倒してくれるわけないだろ!」



そう言われてレオは自分と赤髪の子の服を見比べてみる。



赤髪の子の服はボロボロで所々に汚れが目立つ。

対する自分のさっき作りましたと言われても疑えないほど新品同様で、糸くず一つついていない。



「なるほど、一目でお坊ちゃんとわかるわけだ。」



関心しつつ、どうしたものかと考える。


赤髪の子の後ろにいる少年が手に鎌を持っているのが見えた。



「ねえ、君ちょっとそれかしてくれない?」


少年の答えを待たずに手から鎌を抜き取る。



「あ、おい何してるんだよ!」



赤髪が止めに入ろうとするが、無視して鎌を服の袖部分の布に合わせる。



そのまま力を入れて引き裂くと、袖はビリビリと音を立てて破けていく。


鎌の切れ味のせいか結構ギザギザになってしまったが、わざと切ったようには見えないからいいかもしれない。



そう思いつつレオは反対の袖も同じようにする。


ついでにシャツとズボンにも何箇所か穴を開けておく。



薪拾いの少年たちはそれを唖然と見ているだけだった。



「さてと、服はこれでよしと。後は…。」



レオはもう一度赤髪と自分を見比べて、何を思ったか地面を転げ回った。



「これで見た目的にはだいぶ近くなったと思うけど。」



薪拾いの子たちは服だけでなく顔まで泥で汚れている。


毎日風呂に入るレオとは綺麗さに違いが出て、違和感があったようだ。、



「お、おい、いいのかよ。そんなことして。」



赤髪が動揺した声を上げる。


後ろの子供達も困惑しているようだ。



「君がそんな格好ではいけないって言ったんじゃないか。これで問題ないはずだよ。さぁいこう!」



レオは服のことなど気にかける様子もなく、薪拾いの子達の列に加わってしまう。



「なんか変なやつ。」



赤髪はそう呟くと前を向いて歩き始めた。



レオを連れて行くことにしたらしい。



レオを入れた6人は門を無事に抜け、町の外へと出るのであった。



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